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走馬灯

「死」は決して、意識がなくなり
肉体が滅びることだけを指すものではない。

「心」が死ぬこともある。


経験したひとにはわかるだろうけれど
僕の心の死は生き地獄だった。


カラフルなはずの世界が
モノクロやセピアに彩られ

耳から入るのは全てノイズ。

ワイヤレスイヤホンの集音モードみたいに
耳障りなコトバだけ拾って
イラつかせては疲れさせた。

着るものは適当で
食事なんて味はわからず
性欲は忘れたかのように。


『あのときは幸せだったなぁ』

記憶の中のベストシーンが切り取られ
高速のスライドショーみたく
まぶたのうらに流れては消える。


涙はふいに流れ落ち
気付いたらまぶしさが嫌な朝になる。


開けない夜はないさ って
誰かが言ったセリフ

今なら僕もあなたに言える。

人生には朝も昼も夜もあるし
春夏秋冬もある。

たとえ太陽が見えない日が続こうとも

雲の上からあなたを見守っている。


「たつや、ありがとう。助かったよ。」

母の言葉が僕のわだかまりを溶かした

母も久しぶりに太陽に照らされて
心にぬくもりを取り戻したようだ。


寒いのも暑すぎるのも嫌だけれど

乗り越えていかなければならない人生。


「好きでこんなふうに生まれたわけじゃない」


友人の声はいつも胸に。


勝ち負けもクソもない人生だって
みんな知ってる。

(何の為に生きるの?)


そんなことは誰にもわかりやしないから
目標や夢を持つ。


意味なんて探してもみつからない

まだまだ探す気ですか
それより僕と踊りませんか って

サングラスのおじさんが歌うみたいに


人生を楽しむしかない。



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