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血を啜る。

マグロの赤身を食す時、私は血を啜っているのだなと意識する。真水が貴重な海上では、魚類の血液を水の代わりに飲むと聞いたことがあるが、これは「血」のお話。

マグロの血は私の消化液と溷濁。いつか私の身体をぐるぐると回り、そのうち排出されて、遠い遠い場所へ辿り着いて、遥か先に、何らかの生命体に還元されるのかもしれないし、その辺でくだを巻いているかもしれない。

マグロの血は私に何をもたらしたのか。明後日には、マグロを食べたことなんか忘れて、日常を惰性で生きる私を想像する。

そんなこと、マグロはもちろん、知りもしない。
ありがとう、マグロ。

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