朝の読書『街場の親子論』
今日は朝8時にすっと起きられた。それから、いつものようにおじいちゃんの朝ごはんを作りに行って、帰ってきて、薬を飲んで、母がいれてくれたコーヒーを飲みながら新聞を読んだり、ソファでゴロゴロしたりして、本を読むに至る。ここ2か月ほど、午前中はもっぱら布団にくるまって動けないという状態だったのが、昨日からすんなり起きられて活動しているのが不思議。布団にくるまっていた頃、非生産的な時間の過ごし方だと毎回のように落ち込んでいたが、今思えば、別に生産的じゃない時間だってあっていいはずだよなぁとなったりする。
今読んでいるのは、父からおすすめされた『街場の親子論』という新書だ。著者の内田樹さんとるんさんは実の親子。半分以上読み進めたが、ここで面白い発見があった。著書内で、親子アンケートというのがあって、そこの質問の中に「親が子どもの交友関係を把握しているか」というのがあって、そういう視点は無かったなと読みながら「うち」の場合はどうだろうかと振り返ってみた。「うち」の親の場合、特に母は私の交友関係にかなり首を突っ込むタイプで、今年婚約破棄したときにもめたのもそういう母の「干渉型」な関係性が影響していたなと改めて実感した。対する父は全くの非干渉型で、私の人生の交友関係に一度たりとも口を出してくることは無かったし、これからもそれは変わらず続くだろう。そういう「うち」ならではの感覚が、ある程度「一般的な家族関係」とはかけ離れているなぁという思いに至った。そもそも「普通」とか「一般的」なものがあるのかどうかという問いも浮かんでくる。家族の数だけその家族なりの「普通」や「変なこと」があるのだろうと想像する。
内田樹さんの「子どもには生きていてくれればそれでよい」という、期待のかけ無さには正直驚くと同時に、うちの父にも似たようなところがあるなぁと気づかされた。「薄情だ」と内田さんは自評しているが、それくらいの淡泊さが丁度よいかもしれないなとも思う。私自身の親子関係が癒着状態なのは、一見私と母のように見えて、実は複雑な感情を抱いているのは父の方に対してで、未だに整理できない感情の渦がぐるぐるしている。もっと父には面倒を見てほしかったというのが、子どもとしての正直な感想なのだが、うちに父に「父性」が欠けているのは父自身の親子関係にもあったのだろうなと最近大人になってから、実感するようになった。別に「父性」や「母性」だけが、子どもを育てるために必須条件かと言われるとそうでもないと思う。そういう素質みたいなものが欠けていても、誰でも子育てできるんじゃないかなと、やったことないなりに考えることはある。私自身、子どもを産み育てるというミッションが神様から与えられないのでは?私は私の面倒を見ることで精いっぱいだと、どこかで見られてるような気持ちになることがある。色々と話が脱線しているが、結局、親子関係を見直すきっかけというのは意外とどこにでも転がっていて、特に成人してから見る親との関係というのは、子どもの時のそれとは全く違っていて、面倒くさいけれどちょっと面白いなとも思う。また、親子関係とは別に、育ててくれたおばさんとの関係についても、最近よく考えるのだが、この「育ての親」の存在の大きさというのは大人になってからのほうが強く感じる。自分の中にある無意識的な感情や思考が、生みの親よりも「育ての親」に強く影響されていると感じるし、それは幸いなことにいい方向に作用していると感じる。おばさんに実際私を育てていた時どう考えていたのかを聴く機会があって、その時、おばさんはわからないなりに努力し、とても苦労したと言っていて、母から毎日のようにアドバイスをもらいながら私を寂しがらせないように工夫していたそうで、そんな日々格闘していたことを知り、余計にありがたいなという気持ちになった。そんな温かく育ててもらったお陰で、29歳の今でも幼い頃の「うれしい!楽しい!大好き!」(当時おばさんはいつも家でドリカムを爆音でかけて歌っていた)はしっかり体内に染み付いていて、私を形作っている。
親子関係の葛藤やコンプレックスがない人なんてこの世に存在しないんじゃないかと思う。皆何かしらの複雑な感情を抱えているように思えるのは私だけなのだろうか。『街場の親子論』ではその複雑な感情を、ひらりと手にとれるように平易な言葉で示してくれる。いや、平易というより、とても冷静な分析と素直な吐露で、きっと誰もがうんうんと頷くポイントが多いのだろう。内田親子は素直に意見を吐き出せる関係でありながら、微妙にずれていたり、遠ざかったり、近づいたりする関係でもあるというのがすごく面白い。そういう流れのある関係でいたいなと、少しの憧れと嫉妬心みたいなものさえ芽生えてくる。移ろいゆく親子の関係性が、私にとっての理想の親子関係なんだと改めて実感させられた1冊。これから最終盤がまた楽しみだ。
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