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ヒナは初めてみたものを親と思う

なにごとも「初めて」の時って、ありますよね。
はじめてのおつかい
はじめてのデート
はじめての転職

そのどれもが緊張感とともに体験するのはもちろんですが、初めて見た景色はその後に大きな変化をもたらす、という話です。

ヒトは初めての環境に左右される

これは当然と言えば当然のことです。
生まれてくる家庭環境然り、初めて行くのは幼稚園なのか保育園なのか。
最初に関わるという時に、経験の少ないうちはそれを自分で選ぶことはほぼ不可能です。
情報を得る手段も持たず、最初に見た景色が世界を構成するすべての要素に映ります。

そしてこれは、徒手療法の業界にも当てはまります。
具体的には、選んだ専門学校が鍼灸マッサージ師の資格を取れるのか、それとも柔道整復師の資格を取れるのか。
これは単に身につける手技の違いに留まりません。何故なら、その業界の慣習やあり方まで違ってくるからです。

鍼灸マッサージの畑では

鍼灸学校、マッサージの専門学校で見える景色は「腕を磨いて技を極める」というあり方が一方の極にあります。
どういうことかと言えば、ひとり治療院で年間3,000万円を稼ぐ、といった猛者がいる業界です。私が最初に師事した師匠もそんな一人でした。(しかしこれは、ほんのひとつまみです)

ひとり治療院ですから当然、院長兼スタッフ。
役割の変更はほとんどなく、自分で多くのことを行います。そして、収入が上がるということは、腕が上がってリピーターさんが増えることと同じ意味合いです。

柔道整復師の畑では

反対に、街中で見かける接骨院は一人ではなく、複数のスタッフで運営されているという光景があります。オーナー、雇われ院長、施術スタッフ、受付と複数の役割に分かれています。
そして、それ俺の立場で役割が決まっていて、与えられた仕事を分担して行い、職責が変わるとお給料も変わります。

院長はほかのスタッフに比べて一段、高い給料をもらいます。
新しく入ったスタッフは「いずれは自分も院長に!」と鼻息を荒くして働く。指名がついて後輩が増えて指導側に回ることで収入も増えていくという図式があります。

進んだ道は、運しだい

ひとり治療院、雇われ院長。
言葉のうえではその違いはハッキリしないのですが、このように業界の違いを切り口にして見ると、3年後、5年後は大きく違うことが明らかです。
そして、組織として大きくしていくことが前提にあるのは、柔道整復師の業界に分があります。そのため、業界団体も一定の力を持っており、政治家への働き掛けも活発です。

このようなことを、専門学校に入学する前にどれくらいの人が知っているでしょうか。
そして、その違いを知ったうえでどちらを選ぶか、決めてくる人がいるとすれば、それは親や親戚がその仕事をしている人に限られるのが現状です。
ほとんどの場合、徒手療法の専門学校をそのような視点で選べる人は稀と言えます。

私はマッサージ師の免許を持っていますが、専門学校に入ったあとでクラスにどんな人がいるかを雰囲気で知ることができました。
そして、卒業して現場に出てみて初めて、「あれ、この業界って?」と気がつきました。
施術をするという似たような業務をしていても、業界が違えばその先の歩き方は違ってきます。そう考えると、垣根を越えてもっと情報交換、人材の交流が起きてよい業界と思います。

physical, mental, spiritual and social well-beingに生きるお手伝いをしています。2020.3に独立開業しました。家族を大切にし、一人ひとりが生き生きと人生を楽しめる社会が訪れるといいなと思いながら綴っています。