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ガブリエル・シャネル展における情報提供・発信の手法を考察してみた

目次

  •  館内での情報提供方法について

  •  情報の事前周知について


 日本では32年ぶりとなるガブリエル・シャネルの回顧展が、2022年6月18日(土)~9月25日(日)の会期にて、都内の一等地に建つ三菱一号館美術館で開催されています。このnoteでは、多数の来館者が見込まれる本展覧会ならではの観点から、情報提供・発信について2点の考察を述べていきます。


 1点目は、館内での情報提供方法についてです。本展覧会では、紙面による目録はの配布はなく、展示導線の冒頭で目録をダウンロードするためのQRコードが設置されていました。このように紙媒体による情報提供を廃止する動きは、近年におけるSDGsの潮流に乗っ取っているとも言えるのではないでしょうか。また、実態は不明であるが、目録にかかる印刷費用とQRコードを作成しナレーション撮りを行う費用を天秤にかけた結果、QRコード制が採用されたという可能性も考えられます。どちらにしても、かさばりがちな目録をデータとして半永久的に保存できる仕組みは有用であると言えるでしょう。

 2点目は、情報の事前周知についてです。館内には、目録をダウンロードする場所と同じ位置に音声ガイドを取り込めるQRコードが設置されていました。しかし、周りからはイヤホンを持っていないから利用できないといった声も聞こえ、少なくとも私の前後30人は音声ガイドを利用していませんでした。音声ガイドについての情報は、チケット購入用のWEBサイトや展覧会のパンフレットには記載がありません。上手くいけば、人でごった返す展示室内において、どの位置にいてもガイドを聞けるという有効的な取り組みになると言えるだけに、開催側の情報発信不足が目立ってしまっているようにも思えます。

 一方で、情報発信の手法として効果的なアプローチも見られました。それは、記念撮影コーナーです。展示の一角と同様の設えの反射鏡が背面に立つ所謂インスタ映えスポットは、来館者に自分がガブリエル・シャネルの手掛けたコスチュームをまとった気分にさせます。SNS上では、記念写真の投稿が見られ、この展示コーナーは本特別展においての一種の宣伝効果になっていると考えられます。


 ここまで、ガブリエル・シャネル展における情報提供・発信について述べてきましたが、集客数が多い展覧会においては、大多数に向けた効果的な情報提供を考慮して企画を進めていくことが重要だと言えます。


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