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すべりだい

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#私小説

すべりだい 5.3

すべりだい 5.3

実家に帰ると、玄関に見知らぬ靴があった。
おかんに話しかけると、
「あ、おかえり。あんたのファンの子、もう来てるでぇ。
 おとなしぃ子やなぁ。
 ジュースとお菓子出しておいたで。
 それとな・・手ぇだしなや?」

さすがに出さんわ、子どもやで?と答え、久しぶりに自分の部屋に入る。
言われたとおり、花ちゃんは借りてきたネコのようにおとなしく座って、出されたジュースを飲んで俺を待っていた。

「よぉ、

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すべりだい 5.2

すべりだい 5.2

天使ちゃんこと、花ちゃんと初めて出会ったのは、彼女が中学2年生のときだった。
当時、俺は大学に通いながら、夜は集団授業の塾講師をしていた。
学費を自分で稼がなければならず、時給が高いという理由で塾講師をしていた。

時給は5000円で週5とかで入っていたので、当時は月給換算すると30万ほどあった。(司法書士の事務員の月給よりも普通に高かったな。orz)
その塾に、塾生として花ちゃんがいた。
そうし

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すべりだい 5.0

すべりだい 5.0

ええっと、どこまで話していましたっけ。
書くのがお久しぶりなので、記憶をLoadingしています。。。

そうそう、美人子に浮気がバレて刺された!(夢をみた)ってとこでしたね。
そうです、バレたんです。
前々から怪しいとは疑われていたのですが、メールの呼び間違えで確定したようで、朝から小一時間くらい問い詰められました。
が、そのときは事なきを得ました。
隠すこともせず、
「うん、ごめんね。俺、モテ

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すべりだい 4.9

すべりだい 4.9

目が覚めた。
今、朝の7時2分。
寝たのは3時ごろだったから、あまり寝た気がしない。
美人な彼女の恵美ちゃんに、絵里ちゃんって呼んでしまった件で、メールから電話に代わって、その後2時間ほど詰められたことになる。
内容はよく覚えていない。
眠かったし。苦笑

「朝、そっち行くから!7時に!」

「いやまぁ、朝、ではあるけど、7時はほら。早いでしょ。」

「浮気とかするから寝る時間もないんでしょ!!行

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すべりだい 4.5

すべりだい 4.5

藤木さんとそういう仲になった際に気を付けたことがあった。
呼び名である。
お仕事の都合で、ほぼ毎日会う。
まぁ、平原さんには即バレしたのだが、ほかの人にはそうはいかない。
偏見かもしれないが、銀行のおっさんたちは人の色恋が大好物なのだ。
しかも下世話。
聞くに堪えない猥談を普通にしだす。
そういうのを聞かされるのは苦痛だったし、登場人物になるなどまっぴらごめんだった。

藤木さんは、絵里ちゃん、と

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