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<連載小説>昨日のような、明日を生きよう<8>

成長の早さにおどろく

 え、もう十か月経ったの?
 カレンダーを見て思った。あと二か月で誕生日じゃないか。
 そういえばお食い初めもやったし、離乳食も始まったし、ハイハイしてるし、自分で座ってるし、産まれたての時の写真と比べたらもう立派な子供だと言っても過言ではない様子だ。
 これはもうすぐ立ってしまうんではないだろうか。
 アヤヤが立った! と叫ぶ日も近い。

 さて、驚いてるのは僕だけじゃなくて。
 両方の親も驚いている。
 誕生時2600グラムだったせいか、その後の成長具合がより際立って見えるのだ。
 この前もビテオチャットで会話しているときに、
「ちょっと綾ちゃんこんなに大きくなったの? この前の倍くらいない?」
などと失礼なことを言っていたくらいだ。
 とはいえ、毎日見ている僕でもでっかくなっちゃった、と思っているのだから頻繁に目にしていない両親がそう思うのも無理はないだろう。
「子供の成長は早いね。勇希の時もそうだったかしら」
 母がそんなことを言い出した。三十年も昔の話しだ、覚えてなくても仕方がない。
「勇希は小っちゃかったからな。それに比べたら綾ちゃんは大きいよ」
 現在僕の身長は160センチ。確かに小ぶりだ。成長後でそれなのだから、子供の時はもっと小さく感じただろう。
 ちなみに宮子は170センチ。僕からすると見上げるように大きい。だけどいちいち言動が可愛らしいので、そんな風に感じない。
 今も綾と一緒にハイハイ競争している。
「ばぶー」
 彼女、僕よりも年上なんです。三十二歳なんですよ。僕は三十歳。二つ年上とは思えない。が、可愛いから許そう。

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