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「ココ塾」革命 #3 迷走する物件探し

資金調達と同時に始めたのが「物件探し」でした。指定を受けるためには、指定権者(ココ塾の場合は東京都)が定めている、ありとあらゆる条件を満たす物件を探さなければいけません。お子さまたちの安全を第一に考えた事業所にするためにはとても大切なことなので妥協はできませんが、すべての条件に合致した物件を見つけることは、本当に大変なことでした。


1.指定が受けられる物件の条件

児童福祉法に基づく児童発達支援・放課後等デイサービス事業所として指定を受けるためには、都が定める多くの条件を満たす物件を探さなければいけません。例えば、次のようなものです。【当時の条件ですのでご参考までに】

≪物件について≫ ※主な条件の一部です
・建築基準法、消防法、バリアフリー条例上問題がない
・耐震化基準を満たしている(検査済証が必要)
・風俗営業が半径100m以内にない
・3階以上の物件、地下の物件、窓のない物件はNG
・賃貸物件の場合は大家さんや近隣住民に事業概要を説明し許可をいただく

建築や不動産について何の知識も持ち合わせていなかった私は、法律などの用語を理解することからすでに苦戦していました。
不動産の情報サイトに複数登録してインターネット上から探したり、希望する物件があったときにはメールが来るサービスを使ったりして、条件に合いそうなところは片っ端からチェックをしていきました。だいたい100件くらいはピックアップしたと思います。
そこから仲介業者に電話をかけていくのですが、「検査済証がないんですす」「こどもの施設はダメなんです」「飲食店がいいんだよね」などなど言われてしまい、その時点で終わってしまうものがほとんどでした。
また、同時期に放課後等デイサービスを立ち上げようとしている他の会社がすでに押さえているということもあって、条件に合う物件はみんなが狙っていることを実感し、日ごとに焦りも大きくなっていきました。

≪設備について≫ ※主な条件の一部です
・活動室は死角のない一つの空間にする
(児発なら1人当たり3㎡以上、放デイなら1人当たり4㎡以上)
・事務室、訓練室は原則としてお部屋
・トイレは事業所専用で、外部者との共用はNG
・トイレのとびらは、お子さまのとじこもりに備えて外からも鍵を開けられるようにする
・洗面設備は、手洗い用、トイレ後の手洗い用、食器用の最低3ヶ所

設備についても、細かな条件がたくさんありました。特に困ったのはトイレや洗面設備の数です。良い物件があっても、トイレが他のテナントさんと共用だったり、手洗い場の数が足りなくて内装工事で増設しなければならず設備資金が膨らみそうだったりと、なかなか条件に合うものが見つかりませんでした。

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