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I HEAR A NEW WORLD / JOE MEEK

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ピーク時には一億枚くらいあったはずのCDはほとんど手放してしまったのですが、数少ない手元に残ってる中でも、ジャケット、タイトル、楽曲、その背景のテーマなど、すべて大好きなので物理的に持ち続けている一枚はジョー・ミークのこれ。あとジョー・ミークの見た目も好きです。

実はドナルド・バードのこれも手元に持ってるのですが、似てますねジャケ。

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色の話をすると赤みがかったパープルとライトグリーンが好きなのでまとめて「ぶどうの色が好き」と定義しています。あと丸も好きですね、丸。あ、それもぶどうじゃないですか。ぶどうはとにかく皮も種も丸ごとたべて、甘みも酸味も渋味も全部味わいたいものです。自分でつくるドレッシングの味が格別に変わったのはどんなレシピがきっかけだったのかもう忘れてしまいましたが、油、酢(またはレモン汁)、塩、マスタード(または玉ねぎのみじん切り)、そしてはちみつ(または砂糖)と、甘味も酸味も苦味も塩味も入れた上でそれぞれの引力がピンと張り詰めた結果まんなか、その複雑なあやとりをする両手のあわいにぽわわんと煙のようにたちのぼる味のヴァニシング・ポイント、って消えてどうすんだ、消えるのではなく、そこになかったはずの幻の湖の湖面(夜明けが明けたとき、とか、川沿いリバーサイドとかと同じノリで)にぽわわんと、一本足打法で構える王貞治がそう、いわば味のホームラン王が浮かび現れて、あなたが落としたのは、金の落とし蓋ですか?それとも銀の落とし蓋ですか?いえ、わたしが落としたのはふつうの普段使いのリード社製クッキング・ペーパーです。話が逸れてますが論点はこの文章ですら、わたしはあやとり、王貞治を呼び出すためのあやとりのつもりで書いているのです。天然発酵の手造りザワークラウトが趣味のひとつでして、特に紫キャベツで作るのが色が鮮やかに仕上がって好きなのですが、そろそろ次のバッチを仕込むか、とおもってもこのパンデミックの状況(感染はしてないと思いますが、とにかく疲れてるしビタミンとか取れてない気がしてとにかく天然の発酵食品を信奉するわたしはいつにもましてむさぼっている)で紫キャベツを仕入れるのがなかなか困難、仕方なくふつうの薄緑のキャベツを買ってきて戯れにセロリも刻んで仕込んで、とあれ、キャベツの色はどっちにしてもぶどうの色だ。花弁の白い色は恋人の色だ。あと、キャベツ、結球(丸)するし。白い恋人といえば北海道銘菓でもなく、なんとかデー・サービスでもなく、今夜は『ア・ゴースト・ストーリー』という映画を思い出すことにしましょうか。

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ほぼ全編通してケイシー・アフレックがオバケのQ太郎よろしく白い布をかぶってるのですが、もうケイシー・アフレックじゃなくていいんじゃないか、とつっこむのも野暮というもの。ここ数年の映画の中で5本の指に入る、とてもゾクゾクきた、ある喪失が流転流転で時代を駆け巡ってしまうワンダーな物語です。ルーニー・マーラが床に座り込んで泣きながらパイをホール丸ごと食べ続けるシーンのワンショットが長くて長くて胸が詰まってしまうのです。自分もパイを食べてるようで。あれ何のパイだったんだっけ。美味しそうなんだよな。

いやー、音楽と本と映画と、あれやこれや、愛や恋や、ほんとにすばらしいですよね。それでは聴いてください、JOE MEEKの"Valley of the Saroos"を不肖私がカバーした音源です。おやすみなさい、お相手はきむらでした。

VALLEY OF THE SAROOS / 木村煙と家事全般


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