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vol.3 訪日客マネーが、飲食店の人材不足を救う!

 こんにちは、(株)華ひらくで、飲食店に特化した接客英語レッスン講師と、飲食店インバウンドコンサルタントをしています内木美樹です。

今は忘年会シーズン。どこの飲食店も書き入れ時なのでとても忙しいですよね。そして、繁忙期だからこそ人手不足で悩まれていらっしゃるのではないでしょうか?

ただ、今後は忘年会シーズンは今までほど忙しくならないかもしれません。それは、忘年会に行きたくない人が大半だからです。

12月16日のマイナビニュースの記事によりますと、会社の忘年会に「絶対に参加したくない」「出来れば参加したくない」をあわせると全体の68%にのぼり、7割弱の人が会社の忘年会に乗り気ではない事が分かりました。そうなると、これから徐々に忘年会の数や規模が小さくなっていくでしょう。人材不足で悩む飲食店にとっては、吉と出るか凶と出るか……。
https://news.mynavi.jp/article/20191216-940140/

閑話休題。本題に入ります。

忘年会のシーズンのみならず、飲食店は常に人材不足です。ただ、ここに多くの会社がまだ気づいていない事実があります。それは、

人材不足を解消する鍵は、海外のお客様が持っている

という事です。

■国内での競争はもっと過酷になる

誤解しないで下さい。決して、外国人を雇用するという話ではありません。もっと壮大で、もっと深い話です。

皆さん、日本の人口が今後どんどん減っていく、というのはご存知ですよね?下記のグラフは厚生労働省が出している日本の人口の推移です。現在は2019年末ですので、私たちの位置は縦の点線よりも少し右になります。

ここで一番注目していただきたいのが、棒グラフの水色の部分です。これは、15~64歳までの人数を表しています。この世代こそが就職や結婚、出産、出世などで日本を支えていて、最もよくお金を使っている。いわば日本の経済を回している世代です。そして今後30年、この世代の人数が激減します。高齢者の数は増え、子供の数は減っていますが、15~64歳までの人数は、2015年と2055年を比較すると約1/3減少します。

図1

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/dl/07.pdf

これが飲食店にとって何を意味するのか?それは、このまま日本人をターゲットにしていれば、今まで以上のレッドオーシャンに飲み込まれる、という事です。

※レッドオーシャンとは「血の海」を表す経済用語です。血で血を洗うような激しい価格競争が行われる市場のことを言います。一方で、ブルーオーシャンという言葉もあります。これはレッドオーシャンの対語で、競合相手のいない市場のことです。

どの飲食店も、日本人客をいかに囲みこむかで必死になっています。それ故にインスタ映えを意識した料理の開発に取り組んだり、グルメサイトでお得なクーポンを発行するなどして価格競争に走ります。

しかし、インスタ映えは一過性のものですので、必ず終わりがあります。その「映え」が他店では絶対に真似できない様なものであればブームが続く可能性はありますが、ほとんどの場合、他店が真似できないようなものはありません。同業他社が同じような商品を出して来たらまた別の新商品を出して映えを狙い、それを何か月も何年も続けていけば…人も会社もどんどん疲弊します。

価格競争も同じです。このままクーポンや低価格を打ち出し、他社がもっと安いのを出したらさらに値下げをし…、最終的には利益がどんどん減っていきます。

そんな明るい未来の見えない業界に、人が集まらないのは当然の結果です。だってわくわくするものがないのですから。仮に時給は高くても、一緒に働く人や雇われる会社に将来性がなければ、人は去っていきます。人の「働きたい」という心は、時給では釣る事は出来ないのです。

ではどうすればいいのか?少なくとも、私が学生だった20年前は飲食業界は学生なら誰しもが働きたい業種で、面接に行っても採用されないほど人気の職業でした。当時高校3年生だった私は、オープニングスタッフとして雇用されたアメリカンレストランで働いている事をクラスの友達に自慢していました。

どうすれば昔のようなわくわくする飲食業界に戻れるのでしょう?

多くの若者が「飲食で働きたい」と思えるようになるのでしょう?

■働く魅力のある会社へ変わろう

まずは売上を上げるしかありません。売上を上げて、人を大切にするのです。人と言うのは決して会社の役員や株主、お客様のことではありません。従業員と、その家族です。毎日へとへとになりながら現場で汗を流してくれている従業員と、その従業員を必死で支えている家族を幸せに出来るような会社に変わるのです。そうすれば否が応でも人は集まってきます。日本全国から「御社で働きたいんです!」という志願者がやってきます。

サービス業と教育業以外の業界ではこのような動きは少しずつ始まっています。そして私が知る限り、いち早く動き、変わっていった会社は規模に関係なく採用志望者が殺到しています。

しかし飲食を含めたサービス業と、学校の先生など子供を相手にしている教育業界ではまだこの動きは非常に遅いです。「お客様第一」「自身の家族よりも生徒優先」という古い昭和な考えを未だに引きずっている会社が多いのです。ですから、まだ従業員とその家族を大切にする取り組みは殆ど始まっていません。

だからこそチャンスなのです。「飲食業界で一番、従業員とその家族を大切にする会社を目指します」とうたい、従業員からは「この会社で働いていてよかった」「家族や友達に紹介したい会社」と言われ、従業員の家族には「家族がこの会社の一員であることを誇りに思う」と思ってもらえる会社作りを始めるのです。残業や急な出勤をなくし、利益の追求や会社の規模の拡大ではなく、それぞれの従業員が幸せな生活を送れることを第一に考えるのです。そのようにすれば従業員満足度は上がり、その幸せオーラは間違いなくお客様へ還元されます。

しかしながら、従業員を幸せにするにはお金が必要ですよね。ある程度の蓄えや保証がないと、会社としても大きな舵をきることは難しいのが現状です。

■収入の切り札は「訪日外国人」

そこで登場するのが訪日外国人です。

多くの方が忘れていらっしゃいますが、訪日外国人は、日本にお金を使いにやって来ています。つまり、食べる気・飲む気満々なのです。飲食店が最も欲しい、お金をお店に落としてくれるお客様なのです。

実際に外国人集客に成功して従業員を大切に出来て、人も集まってくる為、人手不足に悩まされていない会社を私は知っています。売上が上がれば従業員にもっと投資が出来ます。決してお給料を上げるという意味だけではなく、ワインに関するセミナーに通わせることができたり、接客英会話レッスンを導入できたり、海外研修に行って広い視野を持てるようになるなど、従業員の明るい未来を応援するような道を開拓しています。そうすると、従業員は「会社にこんなによくしてもらっているんだから、もっと仕事がんばろう」と、より仕事に前向きになれるのです。

また、このように従業員を大切にしている会社の噂は一気に広まり、多くの優秀な人材が「英語が得意なので、外国人客が多い貴店で働きたい」「英語を学びたいので、英語研修を実施している御社でがんばりたい」と志願して入ってくるそうです。なので、このように人を大切にしているという実績は、採用の際に非常に大きな魅力として打ち出す事もできます。

先ほどご紹介したように、日本人のお金を使う世代の人口は年を追うごとに減っていきます。日本人客を集客しようとすればするほど、負のスパイラルに陥る可能性は増えるでしょう。しかし、飲食店でお金を使う気満々の訪日外国人の数は東京2020以降も増え続けると言われ、2030年には6,000万人が日本を訪れると政府は予想しています。

もうすぐオリンピックイヤーであるにも関わらず、多くの飲食店は訪日外国人の集客に取り組んでいません。殆どのお店(会社)は「英語が話せないから、外国人は別にいいよ。その余裕があるなら日本人を集客するよ」と、訪日外国人客のVIP具合に気づいていません。いえ、厳密には、気づこうとしていないのです。しかし、あなたは何らかの理由でこのページにたどり着き、訪日外国人を集客して売上を上げることで人材不足も解消できる事、競合他社はまだその取り組みを始めていないことを知りました。

図12png

https://chibra.co.jp/taiken/jnto-2019year-repo/

■海外のお客様を集める方法は?

とは言え、海外のお客様を集客し、お客様満足度を上げるにはコツがあります。ただやみくもに始めればいいというものではありません。外国人客が何を求めているのか?という顧客心理を理解した上で、準備を1つずつ行っていく必要があります。

一番やってはいけないのは、日本人であるみなさんが、日本人目線で対策を打つ事。これでは始めたところで全く意味がありません。完全に的がずれてしまう可能性もありますし、そのような間違った対策を取っているお店はすでに多く見かけます。

どんなビジネスでもそうですが、大切なのはお客様の目線に立つ事ですよね?それから、お客様の困り事や悩みを解決できる案を出し、行動に移して、結果を見ながらさらに改善をする……。この繰り返しです。

では、どうやったら海外のお客様の気持ちを知ることができるのか?そして、どうすれば外国人客を集客し、売上を上げることができるのか?それはこちらの本に全て書いてあります。弊社が500人の海外の方に、日本の飲食店に関することだけを街頭インタビューで聞き取った、非常に濃厚な声が詰まっています。こちらを読みながら準備を始めていただければ、大切なことは全てカバーできます。

いつやるか?今でしょ!は流行語としてもう古いですが、他店が始めてからようやく始めても手遅れです。他店が始める前にスタートして、一気に差を付けましょう。そうすれば、特定のエリアでの1人勝ちも決して夢ではありません。

もうこれ以上人手不足で悩むのはやめましょう。採用できないほど人が集まる会社を目指しましょう。その為には、売上を上げて従業員とその家族を大切にすること。そうするには、日本人客の集客だけではなく、訪日外国人にも積極的にPRし、世界中のお客様に喜んでいただけるように努力を続けましょう。

何よりも、まずは行動あるのみ。どんなに悩んでも考えても、行動を起こさなければ何も変わりません。NIKE 流に言うと “Just do it.”です。1歩ずつでいいので始めましょう!


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Profile:内木美樹(うちき・みき)
株式会社華ひらく 代表取締役
飲食店専門の英語講師/飲食店インバウンドコンサルタント/インバウンド接客セミナー講師/ライター

1982年横浜生まれ。
高校卒業後、アメリカのTruckee Meadows Community Collegeに留学。
卒業後、ネバダ州にあるカジノで有名な国際ホテル Peppermill Resort Hotel にウエイトレスとして勤務。
職場には日本人が一人もいない環境の中、マネージャーから「No. 1ウエイトレス」と称される。

帰国後、2010年に株式会社華ひらくを立ち上げ、飲食店に特化した接客英語レッスンを展開。
どんなに英語が苦手な人でも、半年で接客英語がペラペラに話せるようになる独自のメソッドを開発。
「実践練習が多いので自信につながった」「外国人客の来店が楽しみになった」と受講生から高い評価を得ている。

「No Fun, No Gain(楽しいから成長できる)」をモットーに、常に笑顔と笑いの溢れるレッスンを心がけている。上場企業や老舗有名店等取引先多数。
外国人客にも笑顔で堂々と接客できる飲食店を増やし、日本のファンを世界中に増やすことをミッションに掲げている。
大学での授業や商工会議所でのセミナー等幅広く活躍中。
ラジオや新聞、テレビなど、メディア出演多数。
2児の母。趣味はシルク・ド・ソレイユを観に行くこと。

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