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"全治4週間の肉離れ"の正体

サッカー界でよく耳にする軽度の怪我。実際に筋肉が断裂しているわけでもないのに"肉離れ"という名称は、ネーミングセンスが悪いし早くやめてもらいたいものです。逆に考えれば肉が離れたもの("離れる"という単語は断裂を想起すると思うのですが、実際は軽い損傷もしくは損傷すら起きていない)が4週間で再生するっていうのもおかしな話ですし、本当に誤解が誤解を生み本質から目を遠ざけています。そして、これが筋拘縮(硬く縮こまって不活性化している筋繊維の塊)の蓄積による"急性の筋肉の硬直化"による障害であるという事実を理解できないとドツボに嵌り、下手をすると1年間を棒にふるような大怪我につながってしまいます。前十字靭帯損傷、アキレス腱断裂、中足骨骨折などの大怪我や、シーバー病、シンスプリント、オスグッド、グロインペイン、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症などの慢性痛もそのほとんどが筋拘縮の蓄積が閾値を超えるほど多くなったことによる弊害に他なりません。筋拘縮が蓄積した筋肉は本来の伸縮性を失ったただの錘になります。伸びるはず筋肉が伸びなければ骨が付着している靭帯に急激な負荷がかかり簡単に断裂するのも必定です。競技としてのサッカーは人體にとって"負荷以外の何ものでもない"ので、日々プレーの後は入念なケアをしないと保たないスポーツと考えています。

急性の硬直および痙攣は、筋肉がギュッと掴まれような感覚になり激痛が生じます。筋拘縮の蓄積が閾値を超えると血管を圧迫し急激に血流が滞り酸素と栄養の供給が絶たれ筋肉が伸縮できなくなります。痛みは血流障害による酸欠で発生したブラジキニンという発痛物質が影響していると思われます。MRIで映る白い影は軽い出血や炎症などの病変ですが、毎日厳しいトレーニングをし、週末に真剣勝負である高負荷のゲームをこなせば痛みの自覚症状がないにしても、ほとんどの選手はどこかに白い影が映ると思います。特に筋拘縮の蓄積が多い部位は…

ここで対症法を間違う現代のスポーツメディカル。
・アイシングや消炎鎮痛剤によって痛みを消す
・怪我の原因を筋力不足と断定し、痛みが消失したら筋トレで強化する

この2つをやめるだけでも再発率は低減するでしょうが、つまり、この2つがさらに筋拘縮を増やすことになるというのが何とも皮肉な話です。アイシングで血流を滞らせば痛みは低減しますが根本治癒は遅れてしまいます。消炎してしまえば炎症という治癒反応を止めてしまうので根本治癒が遅れてしまいます。痛みを消したいのか?治癒したいのか?どちらですか?という簡単な話なのです。

いまだにアスリート界で信奉されているRICE(Rest安静、 Ice冷却、 Compression圧迫,、Elevation拳上)は1978年にMirkin博士が提唱者したものですが、みなさんは、その博士自身が2021年にアイシング(冷却)の効果について疑問を呈しているのはご存知でしょうか?

博士のレポートを要約すると、
・アイシングと休息の両方が、助けになるどころか治癒を遅らせるかもしれないと考えられている。
・免疫細胞であるマクロファージによって放出されるインスリン様成長因子(IGF-1)、つまり一連の炎症(免疫反応)による治癒だが、アイシングによってIGF-1の放出が阻害され治癒が遅れてしまう。
・アイシングした後、何時間も血管が再び開くことはない。この血流の減少によって組織が死んでしまい永久的な神経損傷を引き起こす可能性さえある。
・イブプロフェンのような非ステロイド性抗炎症薬など、ほとんど全ての鎮痛薬は治癒を遅らせる。
・アイシングは痛みを軽減するのに役立つかもしれないが、アスリートの体力、スピード、持久力、協調性を阻害する(*筆者見解:筋拘縮を助長するので筋肉の機能性が落ちるのは明白)

さて、それでは「3週間安静にしたら筋拘縮は減るのか?」ですが、実際に表層の筋拘縮は緊張が解けて緩みはじめます。1週間で痛みも減りジョギングもできるでしょう。しかし、問題は深層筋(コア)のしつこい筋拘縮や、筋膜の癒着、筋肉同士の張り付き(コンプレッション症候群の原因)、起始停止部以外も骨にこびりついている筋肉なのです。これらの器質異常のほとんどが筋拘縮の結果であり、これらが一朝一夕で解決できないのは想像に易いと思います。つまり、大怪我を予防しながら長く高いレベルのプレーを表現するためには軽い怪我の時に「痛みさえ消えれば治癒」ではないという現実に向き合う以外ないのです。

プロサッカー選手の多くは、たとえば"6歳から"はじめたサッカーで徐々に筋拘縮は蓄積していっています。ちなみに、筋拘縮の蓄積は触診をしなくても関節可動域(ROM)の制限でおおむね検証できます。もっとも顕著にROMが制限されるのが足首です。少年サッカー時代を思い出して欲しいのですが、セルフケアやかかりつけの治療院などなかったはずです。成長期は細胞の再生が活発なのでケア不足でもそこまで根は深くならないでしょうが、膝痛や股関節痛を発症した子どもたちは問題を抱えることになります。最初の怪我は"足首の捻挫"。これをしっかり対処しておかないと土台が崩れて骨格が歪み膝や股関節まで影響が出ます。そして、怪我の痛みを庇うことで體のバランスが崩れてしまい、さらに筋拘縮が蓄積しやすいプレースタイルになるという悪循環に嵌ります。

足首の捻挫を繰り返し、ジュニアユース辺りから"軽い肉離れ"を経験し、そんなこんなでなんとかユース年代まで辿り着いても、體は筋拘縮まみれの選手ばかりなのですから、だんだん怪我の発生頻度が高くなります。場合によっては重度の筋断裂や、靭帯損傷、アキレス腱断裂などの大怪我が発生するのは必然なのでしょう。加えて昨今の盲信的な高荷重による筋トレブームが怪我の発生およびパフォーマンス低下を助長します。一言付け加えておきますが、私はトレーニングを否定しているわけではありません。骨格が成長を止める18歳までは、一つ間違うと骨の成長に悪影響があるトレーニングには細心の注意が必要だと警鐘を鳴らしているのです。高荷重の筋トレをしている選手の筋肉は総じて筋拘縮が多く、骨格の歪みが顕著だからです。

土台となる足から崩れている骨格は骨盤前傾(サッカー選手は圧倒的に骨盤前傾で反り腰が多い)で固定されおり、機能性を失っている股関節屈曲の選手が顕著です。骨盤からつながる背骨(腰椎ー胸椎ー頸椎)は一つ一つが動くものなのですが、骨盤前後傾のコントロールができない選手の背骨はガチガチに固まっており上半身が板のように硬くなります。首がまともに動かずに視野がどんどん狭くなっていくのは気のせいではありません。筋拘縮を低減させるためにも、まずは骨格構造の最適化のための裸足トレーニングや骨盤体操や背骨体操など地味で負荷は軽いですがとても重要なエクササイズをしっかり実践して筋肉の過緊張を解きほぐしていくのは重要なプロセスだと考えています。

骨格構造が歪んだままのユース世代での荷重による筋トレが常識になりつつあるここ数年の弊害は、のちの5年くらいで顕在化するのでしょうが、個人的にすでに問題になっていると感じるのはプロに上がれずに大学体育会へ迂回するプロ選手予備軍たちの怪我の多さと、パフォーマンスの低下でしょう。強度が高い大学サッカーで競り合いに勝つために"體ができていない"選手の肉体改造が始まります。例外もあるでしょうが、一般的には高荷重の筋トレで体重を5kgから多い選手で10kgの増量を目指すことになります。ウェイトトレーニングをしたことがある選手はわかると思いますが、やればやるだけ筋肉はつきます(笑)そして、それが病みつきになると氣づいた時には時すでに遅しで、動きが鈍くなり本来のキレがなくなってしまっています。「そう言えば、怪我が増えたのは筋トレして体重が増えてからです…」なんて話には枚挙に遑がありません。

陸上の短距離など筋骨隆々でパワーとスピードを発揮することで成績が上がる競技もあります。だからと言ってサッカー選手がそれをすればいいかというとそんな簡単な話ではないのです。90分間で12km前後を走る持久系競技者の側面もあるサッカー選手にとってエネルギー効率はもっと重要な要素の一つです。不必要につけた筋肉でさえも稼働するためにはエネルギーが必要となります。ダッシュを繰り返すばかりではないオフザボールの最中もこの錘のためにエネルギーは消費されるのです。90分間のゲームを痙攣することなくプレーできない選手は、そもそも栄養が足りないか、筋拘縮が多すぎて血流が滞ってるか、栄養は潤沢だが筋肉量が多すぎて燃費が悪くガス欠を起こしているかのいずれかでしょう。

そして、プレー面ではポジションによっても求められる動きは全く違いますし、そもそもキレやアジリティを駆使し、しなやかな身のこなしや、高い技術に裏付けられたボールさばきで生きてきた選手にとって不必要な筋肉はその長所を消しかねない大問題になります。我々はリアクティベーションという身体操作法を指南していますが、骨格(特に、足、骨盤、背骨、胸郭など)の機能性を高めれば、体重が10kgほど重い選手にも当たり負けはしないですし、ピッチの上で省エネかつ高いクオリティのプレーを表現することができるでしょう。

蛇足にはなりますが…

これまでに蓄積してきた筋拘縮を低減させていくためには、トップセラピストによる毎回120分の筋肉チューニングを最低でも週2回は受けていただく必要があります。(*当社検証による計数ですが、その選手のこれまでの怪我の頻度や手術による器質異常と、筋拘縮自体の蓄積量によって左右されます。)当社がサポートしているJ1選手数名にこの頻度で筋肉チューニングを受けていただいていますが、多くの選手にサービス提供できるわけではありません。

ですから、セルフケア方法や栄養改善策を共有し、子どもから大人までサッカーをプレーする選手たちからできる限り残念な怪我をなくしていきたいと考えています。栄養改善については、食生活の見直しや添加物や人工甘味料などの化学物質の忌避を訴えつづけています。実際に、食生活を見直した選手の筋肉の質は良化していきますし、筋拘縮の低減のスピードも早くなっていきます。そして、一般の方とは違いプロサッカー選手には食事だけでは解決できない栄養問題が存在します。エネルギー消費が多く軽微な筋損傷も発生する選手のみなさんには、パフォーマンス発揮のための栄養と疲労回復のための栄養が不可欠になります。

この中でも、私が自信をもって、そして生涯をかけて広めていきたいと考えている栄養素が『有機ゲルマニウム』です。なぜゲルマニウムなのか?
一言で、「血が変わる」からなのです。私たちの體を作り、私たちの體を動かしているのが血であり、筋肉に張り巡らされている血管であり、体中に行き渡る血流です。血・血管・血流の状態が良好であれば人はどこまでも健康で生き生きとした生活を営むことができます。プロサッカー選手も人である以上、血に着眼してご自身の體と向き合ってみると本質が見えてくると思います。

栄養と血の関係はあまりピンとこないかもしれませんが、エネルギーを作る細胞のミトコンドリアにその材料となる酸素と栄養素を運ぶのは紛れもなく血ですし、疲労回復のために老廃物を排泄するのも血です。酸素運搬を司る赤血球をより良い状態にするために貴重な微量栄養素である有機ゲルマニウムを摂取しておけば、エネルギー効率は高まり、ゲーム中のガス欠防止やゲーム後の疲労回復に効果が高まります。お陰様で多くの選手から問い合わせをいただくようになりましたが、「栄養はどうしたらいいですか?」というとても多い質問には、真っ先に「秘密兵器は有機ゲルマニウムの一択」と答えるようにしています。

あっ、もう秘密でも何でもないですね(笑)

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