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我が道をゆく夫の世界は、アホらしいが美しい

どうも。

夫はオタクです、本当です。家にはすさまじい量のプラモやフィギュア、ミニチュアなどが所狭しと並んでいる部屋があります。

許された者だけが入室することができ、ただただ彼のコレクションを見せつけられる部屋。ひとつ手に取り「これは何?」と尋ねると、いつどこで購入したなどのデータや買ったときのプラモ屋店員とのやりとりを、彼の口から聞くことができる。

開かずの間

わたしの意図など付け入る隙のない部屋。


そんな彼と滋賀に行ってきた。5時間別行動して、それぞれの時間を過ごした。彼が向かったのは海洋堂フィギュアミュージアム。5時間後、合流すると、何食わぬ顔で大きな紙袋を手にしていた。その中身とは。

【夫の購入品】
◎エヴァンゲリオンのフィギュア(15,000円)
◎ガチャ20回(400円×20回=計算したくありません)


夫は特にエヴァが好きなわけでもなく、アニメも映画も見ていない。どんなキャラクターなのかも知らないのだが、ただただ「かっこよく惹かれた」から購入したという。

よく知りもしないキャラものを買う(しかも15000円だゼ)とは、わたしの世界には「ない」発想。もしもすげー悪いことするようなキャラだったら、嫌じゃないんか?う~ん・・すごすぎる。一目惚れしたアート作品を買うような感覚なのだろうか?それならちょっとわかるかもしれないし、わからないかもしれない。


そして、なんといっても20回のガチャだ。


今回、彼のハートをわしづかみにしたのは日本の至宝仏像立体図録【彩色変化】威容の四天王編である。

御覧の通り4種類(持国天・広目天・増長天・多聞天)×3色(ブロンズ風・金・経年劣化)の全12種類。このガチャを計15回見事にまわしてのけた。ちなみに残りの5回は『日本の至宝仏像立体図録【彩色変化】邪気を祓う守護神』。同じようなやつだ。

普段信仰心があついわけでもないが、コレ!!と思ったものへの執着心がすさまじい。この日はとにかく仏像モードだったらしい。

いくら好きだからといったって、わたしには同じようなガチャをたくさん回す勇気はない。しかも同じもので色違いって、あまり変わり映えしないではあーりませんか?うーむ。夫はわたしには「ない」ものを、たくさんもっているからおもしろい。

はたして、同じようなガチャを20回まわすとはどういう心理なのか?

本人を直撃してみた。


たくさんガチャる目的とは?

彼曰く『とにかくたくさん欲しい』とのこと。コレだと思ったガチャを集めたい、その一心だという。

「ダブって悔しいとかは思わないわけ?」と聞くと、そりゃー全種類でればそれが一番いいけどそこが重要なのではなく、たとえ同じものがでたとしてもそれはそれで、たくさんあることがいい、と。

なななんと。

いかに少ないお金で、かぶらずに全種類集めたい者とは大違いの余裕の発言である。

同じものがいくつあってもいい・・かぁ。

ガチャってだぶればテンションが下がり、別のがでると歓喜する・・その「感情の波」をわたしは楽しんでいる。一方彼の楽しみは、ただ「所有」することにある。楽しみ方が全然違うのだ。

同じことするにしても、人と人でこんなに捉え方や感じ方が違うことが興味深い。

そのガチャどーしてんの?

彼はガチャをしているときに、いちいちその場で中身を確認しない。すべてのガチャを家で目にする。しかも、自分で開けたいという欲もほぼないようで「開けていいよ~」という始末である。

わたしは何が入っているのか気になって自分で確かめたいタイプなので、まずこの心境がわからない。

中身は関係なく、自分がコレだ!と思ったガチャがたくさん手元にあるという事実だけで、本当にすでに満たされているらしい。


開けるとダイニングテーブルに並べられ、夕飯時に眺めている。必然的に同居人も目にすることとなり、なんだか愛着がわいてくる。

しかし日が経ってくると、ミニチュアにホコリがつくのを気にし100均のケース(しかし決して100円ではないやつ)に移す。


ガチャについているミニ冊子(個数分)と白い紙と一緒におさめられたのち、開かずの間へと移動することとなる。

今回はケースにいれられたが、お菓子の箱などにいれられることもある。つまり飾るというよりは保管され、驚くことにそれから何年も目にしないこともあるようだ。それらのガチャは長い眠りにつくこととなる。


あなたにとってガチャとは?

単刀直入に尋ねると「なんやかね・・」としばらく沈黙があったのち「まわしつづけるもの、しつづけるもの」と返ってきた。どうやらこれからも回す気満々である。ひええ。

ガチャをするとか、フィギュアを買うという行為は基本的に楽しい記憶であるはずだ。amazonなどでも買うけれど、今回みたいにお出かけして出会って買う楽しみもある。

おそらく彼にとってガチャを回し収納することは、陽気なタイプカプセルをせっせと作っているようなもので、いつも目にしなくても・・いつか目にした時に、あの紙を頼りに「あのときあーだった、こーだった」と記憶が蘇ることが嬉しいのではないだろうか。買ったお店の雰囲気だとか、その日何をしてたかだとか、お店の人との会話などなど。


つまり物に自分の人生を刻んでいるともいえる。わたしで言うところの手帳のような存在だろうか。

なんということだ・・。そんなことに気づいてしまったからには「そんなに集めてどーする?死んだらどーしたらいいのん?」とは、もはや言えなくなってしまった。

誰に見せるでもなく、こっそりたっぷり「ある」だけでいい。いまどきはSNSに投稿して、誰かからの「いいね」が欲しいとか思いそうなものだが。


本当に一人で完結してる趣味・・なんだかすごいなぁと思うと同時に、わたしのまなざしは少しだけやさしくなったのであった。



おしまい

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