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【インボイス反対?】賛成反対の前に理解と対応を考えてみる

皆さまこんにちは、副業イラストレーターのきみおりと申します!
月6桁をイラストの収益のみで実現している鉄腕副業会社員主婦です。笑


簡単な経歴
・元アニメーター(5年間ほどTV、劇場版、ゲーム等の作画に参加)
・一般企業の会社員(10年前~現在まで同じ会社で勤務、課長)
・イラストレーター(3年前から副業として始動、月6桁の収益あり)
・コミッション実績(もうすぐ200件を突破致します!!)


インボイス制度について

昨今話題のインボイス制度。皆さまは賛成でしょうか?反対でしょうか?

「支払う税金が増えるって聞きました!反対です!!」
「本当は払わないといけなかったんですよね?じゃあ賛成かな?」
「私には別に関係ないかな~。何となく世論的に反対かな?」

こういったフワッとした状態の方もいらっしゃるように感じるインボイス制度。とりあえず、それがどういったもので何を目的に施行されるのかを確認して参りましょう。

インボイス制度とは

はい。わかりづらいでお馴染みの国税庁のHPにはこのようにきちんと概要が見られるページがございます。ご親切に配布用のリーフレットも用意されてございます。まずは本家本元を確認致しましょう。

インボイス制度とは、
<売手側> 売手である登録事業者は、買手である取引相手(課税事業者)から求められたときは、インボイスを交付しなければなりません(また、交付したインボイスの写しを保存しておく必要があります)。<買手側> 買手は仕入税額控除の適用を受けるために、原則として、取引相手(売手)である登録事業者から交付を受けたインボイス(※)の保存等が必要となります。(※)買手は、自らが作成した仕入明細書等のうち、一定の事項(インボイスに記載が必要な事項)が記載され取引相手の確認を受けたものを保存することで、仕入税額控除の適用を受けることもできます。

国税庁HPより

「に、日本語なのに読めない・・・だと・・・!」
そうお感じの方、あなた様はおかしくございません。これで「なるほどね!パーフェクト理解!!」となる方は素晴らしい読解力で感服致します。

分からない単語で文章を構成されても意味が理解できませんのは外国語と同じでございます。それでは、まず単語の理解から参りましょう。

・インボイス
売手が買手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるものです。
具体的には、現行の「区分記載請求書」に「登録番号」、「適用税率」及び「消費税額等」の記載が追加された書類やデータをいいます。

国税庁HPより

正確な適用税率や消費税等を・・・はい、こちらもまたラビリンスに迷い込みそうなご説明でございますね。確かにその通りですし簡潔にまとまってございますが、わたくし達の知りたいのはそういうことではないのです。

・インボイスとは
この分の消費税を払うのは自分ですと証明のある請求書のことです。

要するに国は消費税をきちんと払ってほしいのです。それを管理するには、消費税を支払うのは誰なのかわかる書類が必要です。何%をどういう形で誰が払うのか、それが明記されていれば取りっぱくれを防げます。

そういった情報が記載されている請求書=インボイスでございます。

・登録事業者
ちゃんと消費税を払いますよと申請した事業者のことです。

このインボイスを発行する時には「誰が払う」の部分が一番重要でございます。その誰かをはっきりするのがインボイス制度に登録した時に頂く適格請求書発行事業者番号というTから始まる(T+13桁の数字)の番号です。

この番号を取得するには課税事業者(消費税を払う義務がある事業者)にならないといけないので、必然的に「消費税支払います」と申請しないといけません。その登録をしたのがインボイス登録事業者でございます。

・仕入税額控除
消費税を二重に払ってます!返して!!の申請ができます。

じゃあ、登録しなくていいじゃん。と思われますでしょう。もちろん強制ではございませんので結構です。ですが、登録しない事業者は今まで同様免税事業者なので消費税を払いませんよね。

そう致しますと、その免税事業者にお仕事を頼んでやってもらった会社はその分の消費税を立て替えて払っているような状態なのですが、インボイスがないとそれを返してもらえないことになってしまうのです。

分かりづらいので簡単に例を挙げます。


取引先「11,000円(消費税込み)でイラストを描いて下さい!」

我々「描きましたので納品します。約束の11,000円を下さいな。」
請求書を発行→イラスト代:11,000円(消費税込み)

請求書通りに11,000円を振り込み
取引先「経理の人、こちら外注費です。お願いします。」
経理の人「インボイスじゃないので消費税戻ってきませんよ。」
取引先「え!税込みで払ったのに!?」
経理の人「税込みって書いてあっても相手が免税事業者だと消費税を立て替えてる証拠がないから申請できません。」
取引先「それじゃあ、この1,000円は・・・」
経理の人「そのまま課税事業者である我が社の負担になります。」

後日・・・

取引先「10,000円(消費税込み)でイラストを描いて下さい!」

我々「はい・・・あれ?1,000円稿料下がってません?」

取引先「インボイスを発行できない事業者さんは10%稿料減となります。」

我々「え!なんで!?」

取引先「だって消費税払わないんですよね?結局こちらがその分を払うことになるので消費税分の10%は初めから差し引かせてもらいます。」

我々「そんなー!」


消費税とは?

そもそもその払う払わない云々の消費税ってどの消費税よ!?いつも買い物したらちゃんと払ってるけど!?とのあなた様へ、消費税とは。

消費税は販売やサービスなどの取引に対して課される税金で、消費者が負担し事業者を介して納付されます。その際各取引段階で、二重三重に消費税が累積しないよう、仕入にかかる消費税額を控除する仕組みが採られています。

国税庁パンフレットより

要するに最終的に消費者から預かった消費税額は国に納める仕組みなので、途中経過の仕入れに掛かる税金は自分より前の取引先が払ってくれるから本来払わなくて良いはず、ということでございます。

とりあえず全部相手に払うけど、相手はそこから売上げ分の消費税を払ってくれるから、実際に払うのは相手が払った消費税額を引いた額だよね!多く払った分は控除してね!という内容でございます。

要するにインボイス制度とは

誰がどうやって消費税を払うか明確に書式化した請求書を使用する取引のことです。これにより消費税の納税漏れを防ぐことができます。

ここまでご理解は追い付いていらっしゃいますでしょうか?かなり噛み砕いて申しておりますので制度について完全には網羅できておりませんが、わたくし達にとって重要なポイントはきちんと記載したつもりにございます。

こちらをご理解頂いたうえで、やっと賛成反対のお話となります。


インボイスに反対?賛成?

インボイスは反対意見が多いのが現状でございます。わたくしも反対派でございます。

・事務作業が複雑化してしまう
・個人事業主の取り扱いに困る
・契約の見直しが必要になる
・経営が厳しくなる事業者も出てくる
・もっと他に方法はあるはず

これらが主な反対する理由でございます。
わたくしはサラリーマンとして課税事業者の立場からも、副業として免税事業者の立場からも見ることができますが、どちらにせよ反対に代わりありません。

一番は「面倒くさい!」の一言に尽きます。
請求書の様式を変更し、契約を結びなおし、インボイス登録事業者か否かを取引先に確認し、経過措置の期間はその計算も追加され・・・あーーーっ!もうっ!!という心境でございます。

・本来は支払うべき税金である
・消費者の立場から見れば税金として払っているのに私腹を肥やされても
・日本の財政の為致し方なし

この辺りは賛成意見でございます。
先にも記述致しましたが、消費税とは消費者から預かっている税金でございます。なのでそれを着服するのはいかがなものか、というのは確かにございます。それにもう税金を上げたり、こうして少しでも徴収致しませんと日本という国自体が成り立たなくなってきてしまっている、というのも確かです。

外国の方が前にYouTubeで、なぜ税金の高い日本にわざわざ住むの?という問いに「確かに高いけど、日本に住む権利として考えたら、それだけ払っても住みたい国だからさ」とおっしゃっていました。

税金は日本に住むための権利を買っているようなもの、と考えますれば、外国語もできず、日本の治安の良さに慣れ、美味しいものや美しい場所がたくさんあるのを知っている現状、税金が安いから海外移住する、という発想にはわたくしはなりません。

賛否両論の意見や政府の考え、今後の日本を想像して、あなた様は反対でしょうか?賛成でしょうか?どちらが正解ということはないでしょうから、どのように考えるかは自由でございます。

一番宜しくないのは、何も考えないことでございますれば。


今後どうしていけばよいの?

サラリーマンの立場ですとそれほど関係ないように感じます。ですが、個人事業主として副業の立場で考えますと死活問題にもなりかねません。

まず、インボイスに登録しなかった場合のリスクとして挙げられますのが
・報酬の減額
・取引の解消

の2点でございましょう。

取引先が課税事業者の場合は、恐らくインボイスを発行できない場合消費税分の報酬を減額されると思われます。消費税は現在10%もございますので、実質一割も報酬が減ってしまいます。

もっと悪くすればインボイスに登録してない事業者との取引をしない、とするところも出てくると考えられます。登録事業者と非登録事業者といちいち分けていますと事務作業が乱雑になりますので、いっそ登録事業者としか取引しない、としたほうがスッキリ致します。

商業の依頼で生計を立てており、年間1000万円未満の売り上げの免税事業者の方はこれから厳しい局面となって参ります。

ならインボイスに登録すれば良いじゃん、となりますがそうしますと消費税の納付義務が生じますので結局年間10%程度の消費税を納めないといけなくなり、年末調整の時にその分のお金を国へ納めなければなりません。

どちらに転んでも概ね年間10%程収入源が見込まれる、という試算となるのです。


対策は何があるか?

では対策は?わたくしが調べたり考えるものは以下です。

・社員化の波に乗る
こちらは本業のほうでも話が出ていますが、優秀な技術者を社員化する流れがございます。個人事業主は業種によっては淘汰されつつあり、可能な限り社員化して下請け制度を削減するような動きです。

イラストレーターにおいてそのような流れがあるのかは不明でございますが、社員になればインボイスがどうこうは関係なくなります。正社員を目指している方はある意味チャンスとも言えますでしょう。

・toCに特化する
対課税事業者との取引を止めて、消費者との取引のみに特化していくというものです。インボイス制度が施行されましても、別に絶対課税事業者になれ!と言われている訳ではございません。

免税事業者のままでも良いので、取引上不利になるtoB(対企業)のお仕事ではなく、個人依頼などの消費者と直接取引をすれば、年間1000万円未満の売り上げであれば今まで通り消費税は納税義務が生じません。

・年間1000万円以上稼ぐ
ホリエモン曰く「年間1000万も稼げないのは事業じゃないから辞めちまえ」だそうで、確かに事業として稼げないなら別のお仕事に乗り換えた方が賢明とも考えられます。

1000万円以上稼ぎますと必然的に課税事業者になりますので、インボイスにそのまま登録だけするだけで納税額は何も変わりません。それだけ稼いでいるのでしたら自身も仕入税額控除の恩恵も受けられるのではないでしょうか?

その場合はただただ税務処理が面倒くさいだけですので、税理士さんを雇ってやって頂きましょう。

・簡易課税制度を使用する
国税庁のHPでも紹介されております、こちらの制度は「収入にかかる消費税×みなし仕入率」で控除額を算出します。面倒な事務手続きを簡易化できるので助かりますし、場合によっては節税にもなります。

みなし仕入れ率は事業区分によって変わります。イラストレーターでしたら概ね第5種に該当するのでみなし仕入率は50%となり、通常ならこちらの計算の方が有利になるでしょう。

とはいえ、別に控除されるわけではなく支払わないとならないことには変わりがありません。多少マシになる人もいる、という程度にお考え頂けましたらと思います。


最後におまとめ

いかがでございましょう?インボイスについて少しでも知って頂き、考えて頂けるきっかけになっておりましたらと思います。

こういった政策というのは、自分に降りかからないと考えないものでございます。実はこの他にも色々問題の法令が制定されようとしています。該当する人にとっては一大事でございますが、例えば子供がいなければ養育に関することは別に調べませんし、介護の必要がなければ介護費用について問題視しませんでしょう。

ですが、世の中はそういった知らないうちに制定される法令も含めて様々な要素が合わさってできております。他人事だと思い込んでおりますと、知らぬ間に関係が出てきたりするものでございます。

今回のインボイスについて考えたことをきっかけに、自分が暮らしている世界がどのように成り立っているのか、日本が現在どういう問題を抱えていて、どんな未来を子供たちに残していけるのか、お考え下されば幸いです。

この記事がそのきっかけの一端を担えましたら嬉しく思います。



ご閲覧ありがとうございました!宜しければご意見等Twitterやコメントに頂けましたらとても嬉しく光栄です。

わたくしは税務関係の専門家ではございませんので、誤ったこと等はご指摘頂けましても大変助かります。今後も勉強して参りますので、ご教授頂けましたら幸いです。


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