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質感で納得する

モノは、人がつくるもの。

岩や木といった自然がつくるものと違って、形や大きさをミクロン単位でコントロールできる。

人の意志を吹き込めるところがものづくりのおもしろさでもあるし、人が人のためにつくるからこそ世の中がどんどん便利になっていく。

これ、買ってよかった!☆5つ!...なんとなく... 

先日、頑丈さが売りの3000円の折り畳み傘を買いました。傘にしては少々お高めだが、

「強い雨・風からガードしてくるものが欲しい。でも大きなものは邪魔になるから持ち運びたくない。」

という僕のjobを見事に解決してくれたので、満足している。

この傘を買うとき僕が期待したのは、

①自分が使っているカバンに入るサイズ

②強めの雨・風の日でも壊れない

この2点。ネットで買ったのだが、①については、サイズを確認。カバンに十分入るサイズだったので買う前から満足。

問題は②。今までいくつか折り畳み傘は買ったことがあるが、通常の傘に比べて剛性に難ありで、雨風が強い日はすぐに壊れてその日は結局ビショ濡れ。しかも、何度か開閉しているとそれだけで壊れる。これではいくつあっても足りない。

この傘なら強い雨風でも耐えてくれるのでは、と期待して買ったのは間違いないが、
「前買った1500円の傘は風速3m/secまでは耐えたから、3000円のこれは倍の6m/secまで耐えて欲しい」なんて厳密な期待ではない。何となく雨風強い日に耐えてくれれば良い。そのくらい何となく。

まだ、台風みたいな日に使ったことはないが、実際、まあまあ雨風強い日に使って耐えてくれた。よくやってくれたと思っている。だが、心のどこかで「これくらいの雨風なら、今までのでも、もしかしたら耐えてたかもな」とも思う。

こんな曖昧レビューなのに、僕はこの傘に満足している。果たしてこの傘が、僕を納得たらしめたものは何か。それは、

「質感」

傘を開いた時の、「バッサァァ」という音、表面のツヤツヤした手触り、閉じる途中のスプリングのテンション感、閉じる瞬間の「ガッッチャン」という音。

明らかに今までの傘とは違う。もしかしたら、こんな大げさな質感でなくても同じ性能が出せるかもしれない。でもこの「頑丈そうな質感」こそが、この傘は頑丈なのでは?という問いの答えだった。この質感はとても大事で、これがなかったらこの傘に納得する理由がなかったと思う。

ものづくりはリレーのアンカー

製品やサービスが誕生するまでには、マーケターが世の動向からおもしろいコンセプトを打ち出したり、ライターが思わず手に取りたくなるようなキャッチコピーをつくったりと、僕たちのワクワクをMAXにさせる最高のアシストをしてくれる。ものづくりは、最後そのワクワクに応え、ゴールテープを切る役割。そしてアシスト段階には無い要素こそが質感で、ものづくりの醍醐味なんじゃないかと思う。

質感というのは、もちろん傘の例みたいな触覚、聴覚、視覚だけではなく、プリンの滑らかな味覚の質感、ぬくもりを感じる木造新築の嗅覚など様々。ぬるっとした動きをするIPhoneの操作性も質感だし、マイカーの運転席からの景色が好きなら、それも車内の距離間・デザイン、窓越しの質感だし。

自分のお気に入りのものがあるなら、その質感はどんな質感か。次買い物をするとき、その質感は期待に応えていたか、ということをちょっと意識すると、生活がおもしろくなるかもしれませんね。

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