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起業を決めた3つの理由

はじめまして。洗濯代行WASHBOXという会社をやっている木村です。
みなさんは「洗濯代行」を知っていますか?恐らく知っている人はほぼいないと思います。周りの知人数十人にも聞いてみましたが、知っている人はいませんでした。
「洗濯代行」は簡単に言えば、以下のようなサービスです。

Tシャツやタオルなどの自宅の洗濯をアウトソースできるサービス。
洗濯物を預けると「洗濯・乾燥・種類別に仕分け・たたみ」の一連のプロセスを代行してくれます。利用方法としては、店舗に洗濯物を持ち込む場合と、宅配で集荷・配達まで対応する2つのパターンがあります。料金は、一人暮らし4〜5日分で2,000~3500円程度です。

知人からは「ほぼ無料でできている洗濯に数千円を払うのはちょっと・・」というコメントが大半を占めていました。そのような「洗濯代行」を主軸サービスとして、昨年会社を興しました。ネガティブなコメントが多い中、「洗濯代行」を始めたその理由をお話したいと思います。
これから起業をしたい人、また「洗濯代行」に興味がある方は是非読んでください。

1.家事を効率化したいという原体験

私は新卒で株式会社ミスミという紙カタログや通販で機械部品や工場消耗品を製造業向けに販売する会社に就職しました。ミスミは「経営者人材を育成する」ことを掲げている面白い会社です(ミスミでの体験は面白いので、別の機会にお話したいと思います)。そのような会社のため、働いている人は優秀な人が多く、働き方も猛烈でした。

新卒の私もその環境に慣れるため、会社の徒歩圏内で一人暮らしを始めることにしました。ただ、実家から出たこともないため家事の経験もなく、忙しい仕事の中で自分で家事をすることは非効率だな、と考えてました。真っ先に思いついたのが、家事代行サービスです。食事はお惣菜や外食で賄えたので、主に掃除と洗濯を頼もうと思いましたが、家事代行のサービス体系は「1時間あたりいくら」の時間課金制です。コストとの兼ね合いから2〜3時間/回が平均的な使い方のようでした。この時間では掃除はできるものの、洗濯は「洗う&干す」にするか、「取り込み&たたみ」のどちらか一方しか頼めませんでした。また、新卒で金銭的な余裕もないため、月に2回ほどの利用予定でしたが、月2回の洗濯では衣服は回りません。

そのような時に世の中に「洗濯代行サービス」なるものがあると知りました。ネットで調べてみると、月8,000円程度で完全に洗濯をアウトソースすることができそうだったので、試しに使ってみると、想像以上に良いサービスでした。専用バックにほぼ1週間分の洗濯物を入れて、自宅のドアノブに掛けておくと翌日には綺麗に種類別に畳まれた状態でドアノブに掛けてある体験は、いわゆるUXとして感動すら覚えました月に10時間以上は時間の節約になったと実感しています。

一方で不満もありました。
具体的には以下の通りですが、「洗濯を外注したい」というニーズは満たせていたため利用は継続していました。その時にはまさか「洗濯代行」で起業するとは思ってもいなかったので、サービスが改善されると嬉しいな程度に思っていました。

① コストの割高感は否めないこと(2,000円/回ほど)
② 納期遅延が頻発したこと
③ クリーニングも一緒に頼めたが、コストや納期に不満があったこと
④ スマホ向けに最適化されたUIではなかったこと

その後ミスミを退職してお酒関連のスタートアップで働いている時に、15年ほどコインランドリーでパートをしていた母親から「働いているコインランドリーが閉店してしまうから、買い取って経営するのはどうかな?」と、話がありました。その時私が思ったことはこんなことです。

正直、コインランドリー経営なんてどうかな。不動産投資の延長線上で事業としては面白みがなさそう。けど、近いうちに起業したいと思ってたし、勉強も兼ねて事業としてどうか少し調べてみるか

そこから、コインランドリーや隣接サービスのクリーニング市場や必要許可などを調べていくと「洗濯代行」事業にデザインし直せば面白いことができるのでは、と考えました。最終的にそのコインランドリーはいくつかの理由があって買収はしませんでしたが、「洗濯代行」の可能性に気づき、起業することにしました。その可能性について残り2つの理由でお話をします。


2.洗濯市場の状況と可能性

下表の通り、環境変化によりクリーニング業界は衰退の一途を辿っています。直近では毎日10事業者(店舗)以上が廃業や撤退を余儀なくされています。また、コロナでクリーニングをする機会が激減したことがその傾向に拍車を掛けています。

市場環境


このような状況を知らなかった私は、まずいくつかのクリーニング施設で話を聞いたり、店舗の外からユーザーの利用状況を定性的に調査をしました。
結果として得られた仮説は;

クリーニング設備・機械の遊び(稼働率が低い)が常態化していることでした。この遊んでいる機械を活用して、「洗濯代行」と「(ゆくゆくは)クリーニング」を提供できれば、クリーニング所にもメリットを提示しつつ、自社で工場・店舗を持たないコストダウン(固定費)分をユーザーに還元(低コスト)できるかもしれない。いわゆるシェアリングエコノミーのモデルが適用できそうだ、と思いました。

また同時に、掃除や料理(Uberなど)など様々な領域をアウトソースする人が増えていることから「洗濯もアウトソース」する世の中が必ず訪れると直感しました。現在は対応できてませんが、スーツやコートや布団などクリーニング領域も提供することで「洗濯機のない生活」を普通にすることがWASHBOXの目指す世界です。
日本では「洗濯代行」を主軸サービスとするスタートアップは出てきてませんが、海外に目を向けるとRinse(米国)LaundryGo(韓国)などがVCなどから投資を集め成長してきています。後者のLaundryGoでは昨年に約50億円を調達したニュースが流れてました。日本のソフトバンクも出資企業の1つです。「洗濯代行」はグローバルで大きなトレンドになりつつあるのです。このあたりの海外動向については本筋とズレるので、別の機会に記事にしたいと思います。

3.今までの経験を活かせる

理由3つ目のキーワードは、「シェアリングエコノミー」です。シェアリングエコノミーってよく聞きますが、説明しろと言われると難しいと思います。そこで「シェアリングエコノミー協会」という組織があるようですので、そのHPの説明を引用します。

シェアリングエコノミーとは、インターネットを介して個人と個人・企業等の間でモノ・場所・技能などを売買・貸し借りする等の経済モデルです。モノ、スペース、スキル、時間などあらゆる資産を共有する「シェア」の考えや消費スタイルが日に日に広がりを見せています。これからの日本経済の発展につなげられるよう、シェアリングエコノミー協会では、法的な整備をはじめ、安全な市場環境の整備に取り組んでいます。

日本でシェアリングエコノミーモデルを最大限活用して急成長をしているのは、やはりラクスルだと思います。印刷機械の低稼働率問題や大手寡占の業界構造に目をつけて事業を展開しているネット印刷企業です(印刷事業で得たノウハウを物流や広告など様々な領域にも展開)。
このラクスル創業者が起業時に参考にした企業が「ミスミ」と言われています。「印刷×ミスミ」を目指したようです。実際にミスミ出身の守屋実氏が出資および副社長としてラクスルにジョインをしました。そのあたりのお話は非常に面白いので、興味がある方は関連記事をご覧ください。

上記のことを踏まえ、ミスミで事業開発担当としてシェアリングエコノミーを内部から見てきた経験を洗濯代行(クリーニング業界)に活用することができるのではないか?というのが起業理由の3つ目です(ちなみにミスミ新卒の時にメンターをしてくれた先輩が今はラクスルで事業部長をしています)。もちろん、BtoB(ミスミ)とBtoC(洗濯代行WASHBOX)であることや市場環境の違いはあるものの、私の経験を最大限活用できそうな事業でした。

最後に:このような記事を書いている理由

上記が私が起業した3つの理由です。最も大きいのはやはり私自身が洗濯をしたくないからです。忙しいビジネスマンや共働き世帯など家事が負担になっている家庭では是非一度WASHBOXを利用いただきたいと思っています。洗濯をやめて仕事や趣味をより充実させてほしいと思います。
またこのようなブログを書いている理由は、私自身の備忘録としての側面もありますが、スタートアップを始めてみてリソース(ヒト・カネ)の少なさを痛感したからです。少ないリソースで結果を得るためには、(競合へのヒントを与えるリスクは伴いますが)出来るだけ会社のことをオープンにすることでWASHBOXの認知や今後のメンバー集めに活用したいと考えたからです。そのため、今後も会社経営や海外動向などを発信して行く予定ですので、ぜひNoteやSNSのフォロー・シェアをしてもらえると嬉しいです。

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