冒頭文だけ作家
冒頭文だけ作家になってみた。おもしろいかなと思ったからで、大した意味もない。
小説すべてを書くのはきついけど、冒頭文ならすごい気楽。
選択肢がありすぎるのは逆に難しいかなと思って勝手に単語を1文字決めてそれ縛りで書いてみた。
①呆然と立ち尽くした。自宅を出るとそこには突如壁が出現していて外に出られなくなっていたからだ。
②困ったものだが、苔が生えた壁を見ると登りたくなる…そんな本能が生まれつき私にはあった。
③彼女の唯一の欠点はぬりかべが好きすぎることです。
④人生に時に立ちはだかる壁というものは何mまでなら果たして乗り越えられるのか…5mなのか7mかそんなことを延々考える。
⑤学校の西棟一番奥にほとんど使用されていない倉庫がある。人の目につかないであろうその壁端の一角に私は「希望」の2文字を筆ペンで書いた。
⑥壁紙のたたき売りなんて初めて見た。だからつい二度見してしまったのだ。
⑦僕が住んでいるアパートの壁を挟んだ左隣はフリーメイソンゆかりの地というもっぱらの噂。
⑧優しかった祖母は壁一面にバンクシーの作品を飾っており、日がな1日アールグレイでも飲みながら、それらを眺める時間が至福のひと時であると語っていた。
⑨「壁を作れ!そしてそれを壊せ!」が担任の先生の口癖だった。しかし、いまだにこの言葉の意味を理解できていない。
⑩視点を変えると物の役割が変わってしまうことは往々にしてある。例えば、壁。人間から見ればそれは空間を仕切る建築物であるが、猫から見れば絶好の安全地帯といえるだろう。
⑪買ってきたのはうずらの卵10個入り8パック。それを片っ端からショッピングモール内の壁という壁に投げつけたのです。
⑫ドトールのバイト面接で披露した三角飛び。そう…壁さえあれば俺は無敵だ。
⑬近所で一番高い壁を登り始めてから27年という月日があっという間に過ぎた。
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