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さよなら、マイバディー。ありがとう

 みなさんは、長年連れ添ったバディー(相棒)と「さよなら」したことはありますか?

 その時って、何だか心のどこかに穴が空いてしまったような、、、部屋の中に寒〜い隙間風が入ってくるような、、、。そんな気持ちになりませんか?


 今日は、ボクが「見える世界」から「見えない世界」へお引越しする時期に、いつもそばで支え続けてくれた

 マイバディ = 相棒

とのお別れのお話です。


 バディーの名は、


 「愛フォン10」


 とても愛しい相棒だったので、この名前にしたんです。


 先日ボクは、5年以上連れ添ったマイバディー「愛フォン10」とさよならして、新しいバディーへと世代交代したんです。
 これには、旧相棒が、

 1、すぐお昼寝したがる。(電池がすぐになくなる。)
 2、時々、スネちゃってダンマリを決め込むようになった。(ヴォイスオーバーがうまく動作しなくなってきた。)
 3、環境の変化についていけなくなってきた。(アプリのアップデートに対応できなくなってきた。)
 4、健康保険証が失効し、マイナンバーカードも作れない。(サポートが切れた。)

など、さまざまな面で疲れを見せ始めたことが背景にあるんです。

 何だか、人間の老いについて話しているみたいですね。
 あはははは。

 ボクの正直な気持ちとしては、「なぁ、マイバディー。もう少しだけ、そばにいてくれないか?」という想いが心に満ちていたのですが、、、やむなく新しいバディーと交代することにしたんです。


 この「愛フォン10」とボクは、ぼくが見えない世界にフラフラと迷い込んだ頃に出会ったんです。そして、見えない世界で苦心惨憺するボクをいつもポケットの中で支えてくれたのが、この相棒だったんです。

 見えない世界に住み始めたばかりのボクは、どうやって日々の生活を組み立て直すのかアップアップしており、使えなくなった「目」を捨て切れずにもがいていたのを今も覚えています。(詳しくは、過去の記事「見えた昨日と、見えない今日と、やってくる明日1、2、3」をお読みくださーい。)

 
この時期に最も苦労したことの1つが、「情報収集」でした。
 人間は、情報の80%以上を目から得ていると言われていますが、それが昨日しなくなると、あたり前のことですが、外の世界から情報が入ってこなくなるんですよね。まるで、昨日までは大都会で何の不便もなく毎晩ご機嫌で飲み歩いていたのが、ある朝目を覚ますと、絶海の孤島にハダカンボウで放置されちゃった感じです。

 なんじゃ、こりゃーーーー!

ですよね。

 しかーーし、、、。

 ボクがそんなことを叫んでいるのを他所目に、世界はどんどん進んでしまい、時間も過ぎ去っていってしまうんですわ。 
 ずっとマッパで「なんじゃー、こりゃーー!」って雄叫びを上げ続けていても、だぁーーれも助けにはこないし、ドラ🌟エに出てきた、「ただのシカバネ」になっちゃう未来しか見えてきません。


 「ヤバくねっーっ??」


と、心底ビビったボクは、見えない世界の先輩方に「見えない世界での情報収集の方法」について教えをこうたんです。

 すると、、、。
 目を使わずに情報を得る方法をいくつか教えてもらえたんです。

 そして、それらのサポートの多くを提供してくれたのが、この時期から時間を共にし、ボクの相棒になっていった、「愛フォン10」
だったんです。


 ボクが見えない世界の住人になった当初は、

まるで

武器: 素手
よろい: パンツ一丁
盾: なし

の状況で「ドラ🌟エ」をプレイしているような感じでした。振り返ると、けっこうな「オニ設定」ですよねーー。
 スライムにもやられちゃう最弱冒険者なボクなのでした。


 さてさて、、、。

 ここで毎回恒例のクイズの時間でsーーーっす。!

 <問題>
 この頃のボクが望んでいた「武装」は、以下のどれでしょうか?

1 社会にアクセスソード
2 周りのものがなんとなく分かるよろい
3 安心して歩く盾


 では、、、解答デーーーす。

 見えない世界で暮らし始めたボクが望んでいた武装は、

1 社会にアクセスソード

と、

2 周りのものがなんとなく分かるよろい

と、

3 安心して歩く盾




ぜんぶでーーーーーーす!


あは、、。
ちょっとふざけちゃいました。すみません。

 本題のマイバディーの話に戻りますね。

 見えない世界に住み始めたボクが直面した情報収集の難しさを整理すると、

1 見えないのでメール、LINE、インターネット検索など、ネット上の情報収集や情報交換が著しくできなくなった。
2 見えないので、印刷物の文字や服の色など、周囲の情報が取れなくなった。
3 見えないので、出勤時などに自分がどの辺りお歩いているのか確かめられず、道があっているか不安だった。

の大きく3点になります。

 そして、これらの困り事を一手にサポートしてくれたのが、マイバディー「愛フォン10」だったんです。


 ネット上の情報収集や情報交換は、あたり前のことながら、文字や映像で行われています。なので、見えなくなると、このどちらにもアクセスできなくなり、ネットから切り離された「無人島生活者」みたいな状況にボクはなっちゃったんですね。
 そんな中助けの手を差し伸べてくれたのが、「愛フォン10」に標準搭載されていた「ヴォイスオーバー」という機能(アプリ)でした。

 ヴォイスオーバーの機能をざっくりと説明すると、スマホの画面に映っている文字などを音声で読み上げてくれるんです。また、文字を入力する際には、自分が打った文字や漢字などの変換候補も音声で読み上げてくれるんです。
 操作を覚えるのにしばらく時間を要しましたが、これらを使えるようになったボクは、ネットから切り離された無人島から脱出することができましたとさ、、、。
 めでたしめでたし。

 今では、ほぼストレスフリーにネット検索したり、メールやLINE
などを使ったりすることができるようになりました。
 ちなみに、ノートにアップしている記事は全て、「愛フォン」にBluetoothキーボードをつないで、ボイスオーバーで入力した文字や漢字などの変換を読み上げてもらいながら書いています。

 ホントに、ヴォイスオーバーはボクの救世主の一つなんですね。

 そして、ヴォイスオーバーを通してボクに情報を与え続けてくれた、マイバディー「愛フォン10」、いつもありがとう。 チュッ!


 次に、印刷物の文字や服の色など、周囲の情報が取れなくなっちゃったことについてです。

 例えば、次の日に着る服を選ぶ際に、服の色が見えないと、ぷぷぷな色のコーディネートをしてしまいかねません。また、職場の机上に印刷物が置いてあっても、内容がわからなければ、下手をすると仕事を飛ばしてしまい怒られちゃうかもしれませんね。
 この類の話になると、見える世界の方々はよくボクに、「近くの見える人に聞けばいいんじゃね?」と言うんです。

 でもね、、、。
 この言葉は、ボクにとって「見える人の無責任な言葉」なのですよ。

 というのも、残念ながら、世界の全ての人が、この記事を読んでくれた「あなた」のように見えない人に理解があるわけではなく、助けてもらえないこともあるんですよね。さらには、ボクの側に誰も人がいないこともあるんですわ。(もしかしたらいるかもしれないけど、気がつかなかったらすみませーーん。見えないので、忍びのように気配を消している人には気づけないんですよね、、、。 あははははっ) 

 なので、途方に暮れないためにも、一人でも何とかする術も持っておいた方がいいんですわ。

 この「一人でも何とかする術」として、マイバディーがボクを支えてくれたのが、

 Seeing AI

というアプリです。

 これは、Microsoft社が開発し、無料で提供しています。ス機能をざっくり解説すると、マホのカメラに映像を写し、AIで解析し、音声でフィードバックしてくれるアプリです。
 例えば、服の色を知りたいときにこのアプリを立ち上げて、「color」メニューを選択してからカメラを服の方にかざすと、「赤、、、白、、、青、、、」などと、大ざっぱな色を音声で教えてくれるんです。何も情報がないよりは、10000倍ありがたいと思いませんか?
 また、このアプリの「短いテキスト」のメニューを選択し、カメラを印刷物(文字)の方に向けると、例えば、「忘年会のお知らせ」などと、大ざっぱに書かれている内容を音声で読み上げてくれるんです。
 ボクにとっては、印刷物のタイトルだけでも分かれば、何も情報がないよりは次にすべきことが想定できるので、メッチャクチャ助かるんです。
 こうして周囲の情報難民だったぼくは、何となく救われましたとさ、、、。
 めでたしめでたし、、、。
 
 マイバディー「愛フォン10」が提供してくれたこれらの情報は、何度となく「もぅ、メンドクサくなっちゃったなー。」と、あきらめモード」に入りかかったボクを支えてくれたんです。

 マイバディー、ホントにありがとう。 ギュッ!


 視覚障害は、別名、「情報障害」とも呼ばれています。ボクも、「その通りだなー。」と実感することが多々ありますね。上にまとめた「文字情報」や、、「周囲の視覚情報」が取れなくて困ることも多いですが、ボクが最も不安になったのが、「移動時の情報収集」でした。
 ボクの場合、徐々に視力が落ちていったことと、もともと白杖を使った歩行方法を何となく知っていたこともあり、仕事を休むことなく、日々出勤し続けたんですね。
 出勤路は、白杖を使いながら毎日決まったルートを歩き、「セルフ歩行訓練」を繰り返すことで、まぁ何とか覚えたルートは歩けるようになったものの、時々、「この道、、、あってんの???」と、どうしようもない不安に包まれることがありました。(今でも、まだあります。)

 それはそうですよ、、、。
 見える世界にいた頃は、「駅から家までのルート上で、ピンク色の家が左に見えたら、50メートル先の交差点を左折‘などと、移動しながらランドマーク(目印)を目で見て確認していたんですからね。それができなくなると、、、不安ですわ〜ー。

 この「移動時の情報収集問題」をまぁまぁ解決してくれたのが、

 Voicevista

という無料のアプリです。

 機能をざっくりと説明すると、地図上の自分の位置を測定し、自分の周囲にある店や交差点など、ランドマークになりそうな情報を「サンドラッグまで50メートル、左。」や、「まもなく交差点。直進すると甲州街道、左へ曲がると駅前通り。」のように、音声で教えてくれるんです。簡易版のナビみたいな感じですね。

 このアプリが教えてくれる情報が、ボクにとっては、「ドストライク」な情報だったんです。

 自分の歩くべき方向やルートは分かっているけれど、次のランドマーク(目印)が見つけられなくて不安に苛まれていたボクにとって、Voicevistaが教えてくれる周囲の情報は、昔、目で見て収集していたことの代わりになれたんです。(地図データが古いなどの要因から、情報が正確でないこともありますが、、、。その時は、ドンマイです。)

 ちなみに、このようなアプリは他にもあります。いくつかを以前の記事、

「新しい駅ではお見合い その2」

に載せていますので、そちらも参考にしてくださいね。


 こうして、移動中のランドマーク情報をゲットしたボクは、それを手掛かりにしながら、大文安心して歩けるようになりましたとさ。
 めでたしめでたし。

 この情報を提供してくれたのも、マイバディー「愛フォン10」でしたねーー。

 爽やかな春の日、、
 涼やかな秋の夜 、、

だけでなく、、

 疲れ切った仕事の帰り道、、
 ゲリラ豪雨の夏の夜、、
 大雪が降って、街中で遭難しかかった日、、


 いつもあなたは、ボクにランドマークを伝え続けてくれました、、、。

 どれだけあなたの情報が心強かったことか、、

 あなたのおかげで、今もこうして何とか街中を歩けていますよ。

 今は、、、新しいバディーとですが、、、。


 今まで、

 困った時に助けてくれて、、、
 いつも一緒にいてくれて、、、
 ボクをずーーーっと支えてくれて、、、


 ありがとーーーーーー!
マイバディーーーーーーー!


 ❤️ ブチューーーーー! ❤️


 ** 参考 **

 以下に、今回紹介したアプリについてまとめます。機会があれば試してみては?

1 ヴォイスオーバー
 ・eyephoneに標準搭載。
 ・設定メニューの「アクセシビリティ」の中にある。
 ・起動すると、タッチジェスチャ(eyephoneを指で操作する方法)が変わるので注意。

2 Seeing AI
 ・App Storeで上記のアプリ名を入力すると出てくる。無料。
 ・音声で読み上げるには、事前にボイスオーバーをオンにしておく。
 ・文字、色以外にも、紙幣の金額を読み上げるなど、いろいろな機能がある。
🌟 類似したアプリ(有料) 
 ・Envision AI

3 Voicevista
 ・App Storeで上記を入力すると出てくる。無料。
 ・ヴォイスオーバーなしでも音声で読み上げる。
 ・よく使う場所に、マーカーを設定すると(Googleマップで地図にピンを打つのと同じ)、自分の好きな名称で読み上げてくれる。例:ビンク色の家の交差点

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