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国家試験前夜を一緒に過ごしたクラスメイトの話 Ep 1.6

専門学校に在学中は、午前中に授業を受けて午後から深夜までアルバイト。
そして月に一度は指圧の師匠の勉強会に参加するという日々を過ごしていました。

国家試験を目指してラストスパート!

定期試験は気になるものの、学生にとっての本番は例年2月末に行われるマッサージ師の国家試験です。

3年生にもなると、いよいよ国家試験に向けて学校も本腰を入れ始めます。
秋からは定期試験に加えて模擬試験が始まり、6割以上の得点に足りない者は補習に参加することになります。
幸いにも普段の定期試験は赤点もなくクリアしていたため、国家試験の勉強に集中することができました。

行ったことといえば、過去3年分の国家試験の過去問を繰り返し解くこと。
授業でも国家試験を意識した内容の話がされ、クラス全員が合格するように先生方はハッパをかけます。授業後も教室に残って勉強する仲間も増え始めました。
年明けには私自身がバイトを辞めて勉強に注力し始めたためか、または「国家試験」という一つの目標に向かって連帯感が生まれ始めたためか、それまであまり話をしなかったクラスメイトとも放課後に話をするようになりました。

聞けば、N君は高校を卒業してはるばる山口から出てきたとのこと。
おばあさんが指圧学校の卒業生で、父親も治療院を構えている3代目。
なんとなく長男の自分が後を継ぐことはわかっていたけど、勉強には身が入らなかった…。「これまでのツケが回ってきたんです」と心配そうな声を出します。
それならあと2か月、一緒にがんばろうという話になり、私も教室に残って彼の勉強に付き合うことになりました。

若いというのは素晴らしいもので、それまで模擬試験でいつも不合格だった学力が試験の2週間前にはなんとかクリアできるところまで来ていました。

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国家試験に臨む前夜

あん摩マッサージ指圧師の国家試験は、全150問。(受験当時)
解剖学、生理学、運動学のほかに衛生学や臨床医学(病気のこと)、東洋医学の経絡経穴(ツボ)のことなどを範囲としています。

年々、難しくなると言われており、去年は難しかったから今年は簡単になっている、などの傾向と対策が立てられていました。
時に、大幅に出題傾向が変わることもあり、その年度の受験生は合格率が低くなることもあります。
ちなみに合格ラインは6割。150問のうち90問が正解であれば、晴れて資格を取ることができます。

N君も過去3年分の過去問はほぼ内容を覚えたようですが、何とかなるという手ごたえ半分と、見たことのない問題が出たらどうしようという不安半分が入り混じった日を送っていました。
彼の家は試験会場から近いこともあり、国家試験の前日は私も泊めてもらい、二人で直前まで問題を出し合っていました。

フタを開けてみると…

国家試験の合格通知は約1ヶ月後の3月末に届きます。
残念ながら、クラスメイト30人のうち4人が不合格という結果に終わりましたが、一緒に勉強した彼は見事、合格したと連絡がありました。

3年間をともに過ごした仲間とも、卒業式をもって別れとなり、それぞれの道を歩き始めます。

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そして私は新たなステージに向けて、次の一歩を踏み出すことになります。


physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。