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血流が悪いのではなく、血が足りない!――『血流がすべて解決する』

 出雲大社参道の老舗漢方薬局の4代目である著者による、女性のための健康本。

 とはいえ「この漢方を飲みましょう」という話は一切出てこない。漢方で重視している「血流」を改善することをテーマにしていて、日常生活の中で実践できるさまざまな方法が紹介されている。

問題は「血流」ではなく「血の不足」にあった!

 この本の新しさは、なんといっても「血の流れをよくする」のではなく、「そもそも血が足りない」ということから出発している点にある。

 薬剤師である著者は西洋医学の知識も豊富で、東洋医学だけに偏らない医療情報が満載なのがこの本のいいところ。

「血の不足」を西洋医学的に言えば、「貧血」ということになる。ちなみに、以前仕事でご一緒した栄養学に詳しい医師は、女性の体調不良は鉄不足と関係が深いと言っていた。

 生理のある女性は毎月鉄が失われていくから、ただでさえ鉄不足になりがち。健康診断で貧血と診断されなくても、潜在的に鉄が不足していて、それが冷えや肩こり、頭痛、めまいといった「なんとなく不調」とかかわっているというのだ。

 それだけではない。この本の中では、血の不足によりうつや落ち込み、イライラといった負の感情が出やすくなるという。

 心も体も、血流が決め手なのだ。

女性の不調と血流の関係

 もともと著者は婦人科系のカウンセリングをおこなってきていて、その数は5万人にものぼるという。

 漢方では「子宮は血の海」という言葉があり、血がたくさんあることで、はじめて子宮や卵巣の機能は正常になる。ここでも血を増やしていくというアプローチが重要になるわけだ。

 生理痛や子宮内膜症だけでなく、更年期障害といった婦人科系の不調改善のカギも、やっぱり血流にある。また、子宝相談を多く受けている著者曰く、「妊娠力は血流そのもの」なのだそうだ。『血流がすべて解決する』というのタイトルはやや大味な感じがしないでもないが、ここまでくると「本当にその通りですね」と言うしかない。

オネエキャラが投げかける「普通って何?」

 それにしても、「男性なのにどうしてここまで女性の心に寄り添えるのか?」と疑問に思っていたら、その答えはインスタグラムにあった。最近の著者は「堀ママ」としてオネエキャラ全開で投稿しまくっているのだ。

 この本の中には、「『常識』や『普通』に振り回されていませんか」という問いかけが出てくる。

 結婚するのが「普通」。

 子どもがいるのが「普通」。

 ちょっと具合が悪いくらいなら会社に行くのが「普通」。

「そんな『普通』っていう価値観が、かえって自分を追い込んでいるんじゃない?」

 インスタグラムでも、著者の発するメッセージの根っこには、この思いがあるような気がする。

 もっと体の言い分を聞いてあげて。心の声を後回しにしないで。

 たった1つの自分の体を大切にすることから、人生はいい方向に変わっていく。











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