映画#91『ワイルド・スピード SKY MISSION』
「スピードを愛して生きてきた」
「だから俺たちは兄弟だ」
「お前も同じだった」
2023年現在も全世界興行収入のTOP10に鎮座し続ける、シリーズ最大のヒット作。
監督は『X3 TOKYO DRIFT』から『EURO MISSION』までを手がけたジャスティン・リンに変わり、『ソウ』シリーズや『死霊館』シリーズを手がけたジェームズ・ワンに。
「ホラーの監督がワイスピを撮れるのか?」と一瞬不安になったりもするがご安心を。むしろアクションの迫力はシリーズ最大級とも呼べる程だ。
タイトルにもある通り、今回のテーマは「SKY/空」。
序盤から車に乗りながら飛行機からスカイダイビングなどというとんでもない展開が。
シリーズを追うごとにカーチェイスのアクションがより派手に進化し続ける『ワイスピ』だが、何と空までも制してしまうとは。果たしてどうやって撮影したんだろうか……いずれにせよアクションシーンの絵面に関して、今作は間違いなくシリーズ最大級だと言えるだろう。
もう一つ目を引くアクションシーンといえば、スーパーカーでビルを三棟抜きするシーンだろうか。任務の一環でスーパーカーを強奪したブライアンとドム、追っ手から逃げ切るべくなんとビルの窓を突き破り逃走を図るのである(ブライアンの「車は空を飛べないぞ!!」に不意に笑ってしまった)。
その勢いでビルを三棟も突破する、などという奇想天外な展開に最早笑ってしまった。しかしこのぶっ飛び具合もまた『ワイスピ』の醍醐味だなぁ……と思った次第だ。
また悪役の強さも、これまたシリーズ最大級だ。ジェイソン・ステイサム演じるデッカード・ショウ……前作『EURO MISSION』の悪役オーウェン・ショウの兄である。弟を傷つけたファミリーへの復讐を果たす為に行動を開始する。
『TOKYO DRIFT』の劇中にてハンを殺害した張本人でもあり(私はてっきりDKが殺害したものだと思っていたのでびっくり)、作中でも最強の捜査官ことルーク・ホブスを打ち負かし、主人公ドミニクの家も爆破し盛大な宣戦布告をかましている。
ここで一つ余談というか個人的な話になるが、私が人生で初めて観た『ワイスピ』が2019年公開の『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』だった。所謂番外編(スピンオフ)的作品であり、ホブスとショウの2人が主人公を務める(この時点で、ショウが仲間になることは既に分かりきっていたのだが)。
故に悪役としてのデッカード・ショウを観るのはこれが初めてな訳だが、ここまで強そうに見える悪役はそうそういないだろう。何せ「俺、マジでお前、殺るからな」の目をしているんだもの。流石「世界最強のハゲ」ことジェイソン・ステイサム……。
そして………
主役の1人「ブライアン・オコナー」を演じるポール・ウォーカー。
今作が彼の最後の出演作となった。
今作の撮影中、ポールは自動車の事故を起こし死亡。撮影が一時中断された後、ポールのいないシーンは彼の弟たちが出演し、彼らにCG合成を加え演出した。こうして映画を最後まで作り上げてくれた製作陣には脱帽せざるを得ない……。
ラストシーンでは、妻のミアと息子のジャックと共に楽しげに過ごすブライアンの姿が。
優しげに見守るファミリーたち。
レティの「さよならは?」という問いかけ。
それに対するドムの「さよならなんてない」の言葉、
そして流れ始める『See You Again』のイントロ……
ここで私の感情及び涙腺は遂に限界を迎えた。こんなに映画で泣いたのは随分久しぶりだった。キャストの泣きそうな顔も、ドムの切なそうに笑う顔も、流れ始めるブライアンの回想も、その全てを私は大粒の涙をこぼしながら観ていた。
最後、ドムとブライアンがそれぞれ違う道を走り始めるのも「ポールは天国へ行った」とも「家庭を手にしたブライアンは全く別の道を歩んだ」とも捉えられる……どちらにせよ目から溢れた涙が止まらなくなること間違いなしだ。
素晴らしい映画を、ありがとう。それではまた。
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