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映画#39『シン・ゴジラ』
『シン・ゴジラ』
監督:庵野秀明、樋口真嗣
脚本:庵野秀明
出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、市川実日子、高橋一生、津田寛治、余貴美子、國村隼、平泉成、柄本明、大杉漣、他
音楽:鷺巣詩郎、伊福部昭
製作会社・配給:東宝
公開:2016年7月29日
上映時間:119分
”虚構 VS 日本”
久々の邦画レビュー。
基本的に洋画LOVEの私が邦画の中で一番気に入ってるのがコレ。庵野秀明監督の『シン・ゴジラ』。
でもだからって、私は根っからのゴジラファン!!って訳でもない。VSシリーズは全く観ていないし、アニゴジ三部作、モンスターバース、あと初代ゴジラをさらーっと観ただけだ。
シン・ゴジラの魅力の一つとして、物語のテンポが素早さが挙げられる。それも極端に遅くも早くもない、観ていて遜色ない丁度良い早さだ。
ゴジラが日本に出現した後、物語は日本政府の視点で描かれる。「実際に現代日本にゴジラが出現したら、政府はどう動くのか」…これは実際に制作陣が政府に取材した際の答えを元に制作したのだという。
更にそのゴジラに対する政府の対応は良くも悪くもリアルだ。「国民の安全」を第一に考えてるが故に、避難が完了するまではゴジラを攻撃しない。
だがそれは逆に、その場に国民が1人でもいればゴジラには攻撃できないということにもなる。例えその時に一斉攻撃を仕掛けていればゴジラを討伐できて、最悪の未来を回避できていたとしても。
また、今作のゴジラは形態変化を行う。これは今までにない特徴であり、(劇中における)最終形態である第4形態の全長は118メートル。2016年当時では最大級の大きさを誇るゴジラである。
詳細な説明はここでは省くが、生物という垣根を超えたとも言えるゴジラの生態は正に「完全生物」。
異形にして常軌を逸した様を、カヨコは「神の化身」と表現した。
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そしてゴジラお決まりの「放射熱線」は紫色のレーザービームとなって登場。首都圏のあらゆる高層ビルを破壊し尽くす様はまさに「絶望」そのもの。果てには背中の背びれや尻尾の先端からもビームを発射する。そんなのアリかよ。
歴代と比べ明らかに異質な今作のゴジラ…ここでキャッチコピーの「虚構 VS 日本」が重なる。
死ぬこともなく、際限なく成長を続け、放射熱線のレーザーで東京の街を破壊し尽くす。そして身体のあらゆる箇所からレーザーを放つことで死角も絶っている…それはまるで「ぼくが考えた最強のゴジラ」だ。
つまり虚構とはそういうことだろう。生物という枠組みを超え「虚構」に近しい存在となったゴジラ。事実、作中ではゴジラを死滅させることは叶わず凍結状態に追い込むのがやっとだった。
恐ろしいのがゴジラはまだまだ進化を残している点にある。ラストではゴジラの尻尾の先端から新たなる個体が生まれようとしていることが示唆されていた。
もしこのまま進化を続けていたら、一体ゴジラはどのような存在へと成り果てていたのだろうか。正直、考えただけでゾッとしてしまう。
まとめ
『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明、『平成ガメラシリーズ』の樋口真嗣。特撮界における2人の異才が同時に監督をやったのだから、そりゃーとんでもない映画になっている。
監督的なネタとして、小ネタ?としてエヴァンゲリオンの作中のBGM(ヤシマ作戦)が使われているのもポイント。あの「デン、デン、デン、デン、ドンドン」というフレーズの中、スピーディに作戦会議が行われるシーンは見ものだ。
またシン・ゴジラのデザインも、どこかエヴァンゲリオンの使徒を彷彿させる。もしそのままエヴァンゲリオンに登場しても、正直あまり違和感がないようにも思える。或いはゴジラを虚構たる存在たらしめるために、敢えてデザインをそれっぽくした可能性もある。
今作を起点に始まった、庵野秀明監督による特撮名作のリブートシリーズ。今後どういった作品が制作されていくのか、是非とも期待していきたい。
それではまた、次の映画にて。
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