見出し画像

雅子

私は雅子
43歳
新卒でメガバンクに入行して、
夫とは26で社内結婚
同い年。

結婚してすぐ夫の転勤が決まり、
東京に出てきた。

結婚式やら引っ越しやらで
1年ほど専業主婦をしていたが
自分のお金がないのはつらいので
就職活動をした。

大手の証券会社に就職が決まり
給与は1.5倍に増えた。
私は仕事ができたし、
認めてくれる上司もいて楽しく過ごしていた。

でも、子どもが欲しかった。


いや結婚当初はいらなかった。

付き合って半年で結婚したし、
子どもを持つことにまだ抵抗があった。

28くらいになると子供が欲しくなり始めた。

私は稀発月経で月経が90日こないこともザラだった。

産婦人科で誘発剤を処方してもらうことにして
いわゆる妊活が始まった。

そこから2年たっても子供は授からなかった。


不妊。


自分の中で自分を縛る約束事が増えていった。

お酒は飲まない。
身体に悪そうなものは食べない。
マカを飲む。
養命酒を飲む。
自分の身体をよく観察して変化を書き留める。

4年たって結局
夫と二人話し合って一旦不妊治療はやめた。


夫と外食したとき、なんとなく
アップルシードルがおいしそうで
飲んでみた。

おいしい。
子宮があったまる。

それからお酒をよく飲むようになった。
血の巡りが良くなったからか、
自然妊娠した。

結婚から7年たっていた。

産休と育休もしっかりとって
職場に復帰し
また真面目にまじめに働いた。

2人目のことどもが欲しくなった。


2人目はどうしても男の子が欲しかった。
リン酸カルシウムを飲み続けて
私は夢をかなえた。
なんなく男児を挙げた。

私は自分の願ったことを叶えてきた人生だった。

そう思う。

こうありたい。
そう思い描いたことをすべて叶えてきた気がする。

何をやってもだいたい平均以上できたし、
器用になんでもこなした。

家事分担とか馬鹿どもがやってる話は
本当にうっとうしい。

分担なんかしなくても全部できたし、
夫の方が稼いでいたからその分
私が家のことを少しやればいいだけ。

共働き夫婦のライフハックとか
馬鹿どもがする話だと思う。
へそが茶を沸かすわ。

そんなこと必死で分担しないとできないとか
男女平等がとかいってる無能が大きらいだ。
当時も。
今でもそれは変わらない。

とにかく私の人生はいわゆる
順風満帆てやつだった。

タワマンに住んで、
男女の子供がいて
2人とも稼ぐパワーカップル。

全部失った。
いや、失ったのはお金だけか。
ひとによってはもっと大きなものを失っていると感じるのかもしれない。

でも今思うのは。
それでも人生で一番面白い5年だった。

この5年。
あの日からの5年。
たぶんあの出会いから人生が動き出した。
堕ちていった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?