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洋ゲー雑誌と三島から学んだ~ゲームデザイン事始め①

クーロン開発中(つまり25年以上前だが)、アメリカのゲーム雑誌を読み漁り、「Game Design」という言葉に出会った。ページを繰るたびに登場するくらい頻出していた。ゲームの企画から仕様、設定やシナリオまで、ユーザーにもたらす体験を創出する職能、一言でいうと世界観設定ということなのだが、それがシニアクラス以上のスタッフに求められる職能だと知った。
ローポリキャラが光線銃を撃つだけのアクションゲームでも、その舞台となる惑星なりの設定、基地など拠点の配置マップ、主人公を始め端役までも含んだ人物造形、それに国家や軍、レジスタンスや敵対組織などの詳細、それら年表まで、もうそのまま設定本が編集できてしまうほど細部にまでこだわって考え抜かれている。これを屋台骨としてクエストやら何やらが肉付けされていく、そういう作り方をしているさまを目の当たりにして少なからずショックを受けたものだ。
ふいにかつて読んだ三島由紀夫のインタビュー記事を思い出した。彼は小説執筆に先立ち、物語の舞台となる場所の地図を描くのだという。町角の煙草屋や豆腐屋まで、その町での暮らしぶりが思い描けるほどにリアライズしてそこに観察者としての自分を住まわすのだろう。
そうか、これだ!
アメリカのゲーム雑誌と三島の小説作法、なんだか臨界反応を起こしそうな組み合わせからゲームデザインという職業の道へ踏み出したわけだ。

上の写真はクーロンフロントのマップだ。マップを描いても必ずその通りには仕上がらず、CGデザイナーの意向が加わる。それがまたシナリオのネタになるなど、「行って来い」のやり取りが深みを作るのだ。ただこれをやりすぎると、完成は遠のくなる一方なのだが。
#クーロン #ゲームデザイン

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