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立版古で遊ぶ②「大しん板切組とうろう 里見八犬伝 悪猫たいじの段」

はじめに
記事は、わたしなりの完成と調べたことまで掲載しています。
何も知らないまま作りたい方、
自分で調べる楽しみを大切にしたい方は、
作り終えてから、気が向いたら記事を読んでいただいて、
楽しんでいただけたら幸いです。

出典:「大しん板切組とうろう 里見八犬伝 悪猫たいじの段」
(松竹大谷図書館)

少し厚めの紙にA4サイズでプリントアウトしました。
昔は、薄い版画を裏打ちして厚みをだしていたそう。
のりで、表の絵がにじまないよう苦労したとか。
便利な時代になりました。
にじみの苦労や、味わいもなく進めます。

切る前に立版古を見てみる

ふわっとした完成図

立版古にはふわっとした完成図が描かれていることが多い。
前回の、「理髪所」と似た建物の雰囲気。

人物も物語の一場面であることから
登場人物の名前が絵の横に書かれている。

ふわっとした完成図をみると
どうやら部屋の奥の壁が開いて、
化け猫が出てくる仕掛けになっているようだ。

仕掛けのある立版古は初めて。
うまくいくかどうか。。。

切って、配置を考える。

謎の半身と石のようなもの

切っている最中から気になっていた、半身像。
倒されて地面につっぷしているのか?

石のようなものは
おもしろいくらいに
非常に細かくのり代が巡らされており
切るのが大変でした。

のり代が入れ歯のよう

これは、「踏み石」「沓脱石」かなと思い
縁側付近に置くことに。
作者が面白がって作っていたのではと想像されます。


人物の配置

どう配置したらいいのか
ふわっとした完成図はあるもののつかみにくく
「南総里見八犬伝」の「庚申山の夜」を読んで配置がうかがえました。

この立版古と出会わなければ、八犬伝とは縁の薄いままだったかもしれないので、いい機会を得ました。

この物語については後述します。

組み立てる

仕掛けのあるところ

部屋の突き当りに不自然な線が引いてある。
これを折るなりして仕掛けになっていることが予想された。
立版古の本で紐でひっぱる仕掛けをみたことがあり
小さな〇印があったので、紐を通してみました。

紐が邪魔

最、壁をぶちやぶって化け猫が現れるイメージで作成していたのですが
紐が表に出てじゃまな感じがして、
考え直し、紐を裏側へ回し
上へ壁を引っ張るように変えてみました。

何が正解か分かりません。ほかの方法もあるかも知れず
お好みで仕上げ、楽しめたらいいと思います。

使っている糊

テープのりや、接着の弱い両面テープを愛用しています。
それほどしっかりつくわけではないので、
間違えたら外しやすく、外した跡ものこりにくいです。
あまりしっかり着けず、あちこち動かしながら
試行錯誤する時間がまた楽しい。

南総里見八犬伝「庚申山の夜」

今回、参考にした本は
「日本の古典16 グラフィック版 南総里見八犬伝」
(株式会社世界文化社 1975年発行)
初心者にもわかりやすく、絵が多いので読みやすかったです。

以下簡単に物語をまとめます。
もうご存知の方は読み飛ばしてください。

舞台の庚申山は下野国足尾(栃木県足尾)。
足尾銅山で有名な場所。

そこへ、登場人物の現八が訪れ、
八犬伝の仲間である角太郎と出会う物語です。

角太郎は、
父、一角と暮らしていましたが
一角はかつて山で化け猫に襲われ、
すでに亡くなっており、
化け猫が化身として一角となっています。

一角(化け猫)は妻を何度もかえて
今は船虫と、前妻との子、牙二郎と一緒にいます。

一角(化け猫)は子どもの角太郎につらく当たり
大きくなった
角太郎は雛衣と結婚。
雛衣は、八犬伝の「礼」の玉を飲んでしまい妊娠。
しかし、
一角(化け猫)との不義の子と疑われて離縁される。

その後、
眼を痛めた一角(化け猫)から、
おなかの子どもの生き肝と母の血とマタタビを混ぜたら治るとして
雛衣に死ぬよう迫る。
雛衣が腹を刺せば、「礼」の玉が飛び出し、一角に命中する。
最後は不義の疑いが晴れ、角太郎の役に立ったと喜んで死ぬ。

一角が倒れると
船虫と牙二郎が角太郎に襲い掛かる。
現八は角太郎を守るため二人を制しようとするが、
未だ、一角の死を知らない
角太郎は怒る。現八から父一角の骸骨を示され
(立版古シーンはこの辺りか)
一角はすでに死んでいることを知らされる。
現八と角太郎で化け猫と戦い、
父の形見の刀でとどめ。「礼」の玉が出てくる。

牙二郎は倒れ、船虫は、隙を見てまんまと逃れたので
立版古にある女性はおそらく船虫だと思います。

ろうそくで灯して遊ぶ

立版古の遊び方を調べていると
ろうそくや、豆電球を近づけたり、中に入れて遊んでいたという
記述がありました。

おどろおどろしい作品だったので
灯してみることにしました。
(火を使うので火事には十分注意して)

裏からすると絵灯籠のよう

どのように明かりを近づけたのか
もっと詳しく知りたくなりました。

昼間にみる様子とまた違う雰囲気でたのしめます。

ろうそくの形をしたライトも今はあるので
それならより安心して遊べそうです。

(このときは仕掛けのところ、作り直す前のままです。)

3Dで遊ぶ

出来上がった様子を360度楽しめるように3Dにして見ました。
以下のリンク先から見ることができます。

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