「ナニカ」を得たくて太宰にすがる
旅行の帰りにはいつも「ナニか」を得ようとしています。
これはお土産とか体験というよりは、それらを見て感じたこと、新鮮だったこと、心の中に広がっていく澄み渡ったものをできるだけ具現化し、次につなげようという試みです。
しかしそれはたいていうまくいかずに、もやもやとしたままで終わってしまいます。
わたしは旅先で確かに感動し、新鮮なものに出会い、それは人生に置いて大事な財産になっているはずなのですが、具体的にそれはなんなのか、どういったものにつなげられるのか、と問われれば、それをかたちにすることがどうしてもできません。
あるいはそういったものはもやもやしたままだからこそ価値があり、不定形だからこそ、人生のすべてに、ゆっくりと目に見えないほど遅々としながらしみだしていくものかもしれません。
GW前のことになりますが、太宰治の「斜陽館」に行ってきました。
津軽五所川原駅から津軽鉄道で行ってきました。全国的にも有名なローカル線です。
GW前のことなのでガラスキだろう~とか思っていたんですが、実際は小さなホームを埋め尽くすように観光客で埋め尽くされていました。
JTBの旗を持つアテンドさんが何人かいらっしゃったのでツアーのようですね。
人気のない中静かに散策しようとした目論見は完全に外れました(;´∀`)
観光客はほとんど年配の方です。引退されてるからGWとか関係ないんですかね…
津軽五所川原駅から斜陽館のある金木駅までは運賃550円、片道約20分ほどです。
もちろん券売機や自動改札機なんてないので、ひとつしかない小さな窓口できっぷを買い、それに昔懐かしいはさみをいれてもらいます。
運賃は普段都心の電車に乗り慣れていると割高に感じますが、道中はアテンドさんがガイドをしてくれたので、観光案内費用こみといったところでしょうか。
電車は普段は一両編成なのですが、団体の観光客が入ると貸切車両が接続されて2両編成になっています。ホームには団体客にくばる粗品みたいなものが用意されているのが丸見えだったり。
驚いたのは線路とホームが近いことですかね。簡単に入って行けそうです。東京ではありえません。
古びた車両に趣を感じます…
今は夏季休業中のストーブ列車(だったかな(;´∀`)?)
電車の中には小さい文庫本コーナーが。文学の町っぽいですね。
レトロな知識が移動する書庫といったところでしょうか。まさしく知の動脈。
団体の観光客は芦野公園という駅で降りるようです。ここは津軽地方では桜の名所として有名です。
窓を流れる田園風景にも趣があります。大半は無人駅の駅舎、かつてた駅員が住み込みでいた駅もあったそうですが、今有人駅は、五所川原、金木、中里だけだそうです。
駅員がいなくてもそこを利用する人はたしかにいます。日々の生活に、仕事に、観光に、今、人がいなくてもそこにはリアルな生活の息吹がたしかにあるのです。そういうものに思いをはせていくと、どこまでの思考が無限に広がっていくような気さえしてきます。
カセ駅には香取慎吾さんがペイントした車両があるそうで、ガイドがながれるとみんな我さきに写真をとっていました。わたしは駅員がかつて住み込みしていたという、民家が併設したようなレトロな駅舎のほうに興味がわきましたが。
車内が込みすぎてて写真は遠慮しました。
とくに降りる駅も決めてなかったのですが、なんとなく斜陽館に行ってみたくて、金木駅で下車してみました…
続くかもしれない(´・ω・`)
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