職人さんは、評価を気にしている。

母が言った。先日、俺が加工を頼んでいる金彩屋さんが、「こんな感じで良かったでしょうか?」と聞いていたらしい。
「職人さんは、出来を気にしてるからね」と言っていた。
よく言う。どの口が言うてるのかと驚く。

うちの作品は、7割がた叔母の工房で染めている。
ところが、初めて創った作品の評価がないので、「いまいちだったのかなあ」と、二回作らず、一回ものになってしまったものもたくさんあるという。

通常着物というのは、図案が一番時間かかる場合すらあるもので、一つの図案を色違いや、同じものを創るものであります。
技法によって、また、メーカーによって、なるべく一点ものにするようにしたりはありますが、とにかく、特殊なケースを除けば、一つの図案に対して一度しか染めない、というのはなかなか無いのです。

それをさせてるくせに、よく言う。
他の職人さんたちの前だったので言わなかったけど。



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