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魯迅の『故郷』は好き嫌いが分かれるらしい

 国語教師の界隈では、魯迅の『故郷』を教えるのが好きな人と嫌いな人に分かれるようです。

 確かに、内容は暗いし時代背景を理解するのも知識がいるし、最後の「希望とは…」の文章の解釈が難しいと思います。
 
 私は、ちゃんと教えたことあるのはまだ一回しかありませんが、第一時間目の、初めて『故郷』の本文を通読したときは不安でした。

『故郷』の一時間目に、朗読用CDをかけて全文を生徒と読むと、読み終わる頃にはみんな机の上に突っ伏して、葬式のような状態になってしまったのです。

「あー、この物語を教えるのはきついかもしれない」

と絶望的な気持ちになりました。

 しかし、私はどちらかというと『故郷』を教えるのが好きなタイプです。

 なぜなら、内容が深いだけに読み込めば読み込むほど面白さを生徒と共有できるからです。

 はじめはどうなることやらと思いましたが、本文を読み進めるにつれて、少しずつ生徒たちの顔つきが変わってきました。

 纏足や当時の時代背景の説明をした時の、生徒たちの反応や感想もとても新鮮です。

 欧米の文化にはなんとなく親しみがありますが、意外と中国という、お隣の国の文化には親しみがないようです。

 本文を全文通読した頃は、葬式のような雰囲気だった生徒たちでしたが、単元が終わる頃にはみんなそれぞれ思い思いに自分の考えや解釈を書いていて、やってよかったなと思えました。

 ただし、時期が3年生の秋から冬頃という、受験勉強真っ盛りの時にやるので、つい駆け足ぎみになってしまうのが惜しいところです。

 まだまだ改善の余地がある授業だったとは思いますが、『故郷』は何回でもやりたいです。

 

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