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アンパンマンを食べたい

今、急に思い出したのだが、4歳くらいのころ、幼稚園で自己紹介シートを作った時のこと。名前を呼ばれた順番で、質問に答えて先生が代筆する。私の名前が呼ばれて、誕生日や好きな食べ物に続いて、最後の項目に「将来の夢」の欄があった。幼稚園の先生に「大きくなったら何になりたい?」と聞かれて私はすぐに「アンパンマン」と確かにはっきり言った。しかしそれはアンパンマンへの憧れというよりは、美味しそうだから食べたい、という意味合いだった。アニメや絵本でアンパンマンが自身の頭をぷにゅっとちぎって誰かにあげるとき、そしてその人がそれを食べるとき、幼児だった私はその描写や効果音から、ぎっしり詰まった餡と、ほどよく固そうなパン生地を想像しながら「私もいつかアンパンマンを食べたい」と思っていた。

あれから二十数年、アンパンマンミュージアムの存在を知った私は、居ても立っても居られなかった。正直あれから長い年月が経ったので、昔の自分がアンパンマンを食べたがっていたことなどほぼ忘れていたのだが、記憶の海底に沈んでいた夢はすぐに発掘された。アンパンマンが食べれるの?二十数年間のひそかな大望が叶うの?真っ先に予定を立てた。入場して向かったのは「ジャムおじさんのパン工場」。

アンパンマンたちを綺麗に写真に収めたいとかいう欲望は浮かばず、スマホカメラアプリHUJIでパパっと記録。存在だけでもう素晴らしいのだから。

想像通りのアンパンだった気がする。アンパンマンを食べている事実だけで正直お腹いっぱいだ。
アンパンマンミュージアムには夢が詰まっていた。乗り物や、アンパンマンが焼ける様子が再現されたコーナーなど、私が子供だったら大はしゃぎだったに違いない。大人になった今も心の中は大興奮だった。それから、ミュージアム内では様々なキャラクターが紹介されていたのだが、私は主要、もしくは脇役キャラクターくらいしか覚えていなかった。きっと、私がアンパンマンシリーズをみてこんなに感動するのは、それ自体よりも、アンパンマンを好きだった自分の幼心を思い出すからだと思う。

室内には、歴代映画のポスターが飾られていた。小さいころに家で観ていた映画や、観てからごっこ遊びをした映画など、記憶の限りではいくつかアンパンマン映画を見たことがあるはずだ。覚えている数々の断片的なシーンを頼りに、それがどのタイトルの映画だったかを探した。いくつか特定したので、Huluで観ることにする。
ほかにも、ミュージアムショップでグッズを買った。アンパンマンたちが描かれた子供用グラスがどうしても可愛くて、買ってしまったものの子供サイズなので、これでウイスキーでも飲もうと思う。

ミニチュアの世界が貴くて絶句。写真を撮るのがもったいない。

Fujifilm X-A7
オールドレンズ


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