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【縁】「引きこもりは病気ではない」。そして、引きこもりを個人の問題や家族問題にするのではなく社会問題として捉え直すことが重要だ。

①「認定NPO法人ニュースタート事務局」創設者の二神能基さんから直接教わった。子育ての極意は、「ロング」「ワイド」「パーソナル」であると。

②この点については、★二神能基『「子供のために」を疑う』(朝日新書)★に詳しいことが記載されている。気になる方は、読んでほしい。

③「ロング」とは、「長いスパンで子育てを考えること。」「目先の結果に右往左往せず、長い目で子供のことを考えて育てる」こと。

④「ワイド」とは、「子供に必要な能力を親が幅広く見てあげる」こと。子供が成人になった時点を視野に入れ、子供を伸ばすのに必要な3つの力(抽象的・具体的・社会的能力)をバランス良く伸ばしてあげる考え方。

⑤「パーソナル」は、親が子供の性格や能力を考慮してあげる 考え方。「あるもの(長所)は伸ばし、ないもの(短所)は探さない」こと。

⑥まとめると、「「抽象的」「具体的」「社会的」能力をバランス良く、かつ「ロング」「ワイド」 「パーソナル」に育てるよう心がけてみてください。」というアドバイスである。

⑦二神能基さんは、稀有な教育者であると思う。早稲田大学を卒業し、愛媛県松山市に戻り、親の後を継いで中学受験塾や幼稚園を経営し、大成功を収めたものの、「何か」に疑問を感じ経営を譲り、千葉県に移住された。

⑧1993年(平成5年)に、日本の目標喪失の若者をイタリアのトスカーナの農園に預けるプロジェクトを立ち上げ、1999年(平成11年)には、引きこもり・ニート支援のNPO法人を設立する。


⑨私は、1988年に茨城県つくば市で、評論家の小浜逸郎氏と芹沢俊介氏の対談のイベントを企画・実行したが、当時芹沢俊介氏と共に家族の問題に取り組んでいた二神能基さんは、筑波まで足を運んでくれた。

⑩2001年から2003年まで認定NPO法人ニュースタート事務局で働かせていただいたが、そもそも「子育てに二人の親だけでは足りない」という問題意識から、「親同士が共同で暮らし、自分の子供だけではなく、他人の子供も育ててみる」試み、「子育て長屋」プロジェクトを担当させていただいた。

⑪当時の活動は、朝日新聞社発行の「AERA 02.09.23号」に取り上げられた。

長屋はビルの中にあり

木村田哲也
きむらた・てつや
NPO法人ニュースタート事務局勤務

NPO職員の木村田は5月から、 千葉県市川市で「子育て長屋」の 運営に取り組んでいる。「長屋」は 賃貸マンションの8室だが、1階 にはNPO事務局があり、子ども はいつも誰かに構ってもらえる。 母子家庭など2組が入居した。

書店勤務を経て、若者の引きこもり問題に取り組むNPOへ。

「引きこもりは、世間的な価値観 に過剰適応しようとする人に多い。 書店の社員やお客さん、僕にもその芽はあると感じていた」

子育ての環境から作り直す「長屋」の実験に、意義を感じている。

「AERA 02.09.23号」


子育ての行き詰まり、不登校・引きこもり増加の根本的原因は、戦後日本の核家族化にあるとの認識から、「家族を開く」という理念こそが、これらの問題への最大の処方箋になり得るとの思想的立場が掲げられた。

⑬ただし「ロング」「ワイド」「パーソナル」という子育ての極意、「家族を開く」という根幹コンセプトが自他に消化できたかどうかは、正直疑わしい。

⑭社会全体が「短期的」「近視眼的」「画一的」結果だけを追い求める風潮の中にあって、「家族を閉じる」流れが蔓延してしまい、自分も周囲もその毒に侵されていたといえるかもしれないからだ。

⑮しかし、「子育て長屋」プロジェクトの最中、子供と関わることが多くなり、自分には子供がいない分、他人の子と関わることは面白かった。また、引きこもり・ニートの若者が子供と関わるのをサポートするという立ち位置の仕事も楽しかった。今でもつくづく感じるのだが、20・30代の引きこもりの若者が、子供と遊んだり、場合によっては、不登校の子供(10代)に関わり手助けするという試みは、最先端だったのではと思う。

⑯「引きこもりは病気ではない」。そして、引きこもりを個人の問題や家族問題にするのではなく社会問題として捉え直すことが重要だ。

(注1)私は、病気のため、認定NPO法人ニュースタート事務局を去らざるを得なかった。しかし、その後も、「何があれば引きこもりは病気という捉え方を乗り越え、本質的な解決に到れるのか?」という問いをずっと抱えていて、七沢賢治先生の★『言霊設計学』(ヒカルランド)★という本に出会った。

「彼ら(自閉症や引きこもりといった問題を抱える子どもや若者)にとっても言霊言語は多いに助けになるはずです」

七沢賢治『言霊設計学』(ヒカルランド)

(注2)引きこもりを無くすために、七沢賢治先生の指導を受け言霊を学んだ。そして、私が引きこもりの問題に出会ったのが2000年のことだったから、実に24年経過して、ようやく「言霊を使って、引きこもりの若者をサポートする」、その取り組みの端緒につけた。

(注3)認定NPO法人ニュースタート事務局は、2025年12月末を目途に、支援活動を終了するらしいです。そして、おそらく最後になるだろうとされる講演会【引きこもりからの自立】が、2024年7月13日(土)に開催されます。関心のある方は、ぜひ参加してみて下さい。私も参加します。



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