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Reading & Writing Workshop

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ひたすら読み書きに没頭する、Reading & Writing Workshopに関する記事です。
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読書家の時間、虚構が現実を変えるとき。

読書家の時間(Reading Workshop)。学生時代にこの授業の存在を知り、初任者の2学期から実践を始めた。本から得られる情報以外はリソースがほとんどなく、先輩教員のK先生のRW以外はしっかり見たことがない。常に手探りで実践してきたRWだが、先日の授業でようやく手応えが感じられるようになってきた。 2024年の2~3月にかけて、1・2年生を対象に20時間の「読書家の時間」を行った。最終課題はレターエッセイ。その中で自分なりに手応えのあった「生徒が自立した読書家として育

国語教師が中学生に薦めた本10選、後編。

前回の記事に予想以上の反響をいただいた。 RW/WWを2月から予定しているので、それまでに生徒が興味をもちそうな本をできるだけ図書室に入れておきたい。 さて、今回も冬休みにぴったりの10冊を紹介する。 中学生諸君、読書はいいぞ! 『子どもの頃から哲学者』私の敬愛する、もはや説明不要の教育哲学者、苫野一徳先生の自伝的著作。 今の印象とはかけ離れた、衝撃的な経験の数々!(笑) だれも僕のことなんてわかるもんか(わかられてたまるか)。友だちがいない。便所飯のパイオニア。全校

国語教師が中学生に薦めた本10選、前編。

もうすぐ、今の学校に赴任してから初の夏休みを迎える。 なかなか担任している生徒とうまくいかず、へこたれそうになった時期もあった。 しかし、徐々に生徒との関係性はよくなってきた。 課題は山積しているけれど。 教員4年目にして、勉強が必要だと感じる。 夏休みは存分にインプットしたいな。 さて、7月からReading Workshopを始めている。 RWを実施する前の準備段階として、4~6月の学年だよりにしつこく推薦図書を掲載し続けてきた。 学級文庫や図書室の中から、10代

生徒に宿る言葉をフィードバックしたい。

3年生が卒業した。 先の記事でも書いたように、今年度の授業、RW/WWもこれにて終了。 レターエッセイはほぼ全員が書き切った。 文章には、一人一人の個性が出る。 レターエッセイを読むと、それを実感する。 青春群像劇、グルメ、ミステリー、ホラー。 関心をもつものも違うし、文体も違うし、注目するところも違う。 「みんな一緒に」の作文教育では、こうはいかない。 完成した作品を読んで評価するときが、最も楽しい(そしてしんどい)。 コメントにも熱が入る。 3学年はおよそ60人

RWの授業見学に行ってきた。

今週の初め、RWの授業見学に行ってきた。周りでRWを知っている人はゼロなので、先進的な実践をされている方の授業は勉強になる。 私のRWと比べて、よいと思ったところや、実際に見てみて分かったこと、違いなどを書いておく。 ・教室の授業でインプットした知識・理解・スキルを、図書室の授業(RW)で復習したり、アウトプットしたりできるところ。例えば、「文章から自分の気に入ったところを引用して、その引用した箇所について書く」という授業を教室で行ったとする。RWで、その引用のスキルを1

生徒が書く、教師も書く。

社会人1年目から見てきた3年生が、間もなく卒業を迎える。 残り少ない彼らとの授業・会話を楽しんでいる一方、一抹の寂しさも覚えている。 アトウェルのレターエッセイ3年生の授業は教科書範囲も終わったため、何度かここでも紹介しているWriting Workshopを参考に、書く活動を行っている。 Reading Workshopは1・2年目でも行ってきたが、いまいち「生徒が書きたいように書く」というイメージがつかめずにいて、Writingには手を出せずにいた。 しかし、もう3