キムラ ケイ

日常の中に潜む、かけがいのないことを書き留めています。京都在住、奥さんと娘(4歳)との三人暮らし。
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二つの空

初めてのボート遊びは5月と決めていた。2歳の娘のおねだりで、自転車で20分ほど行った公園の池に浮かぼうと約束していたのだ。ようやく迎えたその日の空は三日後の天気まで…

早すぎる探し物

聞こえなかった。 だから、「なんて言ったの?」って。 そう聞いてしまうほどに、声はささやかだったんだ。 がらんとした公園は風の音ばかり。ジャングルジムの中身は空っ…

すべての5月の空

5月の空って、好きになるたびになつかしくなる。 あの人の顔みたいに。 だからってわけじゃないけど、こうして見つめる間にもう忘れていってしまいそう。 「それがやさ…

芸術の作り方

ちょうど、見下ろすような格好だった。 4歳の娘が床の上に夢の国を広げている。おもちゃ、絵本、それからお友達のウサギのぬいぐるみ。 そこにあるのは、雨上がりの虹より…

このくぼみの中に

見つからなかったわけじゃない。 コップはあったけれど、私は今朝手のひらに水を汲んだ。 こぼれ落ちそうな光をたたえて、私は一息に飲み干す。 手のくぼみに溜まったこの…

白い安らぎ

ベランダからのぞいた青空に飛行機雲が見えて、遠く去っていく白い機体。 そこに乗る人たちの顔を私は知らない。 存在さえ感じとれない遠い距離。 なのに、私は彼らに愛お…