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被災高齢者に起こりうるリスクと言語聴覚士の活動 〜肺炎予防と口腔衛生〜

1)肺炎予防・口腔衛生
災害関連死で最も多いのが肺炎と報告されている。災害時には、浄化された水の確保や洗面台の数等の問題と物品不足から口腔衛生環境が悪化しやすく、誤嚥性肺炎を発症しやすい。被災者の中には、避難時に歯ブラシや義歯、義歯洗浄剤などを持って出られず、口腔衛生物品が不足している者も多い。また、避難所で提供される歯ブラシが硬くて使用できない、義歯保管ケースがないため装用したまま就寝しているという者もいた。さらに物品不足だけでなく、いつ次の地震が来るのか分からないという恐怖のために、義歯の洗浄時間を省いている、すぐに逃げられるよういつでも装用しているという話も多く聞いた。
避難所で水道が十分には使えない状態を反映して、物資の中で柔らかい歯ブラシや義歯ケース・水がなくても使用できる口腔ケア物品の使用頻度が高かった。アセスメントの結果、専門的口腔ケアが必要だと考えた場合は歯科医師による専門的な介入に繋げることも重要である。口腔衛生状態の悪化を認めた場合は、精神面にも十分配慮しながら、物品提供だけでなく肺炎予防のため口腔衛生を維持する方法とその重要性の説明も必要である。
また備蓄しておくべき口腔衛生物品は、歯ブラシ・洗口液・義歯ブラシ・義歯ケース・スポンジブラシ・口腔ケアガーゼ・紙コップを中心とした水が使用できない際にも対応可能なものであることが望ましい。

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◎避難所支援において参考となる資料
・国立保健医療科学院 歯科口腔保健の情報提供サイト 災害対策
https://www.niph.go.jp/soshiki/koku/oralhealth/saigaitaisaku.html
・厚生労働科学研究費報告書 大規模災害発生時における口腔ケア活動の意義と実際
実用的パンフレット 
https://www.niph.go.jp/topics/koukuukea.pdf
・日本口腔ケア学会 災害時の口腔ケア・歯科治療
http://www.oralcare-jp.org/saigaiji/pdf/disaster_q_and_a.pdf
・日本口腔ケア学会 水の使用を最小限にしたい口腔ケア
http://www.oralcare-jp.org/saigaiji/pdf/minimum_water.pdf


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