見出し画像

空宙空地 おぐりまさこさんに聞く「クリエイションツアー」:この仕組みを思いついた時、アドレナリン全開でした(笑)

この秋、きまぐれポニーテールがお届けするのは、
題して「札幌発0泊8日の旅 空宙番外地ゆき短編クリエイションツアー」

名古屋を拠点に全国を飛び回り活躍中の演劇ユニット“空宙空地”さんが、地元名古屋で過去5回、コロナ禍ではリモート創作・上演に形を変えたりしながら継続してきた大人気企画「クリエイションツアー」をまるっと札幌に召喚!

空宙空地のおふたりに札幌に来て頂き、SNSの呼びかけで集まった参加者の皆さんと、8日間で空宙空地のつくり方を実践しながら公演をつくり上げます。

目指すのは「お客さまに心から楽しんでいただく公演」
一見無謀にも思えるこの企画ですが、大人気の秘訣、魅力、そして今回の札幌開催に込めた思いなど、ググッと聞かせて頂きましょう!

——————————————————————

まずはこの「クリエイションツアー」のプロデューサーであり、稽古のアドバイザーや制作業務、当日の音響まで担当してくださる、おぐりまさこさんにお話しを伺いました。

———クリエイションツアーを始めようと思ったきっかけはなんですか?

ふたつ理由があります。
一つめ。空宙空地は2人だけのユニットで、本公演や企画公演では、できるだけ短期間でクオリティの高い公演を創っていくために、こちらからスタッフさんや俳優さんに「オファーをかけて」創っていく、というルールにしています。
でもそうすると、まだ知らない人たちや、見つけられていない才能と出会う機会がありません。だかららそういう方々と出会い、一緒に創作する場がほしいなと思ったことです。

二つめ。まだ見たことがない企画を創りたかったんです。当時、単なる「短編集上演」はかなり増えてきていて、もう新しくないなあと。誰もやっていなそうなことがしたい。しかも「参加者もお客さまも空宙空地もWin×Win×Win」にならないと意味がないし、絶対に成功させられない。だから、この仕組みを思いついた時、アドレナリン全開でした(笑)

———なぜ1週間という過酷スケジュールなのでしょうか?

まず自分が参加する側に立って考えました。
知らない人たちと密度高く作品を創る、限界点はどこか。どのくらいの期間ならば、参加しようと思うか。
2〜3日ではとても追いつけない。
一カ月は、色々な予定もあったりして、稽古に行くのしんどくなるな。じゃあ、一週間だ、と。
でも最初にみんなを知ってキャスティングに充てる時間が必要、そこはある程度長い時間がほしい。
だから土日スタート、本番は次の土曜日、日曜はお休みして月曜日から日常に戻る。これがベストかな、と。知らない人たちと一週間ガッツリ組むと、やっぱり疲労困憊になると思うので、日曜の休みは死守したかった。あたし自身は昔、ずっと小売業にいたので土日は仕事を休めなかったから、そこは悩みましたが、学生さんたちも参加してもらいたかったので、こういうスケジュールにしました。

———クリエイションツアーでは短編の作品を複数上演しますが、1作品をみんなでつくるという形じゃなく、短編にこだわったのはなぜですか?

理由はたくさんあります。
長編を4日間で創るのはリスキー過ぎること、短編集であれば他のチームが演出家と稽古している時間に自主練する時間が取れること、「空宙空地のつくりかたを体験する」ためには短編集の方がよりポイントを伝えられること。また、4日間の稽古で「お客さまが心から満足してもらえる公演」をつくることが目的なので、様々な人たちがつくる様々な色の作品がババババっと並んでるショーケース的ステージの方が、より楽しんでもらえるであろう、ということ。これも、参加メンバー、お客さま、空宙空地がWin× Win×Winになるための方策です。

———札幌開催で意識していることはありますか?

名古屋開催でも毎年、どんな方々が参加されるかは蓋を開けるまでわからないし、どんなふうに作品を届けられるか、わりと1分先がわからない企画なので、特に意識というわけではないのですが、敢えていうならば、この企画の「過酷さ」と「おもしろさ」を体感した経験がある方が圧倒的に少ないので、どうしたら参加者の皆さんが、お客様にそのおもしろさを伝えやすくなるか、観にきてほしいと伝えやすくなるか、は、少し悩みました。あと、もう一つ。「参加すると大変よ!思ってる以上にしんどいよ!」てことが伝わらないと、始めたはいいけど、あまりのしんどさに途中で立ち止まってしまいがちなので、そのあたりを強めに伝えるようには意識してきました。

———前半2日間のワークを終えての印象を教えてください。

良い意味で裏切られました。空宙空地を知らずに参加されている方も多かったので、もっとみんな、引き気味で参加されてるのかなあと思ってましたが、みんな前のめりで向かってきてくれています。そしてすでに、チームになってきています。きっとここから、さらに強い絆をつくっていってくれるのでは…とわくわくしてます。あと、参加メンバーそれぞれの中に魅力を発見すると、毎年ながらトキメキが止まりません(笑)

———4日間の作品稽古で楽しみなことを教えてください。

変化です。経験値も、ふだん演じているフィールドも違うメンバーが「空宙空地」を体験しながら、それぞれのチームが作品をつくり、スタッフチームがそれを公演に仕上げていく。個々人がググっと力を上げていったり、今までやったことがなかったセオリーを体得したりしながら、作品・公演を磨き上げていく。この過程が鮮明に見られるのも、この短い過酷な企画の醍醐味だと思ってます。あたしはそれを特等席で拝見させていただきます(笑)

———最後に一言お願いします。
まさか札幌でクリエイションツアーを開催できるとは思ってもみませんでした。呼んでいただいた寺地さんに心から感謝申し上げます!
この奇跡のような出会いで、かけがえのない「たからもの」をいただける予感がしています。
観劇ご予定されている皆さま、どうかご期待くださいませ!唯一無二、刹那の夢のような座組全員で、好い時間をお届けできるよう、精一杯、力を尽くして参ります。劇場でお会いしましょう!

———ありがとうございました!
 
札幌発0泊8日の旅 空宙番外地ゆき短編クリエイションツアーはいよいよ9月30日に公演が迫ってまいりました。

詳細は公式Xにて随時更新中です!
ぜひ、劇場でお待ちしております!

(インタビュー/こいけるり)

・・・・・・・・・・

おぐりまさこ
空宙空地の代表兼プロデューサー。俳優・演出家として活動。
名古屋市生まれ、在住。
地元を拠点に、全国各地で活動。若手創作者育成のプロデュースにも力を入れている。2016年、最強の一人芝居フェスティバル「INDEPENDENT:3SS」全国ツアーで演じた『如水』は6都市で大きな反響を得て、全国的な活動に繋がった。2018年30GP(大阪)で俳優賞受賞。2021年1月、30GPにて出演作品「たりない二人」が優勝。4月、第一回名古屋女性演劇賞受賞。札幌TGR2021参加 OrgofA「ひびそい」にて俳優賞受賞。2022年、教文短編演劇祭四ツ巴戦 戦(札幌)にてベスト俳優賞受賞。
空宙空地公式サイトより)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?