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土曜、久々の“お湿り”。

本日は晴天なり・・・ではなく、晴天のち曇天時々雨☔。
長く続いたカラカラ晴天も、ひとまず終止符。

日本列島の西南から流れ来る暖気のお陰で、今日の東京🗼の天気は曇り時々雨ながら16℃前後と、温かいという予報だったが・・・😳。

体感温度はそれほどでもなく、寧ろ肌寒いというのが正直な感想。それに何時もなら、自分は仕事を終えた後、現場周辺を散策するのが常なのだが、今日はとある「私用」にて早々と帰宅しなくてはならなかった。

この間読破して、noteにも感想文を書いた夏目漱石の初期の新聞連載小説「虞美人草」

イマイチ登場人物たちの、心の綾の絡むであろう所とかが、読み切れて居ないのではと思い立ち、本作をもう一度読み直そうと、2度めの読破に挑戦しているところ。

比叡山でヒロイン藤尾の兄・甲野欽吾と友人で外交官志望で、毎度のようにその外交官試験に落ち不合格続けている宗近|一《はじめ》が色々談義しながら登っているところから話が始まる。

藤尾に振り回されつつも恩師の娘・小夜子恋慕あこがれされ続ける学究肌の小野清三が、藤尾に惹かれつつも小夜子と恩師を棄てきれない事に煩悶しているところがどうも焦れったい感じがしている。

どうやら「新しき文明の事物」を沢山持っていて、あたかも妖星クレオパトラの如くに煌めく藤尾に惹かれている小野は、昔、書生時代にお世話になった井上先生の娘・小夜子の存在が「古くて疎ましい事物」に映るものの、京都から上京してきたその恩師一家を世話しなくては、という「義理」に苦しんでいるようなのだ…と、ページをめくるうちに思えてきた。

藤尾は「ヴァイオレット」のイメージで描かれる「詩興はあるが徳性はない」(漱石による・趣意)極めて我の強い、驕れる、然し妖艶ヴァンパイアな女性で、今の世令和時代ならばトレンドの最先端をひた走るインフルエンサーとして人気が出たに違いない。

果たして、小野は藤尾を選ぶのか、それとも小夜子を選ぶのか、彼の博士論文の行方は?また、甲野は如何なるのか、宗近は無事外交官試験に通るのか?・・・その先の展開が気になる所だ。そして甲野欽吾に憧れる3人めの女性ーー宗近一の妹で家庭的な雰囲気の、いわば何処にでもいそうな普通の女子である、糸子の姿や心の動きも気になる所だ。

夏目漱石は今までは「吾輩は猫である」とか「坊っちゃん」など初期の代表作を上梓し、それを「ホトトギス」など俳諧同人誌に載せたりしていたが、本格的な新聞連載小説はこの「虞美人草」が初めてとのことだ(1907=明治40年に朝日新聞に連載)。

兎に角漢籍の素養を活かした文体が、明治時代以降に産まれた世代、とりわけ昭和の中頃から平成の終わり頃までに産まれた世代には非常に難しいので巻末についている語句の解説ページを参照しては本文を読み、またそのページを観ては本文を読むといった繰り返しが(面倒だけれども)必要のようだ。

なにせ舞台は明治40年代、大正デモクラシー時代まであと数年ちょいの頃だ。

この物語は当時上野公園で開催されていた「東京勧業博覧会」を取り上げていて、そこに登場人物を配している。文明開化が叫ばれもてはやされてからしばらく時が経ち、多量の文明の事物に溢れた博覧会の様子を、漱石は漢語の読み下し文のような筆致で皮肉を以て表している。

此処から先は所謂「ネタバレ」になりかねないのでこのへんで終わるけど、まぁ明治末の世相をなんとか頭に思い浮かべつつ、登場人物の風貌なども想像しながら読むと、少しは面白いかも知れない。

そんなこんなで、土曜の夜は暮れていきます…。明日からはこの間までのように「晴天続き」ではないかもしれない。
然し…またまた寒波地獄が襲ってくると、天気予報は伝えている。

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