人間の醜さが詰まっている。映画『穴』
こんばんは。きなこもちです。
以前、映画『ゴーストワールド』を紹介しました。
こちらに出ているゾーラ・バーチの映画でもう一本好きな映画があるので、今日はそれを紹介します。
あらすじ
イギリスでも指折りの名門パブリック・スクール、プレイボーン学園。ここに通う4人の生徒が、ある日忽然と姿を消した。騒然となる警察とマスコミ。やがて、失踪から18日後、4人の生徒のうちの一人、女子高校生リズだけが薄汚れ、憔悴しきった姿で発見される。リズに、そして3人のクラスメイトにいったい何が起こったのか? 事故なのか、それとも犯罪か? 真相解明とリズの精神的ダメージを癒すため犯罪精神科の女医フィリッパがカウンセリングを始める。やがて、リズはビデオカメラに向かって、悪夢の顛末を語り始める……。
『穴』に詰まったもの
タイトルが非常にシンプルですが、文字通り穴の中で起こったことを描いた映画です。リズを演じるのがゾーラ・バーチで、一緒に地下室につながる穴に落ちたのがフランキー演じるキーラ・ナイトレイ。あと男の子2人。正確には落ちたのではなく、穴を秘密基地にしていました。
これが割とはじめからいたたまれないのです。明らかに男2人がフランキー狙いで、リズを空気扱い。なんなら「なんでお前いんの?」みたいなことを言っちゃう。この時点でいろいろとアレなわけです。フランキーは仲良くしてるつもりなので、リズにもやさしくしようなんて言ってますが、やられる側はたまったものではありません。それはやさしさではないぞ?と。
そういった人間の醜さが穴から出られないとわかった瞬間に一気により強くなります。この辺のドロドロの人間模様が『穴』の描く内容です。リズだけがなぜ、どうやって穴から出てきたのか。この辺をミステリータッチで描くスリラーです。
ゾーラ・バーチの怪演
気持ち悪いなと感じる演技をする女優さんはたくさんいます。映画『プール』のストーカー女、『ルームメイト』のどんどん人の真似をする女、『ヘレディタリー』のお母さん、『氷の微笑』の徹底したサイコキラー、『ミザリー』の監禁女、『ワイルドシングス』のIQが超高い女など、とりあえず思いつく限り上げてみましたが、まだ他にもいます。
今回紹介する『穴』のゾーラ・バーチもものすごい気持ち悪さとうまさが出ています。そして個人的には『ゴーストワールド』より、この『穴』の方が「この人、これから来るでしょ!」感が強いです。
このときも『ゴーストワールド』も『アメリカン・ビューティー』もそうなんですけど、だめな女の子の役がとにかくうまいんですよ。絶妙にこちらの劣等感と共感をあおってくるんですよ。好きな人がいる。でもその人は別の誰かが好き。自分が彼に選ばれることはない絶望。この絶望感を見事に演じきっていて、本当に素晴らしいのです。
ですが、今作はそれだけではなくて、計算高さ、小賢しさも魅せていて、すごく魅力的な人物となっています。ただし、映画として魅力的な人物なのであって、実際にいたら絶対にお近づきになりたくないですが😅
たぶんサブカルよりの人だと先に『ゴーストワールド』を知るんじゃないかなーと、そのあとか先かで『アメリカン・ビューティー』に入ると予想してるんですが、『穴』は意外と見る人少ない気がしてます。でもゾーラ・バーチの魅力を知りたければ『穴』は見たほうがいいと思ってます。
ゾーラ・バーチに食われたキーラ・ナイトレイ
実はというか、この映画にはキーラ・ナイトレイも出ています。が、ぶっちゃけ空気です。ラストの方でゾーラ・バーチと会話するときに「あ、おるやん」と思った程度でした。
ただ、ゾーラ・バーチが『穴』や『ゴーストワールド』以降、出演作が減っていったのに対して、キーラ・ナイトレイの方は次々といろんな映画に出ていったのが私の中では印象的です。
これはあくまでも私の勝手な予想ですが、ゾーラ・バーチは若いときの不安定な女の子を演じさせれば抜群にうまいのですが、人間は歳を取るので起用しづらくなっていったのかなと思います。2012年から学業に専念するために一時休業していたとのことですが、それでも『穴』は2001年で10年もの間があるので、その間であまり大きくは出られなかったのかなぁと思っています。
対してキーラ・ナイトレイはわかりやすくかわいい。もちろんかわいいだけでは起用されませんので、芯の強さとか見られますが、それでも起用しやすさは上なんじゃないでしょうか。
「この人、これから来るでしょ!」と思ったのになぁとゾーラ・バーチについては思ったりしています。
おわりに
なんか『穴』という映画よりゾーラ・バーチのことを書いてますが、ゾーラ・バーチが気になったならぜひ『穴』を見てみてください!
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