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あえて残してズレる破壊力

曲を作るということ~アルバム制作日記~
残してズレる破壊力制作状況

最新 制作状況
1.新・諸行無常宣言
2.men in civilzation
3.Give & Give
4.DISHUMAN LIGHTS
5.狂って笑って
6.Forever2月
7.透明へ
8.天才の行方
9.Guernica ⬅︎今回のテーマ
10.ショーペンハウアー
11.白い手紙
12.0人称


本日もアルバム制作にいそしむ私でありますが、今回のアルバムの中に「Geruniaca」という曲がある。そうあのピカソの有名な絵であるゲルニカだ。

ゲルニカは人の名前であるような気がするが実はスペインの小都市の名前だ。
1937年のスペイン内戦時にドイツからの無差別空爆を受けたことがきっかけで描かれたとされる。しかし、どうして彼がそれを書こうとしたかは定かではない。契機と動機は必ずも一致しない。
今回この「Geruniaca」を作曲するにあたって、ピアニストをひとり入れる。
彼にゲルニカの原曲を弾き語りで送り、かれがそこにピアノを付けて返してくる。その後打ち合わせをしイメージを共有している。「Geruniaca」はとても優しく切ない歌なので当然激しいピアノは必要でないと多くの人が思うと思うがそうでない、優しさを表現したいならどこかに異物を混入させる必要がる。すなわち今回で言えば、怒りや情念、すなわち優しさ切なさの真逆に位置する感情だ。そのような感情が曲の中に共存した場合、切なさはより一層、優しさはより一層際立つ。
平和を感じるためには戦争がないといけないように、生を感じるためには死を必要とするように。
近未来を描くSF映画はあえて、今日の製品を劇中に描く。
全てが新しい近未来の製品よりところどころに非近未来世界が使っているテレビなどが盛り込まれているようにあえて演出する。そうして日常の普通の物と、そうでない近未来のものをあえて混ぜるとかなり近未来的な世界観が作り上げられる。近未来製品は非近未来製品の存在によってその「新しさ」を強調することができる。よって、あえて残してズレることの美学が重要なのだ。
人が気持ち悪さを感じるのは、ほとんど人間と同じなのにどこかが違うという感覚、95%くらいは同じなのに、残り5%がどこか気持ち悪い。このような感覚になると人はその5%が余計に気になって際立つ。そのようなあえていつもと変わらない普通を残して、ズラすことによって最大限恐怖を引き出している漫画がGANTZだ。
GANTZは変哲もない日常の中に普通に星人がいることによってその恐怖感が一層増す。

女子高生のふつうの靴下、セーラー服が怖さを倍増さす。見れば見るほど怖い。このように、何かを見せたいときはめちゃくちゃに見せるのではなく、かなり普通を残してズラすことでその爆発力をリアルに増幅させることができる。

今回のゲルニカはそのような意味で、この「残してズラす美学」を使って曲を制作している。
ゲルニカのやさしさ、切なさを最大限表現できるようにそれもできるだけ無意識に。今回はそのような役割をピアノに任せたい。もちろそれ以外の音も入れてはいくが、「Geruniaca」のピアノは激しくではなく、うるさくない音でその、憎悪と情念を表現してもらえるように依頼するつもりだ。そうなると大きな音は使えない、めちゃくちゃに弾けば曲のやさしさと切なさが壊れてしまう。そうなってはいけなので、できるだけ普通の音で、少しずれていることによってその憎悪と情念を表現してもらいたい。
すなわちこの「Geruniaca」の中には二種類の「残してズラす美学」が構造的に存在することになる。まずは、やさしさ、切なさを表現するためにあえて憎悪や情念を入れる事、そして、実際に音にする際にピアノも同様にやさしさせつなさを表現するために憎悪や情念を表現するフレーズが求められるが、それは決して激しいうるさい音ではなく「残してズラす美学」それを表現するために普通のフレーズの延長の中にズレを作ることがもとめられる。
この二重の「残してズラす美学」によってGuernicaは構造づけられることを切に願っている。

「Geruniaca」作詞作曲 総理

Guernica

Guernica

ララ

Guernica

Guernica

大きな目

小さな口

エラの張った輪郭

優しい頬の匂い

日常という額縁の中

いつまでも
いつまでも

ゲルニカ

ゲルニカ

ゲルニカ

寒いよゲルニカ

ゲルニカ

ゲルニカ

ゲルニカ

優しいからゲルニカ

年内にクラウドファンディングにて先行予約始めます。現場からは以上です。

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