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コメダオタクの聖地巡礼「オールドコメダ」

推しは推せるうちに推せ。

誰が放った名言だろうか。
コメダオタクたる私に、この言葉は深々と突き刺さっていた。

私が初めてコメダ珈琲店そのものを知った時、まだ1号店は存在していた。
1号店の姿は、メニュー表の表紙裏に載っている。

今のチェーン店とは異なる、レトロな店構え。それを見て、名古屋なんて行く機会無いしなぁ、まあ行けたら行きたいね、くらいに思っていた。

しかし、2014年3月。1号店は閉店を迎えた。
その時は私もそこまでコメダへの情熱は持っておらず、へー、そっかぁ…程度の微々たる残念さだった。

時が流れ、私は立派なコメダオタクに育った。
そして、再び1号店を思い返すタイミングがやってくる。

オールドコメダ
私がこの概念を知ったのは、ごく最近だ。
きっかけはこちらのnote記事。
詳細な紹介、読みやすい文章、納得の結論が示されているのでぜひご一読を。(何目線?)

オールドコメダとは、コメダ珈琲店の1号店から11号店までを指した名称だ。
※10号店までという説も。コメダには公式の歴史書を出してもらわねば。

そのオールドコメダだが、去年までは3店残っていた。
そう、去年までは。

3店のうち1つが、コメダ珈琲店 本店だった。
本店は、老朽化のため去年の8月に建て替えが行われ、同年10月にリニューアルオープンしたという経緯を持つ。
私は今年に入ってから、聖地巡礼として本店に行ったことがある。

さすが新しい店は綺麗だなぁ、などと喜んでいたが、まさか去年までの姿こそが希少だったとは……。

失われし1号店。改装した本店。
ああ、私の判断の何と遅いこと!
オールドコメダについて調べていると、後悔と危機感は募る一方。

残るオールドコメダは、高岳店今池店
この2店も、私がのんびりしていたら閉店・改装してしまうかもしれない。

推しは推せるうちに推せ
この言葉が私を名古屋へと駆り立てる。
失くなってしまったら、もう取り返しがつかない。
早く行かねば…!!

6月の土曜。
仕事終わり、新幹線に飛び乗りそのまま名古屋へ。

●コメダ珈琲店 高岳店

高岳店は土日休みなので、外観の写真だけ。
写真を撮るためだけにわざわざ訪れたのか?と思った人よ、これまでの文章を読んでいたのか?
次に来るまでに閉店するかもしれないんだよ!?
私のコメダフォルダに今の姿をしかと収めておかないと!

高岳店は喫煙可能で、結構タバコ臭がするらしい。タバコが苦手な私は、それほどくつろげないかもしれない。
だが、オタクは推しの全てを受け入れる生き物でなければならない。喫煙可は店舗の方針なので、それもまた受け入れるべきだろう。

平日休みが獲得できた暁には、その店内に足を踏み入れたいものだ。

●コメダ珈琲店 今池店

さあ、ここからが聖地巡礼の本番。
ついにオールドコメダに踏み込む時が来た。

地下鉄の今池駅から歩くと、街角にレトロな外観が。
ドキドキしながら、いざ入店。

店内で真っ先に目を惹くのは、何と言っても木彫りのパーテーション。
穴だらけのスカスカお洒落パーテーションなのに、座っている人の顔はちょうど見えない。
意外と計算されたシロモノなのかもしれない。

コメダといえば赤いソファだが、こちらはソファというより椅子。座面だけが見慣れた縦縞レッドだ。

テーブルはもっと独特だ。形が雲みたいでかわいい。
脚もアンティーク家具っぽい凝ったデザイン。

見上げると、暗い色調の天井、渋い色の梁、黒いエアコン。
照明も歴史を感じるデザイン。
全てが、あまりにも、あまりにもカッコ良い。

メニューは裏表の紙1枚きりだが、豊富である。

コーヒー1杯450円?
行きつけコメダの500円から見れば、とても安い。

コーヒーチケット10枚で4000円!?
安すぎんだろ…

店舗独自のメニューも気になるが、ここはスタンダードにレギュラーコーヒーとミニシロノワールで。

年季が入っているものの、清潔感のある食器類だ。
まずはレギュラーコーヒーから頂く。
カップを手に取ると、何だか持った感じが軽い。コメダのカップといえば有田焼だが、こちらにはAokiという表記がなされていた。

事前に調べたネット情報では、自家焙煎のコーヒーだそうで。しかし、コメダブレンドとそれほどかけ離れた味ではないように感じた。
いつものコメダブレンドは苦味より酸味を感じるが、こちらのレギュラーコーヒーは、酸味より苦味が強い。
酸味が苦手な私にとっては、より飲みやすいコーヒーという印象だった。

続いてミニシロノワール。

さくらんぼが無い、深皿での提供という点が異なっている。
溶けたソフトクリームやメープルシロップは、別に平皿でも溢れるわけではない。だが、深さのある器だと、これはこれで何だか安心感を覚える。

さあソフトクリームを一口。
いつもと違う!……気がする!
スプーンの入り方が若干重いのは確かだと思う。伊達にコメダのソフトクリーム食べてませんから。そして味わいは、やや濃厚であるように感じられた。
冬の期間限定商品・ホワイトチョコレートソフトクリームを彷彿とさせる濃さ・重さだった。

デニッシュパンは、表面がサクサク。
このサクサク感には覚えがある。
シロノワールには、デニッシュパンをしっかり焼く「よく焼き」というオプションが存在する。

その場合、デニッシュパンがサクサクする代わりに、溶けたソフトクリームはあまり染み込まなくなる。
ところがこの今池デニッシュパン、サクサクなのにソフトクリームがしっかり染み込んでいくではないか。
え、いいとこ取りってこと?最強か?

ミニシロノワールの後は、ドリンクサービスの小袋を開封。
裏面にはヨコイピーナッツという表記。名古屋では有名なのかな?

まさかの柿ピー。
ヨコイ「ピーナッツ」だし、豆菓子の代わりに添えてあるんだからピーだろうと思っていたら、柿も出てきてビックリした。

店内の雰囲気を味わいつつ、残りのコーヒーを飲む。
ふと脇の木材に目をやると…

鋲、打ってあるー!!

私がなぜ鋲で興奮するのかというと、
「コメダの古い店舗、壁の木材に鋲打ってる説」
を独自に提唱しているからだ。
まさかこの説の裏付けができるとは…!
今後ともコメダの鋲から目が離せない。

お店の方々は、色んなお客さんと親しげに話していた。常連さんばかりなんだなと思ったが、不思議とアウェー感や居心地の悪さは無かった。
むしろ、とても居心地がいい。
近くにこんな店があったら絶対に通いたい。
滞在1時間でこんな好きになることある?

しかし所詮はコミュ症きなこ。
好きになっても、近寄ることはできない。
お店の方に話しかけることもなく、ご馳走様でした、だけ言って退店。

さようなら、今池店。
どうかお元気で…!

そして、翌朝。

ただいま。
だって、どうしてもモーニングが食べたかったんです。

せっかくの珍しい店舗でモーニング食べないとか、もったいないにもほどがあるってもんですよ!
昨日訪れたから今日は行っちゃダメなんてルール無いですよねぇ!?

アイスコーヒーと、小倉あんトッピングのモーニング。

ミルクをお願いしたら、既に投入された状態で現れた。
アイスコーヒーの表面が白いのはそのためだ。
トーストはふわふわで、小倉あんとバターが馴染んでいて、最高だった。

事情は分からないが、今池店はチェーン店ではない。だから、公式サイトの店舗一覧には載っていない。
外観、内装、食器の全てに年季が入っており、慣れ親しんだコメダ珈琲店とは明らかに雰囲気が異なっている。

しかし、清潔感、あたたかみ、安心感はそこに間違いなく存在する。
それらが合わさって生み出される居心地の良さは、確かにコメダ珈琲店の「くつろぎ」なのであった。



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