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『君たちはどう生きるか』 入場特典なしの覚悟

映画の原点に帰りたかった


 「宣伝なし」の興行が話題になった『君たちはどう生きるか』ですが、もう一つ大きな特徴がありました。それは「入場特典」を実施しなかったことです。

 何度も映画館に足を運んでもらうための最たる手段が「入場特典」ではないでしょうか。ランダム封入や期間限定配布など、興行収入を上げるために様々な策が講じられています。
 ただ、転売目的のため、チケットだけ購入して映画を観ないケースなど、多くの問題を孕んでいるようにも思います。

 『君たちはどう生きるか ガイドブック』の巻末に、「映画の原点に帰りたかった」という題で鈴木敏夫プロデューサーが文章を寄せています。

もうひとつ、今の映画業界が抱える大きな問題も聞こえてきました。入場者プレゼントをはじめ、特典目的のお客さんに、二度も、三度も見せて興行収入を稼ぐ。それは、やりたくなかった。これまでもそうやってきたし、これからもそうしてゆきたいと考えています。

『君たちはどう生きるか ガイドブック』より

 昨今、記録的な興行収入を上げているアニメーションは数多くあります。数字の上では、『君たちはどう生きるか』はそこに及んでいないかもしれません。
 ただ、鈴木プロデューサーのこの姿勢は、映画を観るという行為、映画館に行くという行為に対して、問題提起を投げかけているように思えます。作品を純粋に楽しんで欲しい、その想いが多くの人に届くことを願います。

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