見出し画像

【30分エッセイ】今日も今日とて、30分


 さて、今日も30分間ひたすら書いていこうと思う。最近はエッセイを読んで、エッセイを書きたい欲が爆発している。でも、エッセイの実態が掴めないから、こうして爆発するように文字をカタタと叩き殴る。

 今、大阪にいる。大阪のホテルで書いているから、作家気分でるんるんと書いている。遠出をすると、強制的に孤独な状況になるから、結構好き。ああ、自分って、一人が好きなのかもしれないなって、本気で思う。でも、ずうっと一人は寂しくて、YouTubeで「川」と検索してしまう。サラサラサラサラ、チョロチョロチョロチョロ、チュンチュンチュンチュン。ホテルにいるのに、大自然に囲まれた気分になって、寂しさが紛れていく。たぶん、車の音とか、工事の音とか、廊下を通る人の気配が寂しさの原因なんだと思う。

 自分という身体を操縦できるのは、自分しかいないのだから、そう考えると、人はいつだって一人だと思う。こうして遠出をすると、なおさらそう思う。ああ、一人だなって。孤独だなって。なんでだろう。慣れない土地だというだけで、孤独感が増すという単純さに、鼻から笑いが込み上げる。

 チラチラ影が手元にかかるなと思って、天井を見上げたら羽の生えた親指サイズの不思議な虫が飛んでいる。ああ、鳥肌。ゾワゾワ。窓を開けてたせいだよねぇ。ティッシュを2枚取り出して、カーテンに止まったその子をそっと包む。殺さないように、そっと。感覚はない。でも、掴んだのがわかる。手の中で、生きている。バタバタしてる。虫だ、昆虫だ。羽がついているし、足も6本ある。生きている。本能だけに従って、生きている。本能だけで生きるって、どんな感じなんだろう。トンボが水たまりに卵を産んでしまうのは、本能に従ってるからなんだって。本で読んだことがある。だから、そこが川でなくても、湖でなくても、キラキラと光る水であったら、産み付けてしまうらしい。
 ティッシュの中でカサカサと音がする。この子は、どんな本能を持っているのだろうか。きっと、明るいこの部屋の電球に引き寄せられたのだろうね。太陽だと思ったのかな。夜に輝く、太陽。太陽に近づいたら、ジュッと焼けちゃうよ。
 ガラガラと窓を開けて、ティッシュをパタパタ。ポロリと虫は落ちていく。想像では、ブーンと飛んでいくと思ったのに。ベランダに落っこちた。チロチロと歩いているから、死んではいない。またもや鳥肌がゾクゾクと身体を覆う。この身体のボツボツは、ワタシの本能なのかしら。なにを身体は感じたのかしら。コントロールできない無意識に語りかけてみても、結局、何にも返事はなかった。
 
 そういえば、ワタシは、虫でも動物でも、「その子」って言い方をする。昔からだっけな。なんか、「その子」とか「この子」って言ってしまう。だけど、人間に向かって「その子」っていう言い方はあんまりしないかも。彼とか、彼女とか、なんか、ヘンテコ。ふと、思った。

 そろそろ、30分かな。今日は、思わぬハプニングあった。虫が部屋にやってきた。孤独がなんだとか、ウダウダ言ってたから、遊びに来てくれたんだと思う。忘れてた鳥肌を取り戻すことができたよ。ありがとうね。きっと、「あの子」に意思はなくて、もちろん、本能に従ったまでなんだけど、こっちで色々、理由をつけさせてもらったよ。

 少しだけ孤独がまぎれた、大阪より。
 

創作に励みになります!