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とっておきの言葉辞典

居心地が悪い。
自分にとって居心地が良い場所であるはずの「好き」に違和感を感じて、疑問を持つようになって、「好き」が揺らぐ。

揺らぐことのないものだと思っていた。いや、そんなこと考えたこともなかった。だから、これを「モヤモヤ」という都合のいい言葉に収めて、でも確かに抱えながら、ここ1年から半年の間 その事実から目を逸らしてきた。



先日散歩をしていた時に、ようやく考えが形をもてた。
気がする。
いや、言語化出来ないものを説明できる状態になった。
気がする。
これを書いている今、進行形で纏まっていないけれど、書いているうちに纏まる。
気がする。



纏まれ。と思いながら書いていこう。










私は、どうやら「好き」に対しては感覚的なものが強いらしい。具体的な質問をされた時に思考が停止してしまったことで、この事実に気付いた。

例えば、「この本はなんで好きなん?」

この単純な質問は、きっかけや理由が明確ならばすぐに答えられる質問だけど、感覚的に好きなものに対して理由を求められても、言語化することは出来なかった。出来なかったら出来なかったで良いとも思えるけど、ただ何故か今回は、自分の「好き」が否定されているような、ズレているような感覚を持ってしまって、自分の思いに自信が無くなった瞬間があった。

ただの感想も「ここが良かったよね」って話をしたい。
相手の話に対して「そうだよね」って共感をしたい。
出来ていると思う。表面上は。

でも次の瞬間には、私の「好き」でもある大事な部分が、相手の所有物のようになっている感覚が違和感で仕方がない。声を大にした方が、感動で泣いた方が、より熱く語れる方が、「好き」度が強いと思わされる感覚。
それがとても苦手。
私だって同じだよって、それを言うのも違うでしょ?
だからって「そうだよね〜」で終わらせてしまう自分も嫌になる。


好きなアイドルの話でもそう。
活動を100%肯定する訳ではないけれど、良いものには「良い」と言って語りたい。そうしたいのに、自分がそれを口にしたことで、「好き」が相手の所有物になったり、話の方向が変わって所謂愚痴になっていったりすることがある。そうなるくらいならいっそ口にしない方が、自分の中で「好き」と大事にしておく方が身の為ではないか。SNSを開けばそれについて語っている人はいくらでもいるから、私が言わなくてもいいや。そうして黙って過ごしているうちに、「好き」なものの語り方を忘れてしまった。出来なくなった。
語らないから、言語化しないから、「好き」はより具体的な形を持たなくなって、自分の中で粘土のようにグルグルモチモチと捏ね続けて、益々感覚的になっていく。

出来るのは、叫ぶこと。
「これ良い!これ好き!」ってこれは出来る。
だからここ1年ほど、SNSの使い方も少し変わった。

自分の好きなことを他の人と共有したいという気持ちは依然としてあるけれど、自分の大事な感覚を失いたくない気持ちの方が、今は強い。自分の大切なものを守れないなら、大事な粘土をこの手で好きな形に変えながら遊んでいた方が百倍マシ。

嗚呼、保守的な人間になってしまったなあ。







なんかでも、今漸く「モヤモヤ」の正体が分かった。
気がする。





と、散歩をしながら考えていたからイヤホン越しのBGMなんて聴いているようで聴いていなかったんだけど、

その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく
何よりも綺麗なこと 本当はもっと知っている   ずっと

Butterfly / BUMP OF CHICKEN

いきなり歌詞が耳に飛び込んできた。
CDでもライブでも何回も聴いたこの曲の歌詞なんて、
瞬時に思い出せる。

「あ、答えは全部この曲が知ってるんやん」


そう呟いて、Air Podsを3回タップして、もう1度最初から聴き始めた。本当に、Butterflyは全部を知っていて、「こうでしょ」って優しく教えてくれた。



私はいつも、BUMPのライブに行くと普段と比べものにならないくらい語彙力を失うし言葉はまとまらないし、ってなかなか大変なんだけど、ボーカル藤原基央のこの世界に放った言葉たちが、私の語彙達を的確に補填して代弁してくれる。それは今回も例に漏れず。


今回(どうにか纏められた?風に?)書いたことを整理出来て腑に落ちるところまで考えていたのは、体感的にもButterflyの再生時間分くらいだったと思う。歌詞を聴いていなくても、音楽が与えてくれる影響は確かにあるんだなあ。

なんて、また感覚的なことを思ってお散歩終了。





結局「モヤモヤ」はこれですって言語化は出来ていないし、具体的な解決策や改善策が生まれたわけでもないんだけどね。


自分の粘土は大事にして疑わずに持っていたらいいし、ただちょっと応用が効かせられるように型だけ作って用意はしておいたら、もっと色んな話が楽しく出来る!
っていうスタンスにまで持っていくことは出来たかな。



これが私の1年くらいのモヤモヤから解決までの日記。



最後に私のとっておきの言葉辞典「藤原基央」より、
BUMP OF CHICKEN『Butterfly』のリンクをば。

是非に。


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