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年齢により踊れる役や深さは変わる。マンガ『ダンス・ダンス・ダンスール』22巻

こんばんは。きなこもちです。

マンガ『ダンス・ダンス・ダンスール』の22巻が発売されましたね。さっそく読みましたのでレビューです。

あらすじ

主人公、潤平はパトロンであるゲイリー経由で、とある映画のオーディションに参加した。そこには何と、かつて争ったダンス仲間である流鶯の母親、真鶴がおり、潤平は少し動揺する。師匠であるブランコから『ドン・キホーテ』のバジルの役を指定されバレエを舞ったところ、その場にいたキャストからは高評価だったのに、真鶴から日本語で「残念!あなたには落ちてもらうわ!」と言われてしまった…。

流鶯の母、真鶴の妖艶さ

潤平はすっかりメロメロでした。そもそも惚れっぽいところがありますが、すさまじい色気のある女性なので他の男性でもコロッとだまされそうです。

ただやはり一度は本気で取り組んでいたのであろうバレエなので、潤平への指摘はだいぶ的確でした。「自分の動画撮ってスローモーションで観てみなさいよ。」というアドバイスも含め、かなりよく見ていましたね。あのシーンは普通にいいアドバイスしてました。

しかし真鶴の、流鶯について言ってることはどのくらい本当なのかわからないです。女優さんなので、潤平くらいなら演技でだませそうです。

昔、京都の錦市場で女優の木村佳乃の撮影現場にたまたま居合わせたことがあって、カメラもあるので少し遠巻きに見るしかできなかったのですが、ものすごい美人で、いわゆる後光が指すって感じに見えました。光ってるように見えたんですよ、本当に。女優さんに会ったのはその1回だけですが、真鶴もそんなふうに見えるのかもなと想像して読んでました。冗談抜きで、演技されたらこっちが骨抜きにされると思います。

50代のバレエダンサー、マシューの貫禄

私はこれまでバレエの舞台は見に行ったことがないので知らなかったのですが、バレエダンサーって50代の方もいるんですね。たとえばオリンピック選手などはだいたい30代前半くらいで引退してるイメージがあって、ダンサーも同じようなものなのかなと想像していました。

しかし、今回は50代のバレエダンサーであるマシューがお手本として潤平が練習しているスクールに来てくれたのです。

『コッペリア』という題目でコッペリウスの役をやっていました。コッペリウスとは年老いた人形師です。人間に見紛うような精巧な少女の人形、コッペリアを作りました。一方の潤平はフランツという、窓際で本を読む格好で座っていたコッペリアに片思いする若い男役です。フランツにはちゃんとスワルニダという恋人がいるんですけどね。

本当は人形で動かないコッペリアをフランツは人間だと思い込み、直接会ってみたいとコッペリウスの屋敷に忍び込みます。そこをコッペリウスに見つかって、てんやわんやする一幕をどのように演じるか。マシューは自嘲気味に「バレエダンサーとして、決して若くない私はそもそもコッペリウスそのものなんだよ。」と話し、コメディの一幕をマシューにしか出せない深さで演じるのです。

映画でも若いときに恋愛映画などでいかにもな色男を演じてたような人が、歳を取って、その歳だからこそ出せる味わいみたいなものをまとった演技をすることがあります。バレエもただ踊っているのではなく、テーマとなる物語や曲があり、それを躍りで表現するものだとこの話でようやく理解しました。もちろんコンテンポラリーといって即興で踊るものもあるので、いつもテーマが明確というわけではないのですが、若ければいいのではないということと、ダンサーは意外と寿命が長い(※ただしうまい人に限る)ということを知りました。

潤平もマシューに感化されて、マイムの踊り方を体と心で理解していく、非常に印象に残るいいシーンでした。

おわりに

今回の巻も気になる終わり方をしていました。次回も楽しみですね。

個人的に流鶯と真鶴はどこかでちゃんと再会できたらいいなと思ってますが、ばったり会っちゃうとか今後あるんですかねぇ。

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