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アイデアについて その2。「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの」を実践する

任天堂の宮本茂が「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するもの」と言っていたんだけど、これは得意中の得意。
ゲーム会社で働いていた時はこれをやっていた。
じゃあ、どんなことをやったのか?というと、全く思い出せない。

色々考えた結果、最近これをやったのを思い出した。
俺がやっていたblue sketchというバンドで文庫本としてシングルを出したんだけど、文庫本という形態にした理由がまさにこれ。
では、何故文庫本にしたのか。


  1. 最初に出したデモテープは歌詞カードとしてポストカードをつけたけど、カセットテープとサイズが合わずスマートではなかった、という反省がある。歌詞を載せるものは媒体のサイズに合わせてスマートに収納したい。

  2. 地方の街は寂れている。昔は本屋やCD屋や服屋やゲームショップなどがあり、そういうお店がカルチャーを発信していたけど、今はない。そのようなお店に代わってカルチャーを発信しているのがカフェや雑貨屋。このようなお店が「情報」としての媒体を置く時はジンなどの紙媒体。何かを発信したくてお店に置いてもらうなら紙媒体が良さそう。バンドの存在を発信する場合、東京への発信はネットで十分だけど、地元となるとネットは難しい。地元に発信しようとするなら泥臭いアナログ的な手法に頼らざるを得なく、カフェや雑貨屋の力を借りたい。

  3. 今、CDが売れない理由として、そもそもプレイヤーを持っていないから、というのがあるらしい。だから、音楽を聴く人はプレイヤーを持っていないことを前提に考えないといけなく、聴くとしたらスマホがメインだろうと考える。

これらを全て解決する手段として文庫本という形になった。
文庫本でどうやって音楽を聴くのか?という疑問があると思うけど、YouTubeに限定公開として音源を上げていて、そのリンクをQRコードにして文庫本に掲載した。
一応、保険としてbandcampからデータをダウンロードできるようにダウンロードコードも付属した(大体の人がこれで聴いているらしい)。

一応問題があって、たとえプレイヤーを持っていない人でも、音楽は音楽媒体で持っていたいという気持ちがあるらしい。
そういう意味ではあまり刺さらなくて売れない可能性があるなと思った。

ちなみに、カフェや雑貨屋に置いたか?というと、全然置かなかった。
地元の雑貨屋1店にだけ置いた。
結果、1冊売れた。
詩を書いているという娘さんのためにそのお母さんが参考になるかもと買っていってくれた。
音楽は聴いていないだろうし、聴いたとしても全然好きじゃないと思うけど、自分たちの外の世界の人に売れたという意味では大成功だったと思う。

突拍子もないことをしてやろうということで文庫本を選んだのではなく、泥臭くロジックを積み上げた結果の選択だった。


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