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ココア好きがコーヒー好きになりまして

大学で4年間続けたスタバでのバイトの話。

大学に入って、1ヶ月がたった頃。
新生活にも慣れてきたので、バイトを始めようと思った。高校時代、バイトをしたことがなかった私にとって、人生初めてのバイトだった。

・大学と家の間
・駅チカ
・自分の好きな飲食

そんなさっくりとした条件から、わたしは、スターバックスでのアルバイトの戸口を叩いた。


高校生のときは、都会ど真ん中の高校に通っていたにも関わらず、基本夜ごはんの時間には家に帰る健全児であり、あって、ときどき部活帰りにコンビニでアイスを買うか、もっと低い頻度で、マックに行くかだった。

正直、スタバには定期テストのご褒美として、数えられるほどしか行ったことがなかった。

ただ、冬の寒い日にお店に行ったとき、店員さんの思いやりのある接客や、あったかくておいしいドリンク、それぞれのお客さんが作業にふけっていたり、会話を楽しんでいる、そんな落ち着く空間にとても感動したことをよく覚えていた。「単にものを売る仕事ではなく、自分もその価値を与える側になりたい」ということを、面接で当時の副店長に伝えた記憶がある。

一通り志望動機を話した後、副店長に聞かれた。

「スターバックスで好きなドリンクはなんですか?」

私は馬鹿正直に「ココアです。」と答えた。

その当時、コーヒーはあまり好んで飲まなかったし、キャラメルマキアートなどのエスプレッソ系メニューも全然知らなかった。その一方、ココアは昔から大好きで、実際スタバに行ったときも、サイドメニューのココアばかり頼んでいた。

コーヒーが苦手な店員さんは、スタバにも多くいる。ただ、そういう子はフラペチーノとかのトレンドに強かったり、きらきら感があって、ちゃんとスタバに通っていた子が多く、自分はそれには該当しない。

ましてや、「近所のセブンイレブンの接客が最高に良い」というマニアックな話までしてしまったから、家に帰って、姉に面接の話を話したら、「落ちたねww」と言われた。

が、しかし、後日合格通知のメールが来た。半年くらい経ってから、副店長に理由を聞いたら、「伸びしろがあると思ったから」と言ってくれた。こんな変なやつを採ってくれた、変な副店長に感謝である。笑


そんなこんなで、スタバでのバイトがスタートした。

最初が大変だったのは言うまでもないが、コーヒーに関して、想像していた以上に触れることになった。(そりゃコーヒー屋さんなのだから当たり前です)

座学で、焙煎方法や、生産地などの基本について学び、コア豆(オールシーズン店舗で販売されているお豆)のテイスティングをした。毎シフト前にもテイスティングをし、その日提供するコーヒーの味をどう説明するかを考えた。

最初は、「土のような」とか「ベリーのような」とか、全く意味が分からんと思っていたが、だんだんとその違いが分かるようになり、気づいたら、他のコーヒー屋さんでコーヒーを飲んでも、その味で、大体コーヒーの産地が分かるようになった。

特に私が一番感動したのは、フードペアリングだ。

フードペアリングとは、相性の良いコーヒーとフードの組み合わせのこと。私は、誰もがコーヒーの細かい味の違いを分かる必要はないと思っている。ただ、相性の良いコーヒーと合わせることで、食事がよりおいしく感じてもらえて、その人が幸せを感じてくれることに価値を感じる。

スマトラ×バターミルクビスケット

スタバの中だと、この組み合わせが私は好きだ。スマトラは、単体で飲むと、パンチがあるコクの深いコーヒー。それをバターミルクビスケットと一緒に食べると、ビスケットの重い生地感・バターの風味とマッチして、とてもおいしい。

コーヒーの抽出する器具によっても味は変わる。コーヒーを飲む器にまでこだわってコーヒーを淹れる人もいる。世界を見てみると、コーヒーのいろんな飲み方がある。

コーヒーはめちゃくちゃ奥深い。

スタバでバイトを始めて、家にもコーヒー豆を買って帰り、ハンドドリップで淹れるようになった。私以外の家族はもともとみんなコーヒーが好きであったが、普段はインスタントや、紙パックのコーヒーを買っている。だから、私がコーヒーを淹れると、とても喜んでくれる。

私は、周りの人に喜んでもらうために、丁寧にコーヒーを淹れる時間が好きだ。最近も、お気に入りのコーヒー屋さんを見つけては、コーヒー豆を買って帰る。

お湯を注ぐ音、息を吹き返したように台所から香る、コーヒーの風味。

「あー良いにおいがする!」コーヒーの香りに気づいた母が言う。

そして、コーヒーを口にして「おいしい」と言ってくれる。私はそんな瞬間を楽しんでいる。


サイドメニューのココアしか知らなかった私を、未知なる世界に導いてくれた、この経験に感謝である。



あ、でもね、今でもココアは大好きです!


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