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田舎暮らし、だろうか

信州上田に住むようになって、
山が間近にある生活になった。
これが思いのほか心地良い。
山のある景色を眺めることで、
こんなに安らぎを得られるとは知らなかった。

実家は埼玉県の荒川沿いの市だし、
社会人になってからは東京で生活していたので
山を見るには天気の良い日に
遥か遠くの富士山を眺めるぐらいしかなかった。
それぐらい、平坦な土地に暮らしていた。

それが、上田は盆地なので、360度、山。
しかも土地の起伏が激しく坂道ばかり。
自宅も小さな山の麓なので、
ちょっと歩けばすぐに入山できる。
今まではちょっと歩けば
コンビニに入れる、だったのに。


街育ちのわたしが、
いきなり信州の山間に越してきて
暮らし始めたわけだが、
抵抗とか違和感とか疎外感とか
そういう負のものを抱えることがまるでなく
スポンジに水が吸われるように
この土地に自然に吸い込まれてきたことには、
何か理由があるのか、考えてみた。


まずは、環境が変わることが好きだということ。
その環境に合わせてしなやかに生きたい。

それに、新しい環境には新しい発見がある。
そうして経験値を積むことが、楽しい。

それから、上田に越してはきたが、
田舎で暮らしているという実感がない。
確かに歩いてコンビニに行くには遠いが、
無いわけではないし、少し車を走らせれば
スタバもイオンもブックカフェもある。
ネットでなんでも買えるし届くから、
不足感がない。

それにデザインの仕事をいただくクライアントが
ほとんど東京からなので、
あちらの空気もなんとなく伝わってくる。


上田に初めてきたのは、15年ほど前のことだ。
まだ恋人同士だった時の夫が、
家族に紹介したいからと正月に連れられてきた。

新幹線を降りて、
上田駅の改札を出た時のことはよく覚えている。
空気が冷たくて清々しく
山が間近ある景色にびっくりし、
ああ、ここに住んでもいいなあと、自然に思った。

まだ付き合いたてで、
結婚するかどうかも分からないというのに。
(けっきょく結婚したし、住むことになるのだが)

長野県に根付いているスーパー
「ツルヤ」に初めて入って、
その広さと綺麗さにまたもやびっくりした。
埼玉や東京にはない類いのスーパーなのだ。
今ではしょっちゅう利用していて、
飽きることなく、ツルヤは大好きだ。


上田は都心に比べれば田舎で、
いわゆる「田舎暮らし」的な
畑で採れた新鮮な野菜を食べられるし、
ちょっと散歩、にしては登山に近い。
イノシシもタヌキもうろついている。

でも、ネット社会のおかげで、
いい具合にどことも繋がっている。
今のわたしにとっては、
ちょうどいい田舎での暮らしだ。

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