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「マンホール蓋 製造日本一!」日之出水道機器株式会社でAIチャットボットを活用。問い合わせ対応業務を年間1,500時間以上削減

日之出水道機器株式会社は、国内のマンホールの蓋の約6割を製造する、業界No.1の会社です。
大正8年(1919年)に創業した同社は、福岡県福岡市に本社を構え、国内35か所の支店や営業所と、3か所の工場、5か所の物流センターなどを有し、鋳鉄やポリマーコンクリート等の材料技術を活用した公共構造物や、産業機械などの研究開発および製造・販売を手掛けています。

木村情報技術が提供するAIチャットボット「AI-Q(アイキュー)」を導入いただいた背景や、その効果についてお話を伺いました。


【お話を伺った方】
日之出水道機器株式会社
マーケティング統括本部 エリアマーケティンググループ
中原 裕孝 様

1.導入の背景・決め手

2018年、当社では「営業業務改革プロジェクト」を開始しました。このプロジェクトの目的は、営業社員の業務効率化と稼働時間の増加でした。
当時、営業社員は社内業務に多くの時間を費やしていました。その原因の1つに、社外で活動中の営業社員へ、お客様より製品や施工方法などについて直接問合せが入ることも多く、その対応に時間を要していたことがあります。
こうしたお問い合わせには、内勤のサポート職社員が対応できればよいのですが、製品情報が膨大かつ複雑で、検索や理解に時間がかかります。サポート職社員で対応するためには、製品や施工方法について理解している必要があり、そこが課題の1つでした。

この課題を解決するため、当時注目が高まっていたAIチャットボットの活用を検討することになりました。複数のAIチャットボットを比較しましたが、「AI-Q」は質問に対する回答が早く、検索性や回答精度も高かったことが大きな決め手となりました。

2.社内の問い合わせ対応からのスタート

「AI-Q」は2019年11月に導入され、2020年春からは社内全体に展開されました。最初の段階では、主に営業社員と内勤のサポート社員を対象として、社内からの問い合わせ対応に活用されていました。
当時、社内では情報やノウハウの蓄積・整理が十分でなく、まずは「AI-Q」に学習させるための、Q&Aのデータを作成することから始まりました。
プロジェクトチームからは、全国の営業所に対して質問作成の指示があり、特にまだ経験の浅い若手社員に対して、「自分が分からないことを教えて」と積極的に呼びかけがありました。

実は、当時私は営業所に勤務しており、既に社歴も長かったので、「AI-Q」に質問する機会はそう多くありませんでした。本格的に操作するようになったのは、今所属している部署に異動し、前任者から運用担当業務を引き継いだ後のことです。

「AI-Q」の運用担当者になってまず驚いたのは、「意外と人の手がかかっている」ということでした。AIと聞くと、機械が全て自動で行っているようなイメージがありましたが、「AI-Q」の場合は人による調整が加わっています。だから回答精度が高いのか、と納得しました。
なお当社では、学習データ作成作業について、社内対応に加え、木村情報技術技術の「学習データ構築代行サービス」を利用し、支援してもらっています。

現在、当社の「AI-Q」の利用環境には6つの質問カテゴリーがあり、社員や販売代理店の方々が閲覧できる環境を整えています。

AI-Qの中に6つの質問カテゴリーを設けている
AI-Qが質問に答える様子①
AI-Qが質問に答える様子②

3.問い合わせ対応業務を年間1,500時間以上削減

AIチャットボットの効果としては、ここ1年で約18,500件の質問がありました。
1回の問い合わせ対応に5分かかるとして、約1,500時間以上の問い合わせ対応時間が削減できたことになります。

現在の社内の「AI-Q」利用率は、全てのカテゴリーで約60%、「営業ナレッジ」カテゴリーに絞ると約40%です(※)。木村情報技術の担当者からは、これは高い水準だと聞いています。
(※)利用登録者915名に対し、全カテゴリーの利用者数は533名、営業ナレッジの利用者数は349名。(期間:2023年4月~2024年3月)

4.お客様のサポートサイト「HINOサポ」にもAIチャットボットを搭載

2023年11月30日から、お客様の日々の業務を支援するために、どなたでもアクセスできる新しいWebサイト「HINOサポ(ヒノサポ)」を公開し、お客様に役立つ情報やコンテンツを提供しています。

また、お問い合わせ方法として、メールや電話に加えて、よくある質問についてはAIチャットボットでも対応できるようにしています。

「コンタクトフォーム」内の「チャットボットでのお問い合わせ」から利用可能

「AI-Q」は、人が話すような文章で質問しても回答できますが、当社の場合は専門用語が多く内容も複雑なため、質問をテキストで入力するのが大変なこともあります。
そこで利便性を向上するために、よくある質問については予め選択肢を用意し、聞きたいことを選んでいくだけで知りたい情報にたどり着ける仕組みを導入しました。
現在は、「橋梁(きょうりょう)製品」に関するQ&Aを展開しています。今後、最も質問が多い上下水道に関する製品やサービスについての情報を展開する予定で、効率化の効果が本格的に表れるのはその後だと期待しています。 

5.今後の展望とAIチャットボットへの期待

これまでは、時間や工数を削減する「量」を重視してきましたが、現在は「質」に重きを置くフェーズに入っています。従来以上に人材育成や教育に力を入れており、eラーニングシステムの導入も進んでいます。
またマニュアル類の整備においても、AIチャットボットを組み込んだり、紙ではなく動画で提供するなど、利便性や効率性の向上に取り組んでいます。

AIチャットボットは、学習のためのQ&Aデータが重要ですが、特に質問を効率的に多く作成できるよう模索しています。回答は当社で準備する必要がありますが、質問の作成が課題です。
AIチャットボットを利用する際、期待する回答が得られないと、その後の利用が減少してしまう可能性があります。利用者数を増やすためにも、もっと質問を充実させたいと考えています。

質問カテゴリーの中に、「営業ナレッジ/製品・施工編」と「営業ナレッジ/デリバリー業務編」があります。「営業ナレッジ/製品・施工編」は毎月1,000件以上の質問がきており、信頼できる情報源として定着しています。
一方、「営業ナレッジ/デリバリー業務編」は、製品の受発注に関連する一連の業務を学習させていますが、利用者数が伸び悩んでいます。
当社の業務は専門用語が多く複雑で、内勤のサポート職として新たに入社する社員や派遣社員にとって、検索や理解が困難な場合があります。その点は改善を図りたいと考えています。

今後は、「営業ナレッジ/デリバリー業務編」の内容の充実と、「HINOサポ」の利用推進、この2つの対策に注力したいと考えています。
現在は、「AI-Q」にまつわる運用業務は実質私一人で対応していますが、木村情報技術の支援も受けながら、社内外での業務効率化をさらに推進していきます。

【CORPORATE PROFILE】
会社名:日之出水道機器株式会社
代表者:代表取締役会長 浦上 紀之
    代表取締役社長 浅井 武
創 業:1919年(大正8年)6月8日
所在地:(本社)福岡市博多区堅粕5-8-18 ヒノデビルディング
事業内容:鋳鉄やポリマーコンクリート等の材料技術を活用した公共構造物や産業機械等の研究開発および製造・販売
URL:https://hinodesuido.co.jp/index.html

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