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【まったり骨董日記_vol.27】ボロボロの茶筌、その後。

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骨董好きの我が夫、気は穏やかだけれど少々偏屈。
独自のルールとスタイルで営まれるその暮らしは、ときどきちょっとヘンテコです。お役に立つ情報はありませんが、くすっと笑ってもらえるような話をひとつ。
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骨董にかぎらず、“古いモノ愛”が止まらない我が夫。
しつこく使っていたボロボロの茶筌(ちゃせん)を「はやく替えようよ」と、ことあるごとに言い続けてはや半年、我が家でようやく新たな茶筌がおろされることになりました。

しかし、ここまでの道のりは長かった。。。
「これは質の良い茶筌だから、ボロボロになってもすごく点てやすんだ」とか、「茶筌は、ゴミ箱にぽいっと捨てられるようなモノじゃないんだ」とか、古い茶筌を使い続ける言い訳が、出てくる出てくる。

決してストックがなかったわけではありません。
すでに今年のふるさと納税でも、奈良県生駒市から高山茶筌(たかやまちゃせん)3本をいただいています。

そう、現在、我が家で使っているのは奈良県生駒市の「高山茶筌」。
「高山茶筌」は、室町時代後期から500年以上にも及ぶ歴史ある伝統工芸で、国産茶筌のシェアは90%以上にもなり、「茶筌といえば高山、高山といえば茶筌」と言われるほどなのだそうです。

中国製の茶筌などは穂先が固くて、少し折れたりするとすぐ使いものにならなくなるのだけれど、この「高山茶筌」は、穂先がしなやかなのでボロボロに折れてもすごく点てやすい!
というのが夫の見解ですが、そもそも一般的には「茶筌の穂先が1本でも折れたら替え時」なのですよ。
そこまでの使い勝手を検証する必要が、どこにあるのでしょうか。。。

そしてまた、茶筌を捨てるにあたっては「茶筌塚」なるものできちんと供養していただかないといけないのだと夫が主張するため、私が率先してネットで情報を検索。

あっさりと、自宅からもほど近い「川崎大師」に茶筌塚のあることが判明し、これは今日明日にでも供養に出せるじゃん!と喜び勇んで報告したところ、「ふ〜ん、そうなんだ〜」と右から左に流そうとします。

考えてみれば、茶筌にかぎらず、何かとストックを溜め込んでモノを使い続ける我が夫。

愛用の財布はすでに使い始めてから20年以上が経っていますが、これがダメになったときのためにと、しっかり同じもののストックが用意されています。
Tシャツはいまだ学生の頃に出場した、なんちゃら大会の記念Tシャツなどを着続けていますが、その他のストックTシャツが20枚以上。

靴下や歯ブラシは、旅行で泊まった宿のアメニティーを、まるで秋のリスのように溜め込んでいるくせに、靴下(というより足袋?)はカカトに穴があくまで1組のものを履きたおし、歯ブラシはブラシ部分の反り返りを熱湯に浸して戻すことまでして1本を延々と使い続けています。

スニーカーも1年以上前に、「今のヤツ、靴底がはがれてきたからもう寿命だね」なんて言って、いったんは新たなものを購入したものの、靴底を瞬間接着剤で補修して履き続け、新品はいまだ靴箱の中。
最近では歩くたびに、キュルッキュルッと赤ちゃんサンダルのような音をたてるようになってきました。

いったい、夫が現行品をストック品と切り替える日は、いつやってくるのか?
夫の人生でこれらのストック品を使い切るには、何歳まで生きることになるのか?
そして「これはケチではなく節約なのだ」と夫が主張する、その境い目はどこにあるのか?
などと考えていたら、我が夫、今朝になって再び、未練がましくとっておいたボロ茶筌を取り出し、「やっぱりこれ、こんなになってもまだちゃんと使えるよ!」とお茶を点てていました。

ああ、まさか、またイチからやり直し、なんでしょうか。。。


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