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Weighted Baseballを使う際の注意点(前回の続き)

前回の記事でWeighted Baseballを使ったトレーニングに関するクリニカルビューについて自分なりの要約文を書きましたが、今回は筆者であるMike Reinold氏が述べる同トレーニングのする際の注意点について簡単にまとめました。

Weighted Baseball=重いボールを使ったトレーニングはまだそのメカニズムが完全に解明されたわけではないので、トレーニングをする時は細心の注意を払う必要があります。

注意点をまとめると次のうようになります↓↓↓

1.個人化されたプログラムが必須
人間は皆それぞれ身体的特徴が異なります。身長や体重など目に見えるところだけではなく、関節の柔軟性(繊維のコラーゲン密度)、筋肉の起始&停止部分の位置などの違いで、同じトレーニングをしても身体の動き方に微妙な変化が起こります。なので全く同じプログラムを使ってトレーニングしても、成果が出る人、または出ない人がいるのは至極当然のことです。こういった理由からプログラムの作成は使う本人の身体的特徴を理解して行う必要があります。

2.プログラムを使える人の選別
1の理由からそもそもこのトレーニング自体が合わない人もいます。理由はさまざまだと思いますが、1年以内に肩や肘の手術を行った人にはまず向いていないでしょう。胸郭出口症候群を患っている人もトレーニング中もしくはトレーニング後に症状が出るようであれば、Weighted Baseballプログラムの使用はまず控えるべきだと著者は述べています。

3.身体に合わせて使う重さを変える
これは特に子供に言えることですが、まだ体が成長しきっていない子供が重いボールを投げる自体、肘や肩にかなりのストレスがかかると考えられます。僕も実際にアメリカで中学、高校、大学、プロレベルの野球で働いてきましたが、中高生のピッチャーがWeighted Baseballを使ってウォームアップをしている姿をかなりの頻度で見てきました。稀なケースですがとある大学の試合で相手チームのピッチャーが砲丸投げに使う鉄球を投げてウォームアップしていて、これには呆れて何も言えなくなったのを覚えています。

4.プログラム作成には選手のレベルと経験も考慮する
素人が考えることと言えばそうですが、重たいボールを投げればすぐに球速が上がるということでは決してありません。そもそも普通のボールを投げてフォームもコントロールを良くない人が更に重いボールを使ったら、果たしてそれはトレーニングと言えるでしょうか?プログラムを作る際には選手のレベルと経験を考慮する必要があります。

5.選手の目標と時期を考える
投手を球速はシーズンを通して少し落ちる傾向があります。理由は色々ありますが、個人的に一番大きな要因は『疲労』だと思います。仮にWeighted Baseballトレーニングが球速を上げるとしても、シーズンの半ばからこのトレーニング法を用いることは疲れた身体にさらに負荷を与えることになり怪我のリスクを上げてしまうでしょう。

6.作成されたプログラム中にかかる負荷のモニタリング
せっかく作ったプログラムも身体にかかる負荷が大きければそれだけ怪我のリスクが上がることになります。プログラムの実行中にはしっかり負荷のモニタリングをするべきです。負荷の計測方法は色々ありますが、ホワイトソックスではメジャー・マイナーに関係なくストレッチという名目でトレーナーが投手の肩・肘の可動域測定を行っています。そこで得られた数字と春季キャンプの初めに測ったベースとなる可動域を比べて、上肢の筋肉の張り具合を測定しています。

7.Weighted Baseballも投げる回数も数える
現在の怪我の予防プログラムのトレンドとしてピッチャーの投球数を測ることが常識となりつつありますが、そこにWeighted Baseballを投げる回数も入れるべきだと筆者は述べています。ウェイトトレーニング中にレップ・セット数を数えるが常識なのを考えて至極当然のことですね。

以上のことをふまえてWeighted Baseballのプログラムを作ってみるのも悪くないかもしれません。

それでは、

参照URL:https://ijspt.scholasticahq.com/article/21321-the-safety-and-efficacy-of-weighted-baseballs

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