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【エッセイ】四十を過ぎたなら(700(引用抜き))

かなり前、ヤフーニュースでベストセラー「思考の整理学」で有名なお茶の水女子大学名誉教授の外山滋比古先生のインタビュー記事が載っていた。

詳しい時期は覚えていないが先生が存命中だったとの記憶はある。亡くなった2020年7月30日の少し前だったと思う。だから4〜6年前だったはずだ。

先生の訃報に触れた時、普段有名人が死んでもなんとも思わないが、この時は珍しく残念な気持ちになった。もっと本を書いて欲しかった。貴重な方だった。

一年でたった数個だが、ヤフーニュースに読む価値のある記事がポンと出ることがある。それがその記事だった。

せっかくだから私が読んで面白かった外山先生の本を一冊あげておこう。「思考の整理学」は有名すぎるので、それ以外で。

痛快なエッセイ集。先生はかなり毒舌だ。

さて、外山先生がネット記事のインタビューで言われていたことの概要が素晴らしかったので記憶している。

「インプットをするのは40歳まで。40歳を過ぎたら誰でもこれまでのインプットを元にアウトプットしていかなきゃいけない。それは本を書くとかに限らず、職業でもなんでも後輩に教えるなどでもあてはまる。」

すばらしい記事だったからまだ残っているかもしれないので検索してみるとnoteにインタビューを掲載してくれているものがあった。

そして改めてそれを読むと全然違うことが書いてある。記憶って曖昧だ。

内容だけ理解して自分で解釈したためだろう。

やはり先生はかなり毒舌だ。すばらしい。

若いうちならともかく歳をとってから本を読んで学んでるようじゃダメだって。Xのインプレ稼ぎのためだけに「読書は最高の投資」とか表面的で無価値な意見を垂れ流している読書アカウントに聞かせてやりたい。

外山滋比古さん(英文学者)は当時93歳。創作活動、講演活動いずれもバリバリの現役だった。
1986年刊行の『思考の整理学』(ちくま文庫)が200万部を突破した際のインタビューでなぜいくつになっても元気に思考ができるのか? その秘訣を聞いている。

――「超長寿時代」と言われる現代にあって、壮年期を越えてどのように生きるべきかは、大きな関心事です。外山さんは、93歳になられた現在も精力的に執筆や講演をされています。それが可能な理由として、『知的な老い方』では「晩学への挑戦」「ウォーキング」「株式投資」「コミュニティを自分で作って率いる」といった実践を紹介されています。美しく知的に老いるために、とりわけ重要な取り組みとはなんでしょうか?

自分とは違う仕事をしている人と話すことです。会社員をしていると、同じ部署の人と飲みに行ったり、社内の人と話したりする機会ばかり増えるでしょう。そういうのは全然ダメです。サラリーマンの人こそ、農家とか自営業の人とか、自分と全然違うことをしている人と話してみる。一回だけではなく、定期的に会ってしゃべる。会話で使う言葉がいつもと別のものになりますし、頭の使い方も変わります。話が噛み合わない部分も、多く出てくるはずです。それを自分の頭で理解しようとすると、発話者が本来言っていたのとは別のものになる。つまりある種の「誤解」ですね。でも、その誤解から新しい発見や発明が生まれてくる。同じ業種の人と集まって喋ったって、全然おもしろくない。そこで目の覚めるような話を耳にすることはまずないはずです。

ただし、学生時代の仲間で集まるのではダメです。最近の付き合いの中で、異業種の人を少なくとも3人集めて、定期的に会う。これを組織するのは、非常に難しいことです。僕も10個くらいそういうグループをつくってみて、うまくいったのは1~2個でした。でも、知的に老いていくためには絶対に必要です。本なんか読んでいたってダメ。本は、固定された内容と1対1で向き合っているだけでしょう。それなら生身の人間との1対1のほうがまだマシです。

――読書により知識や教養を備えるのは、いつの時代も推奨されている知的活動だと思いますが、ダメなんでしょうか。

若いうちは、学校に通ったり本を読んだりして、先人の真似をするのも必要です。そもそも、若い頃は考えなくても馬力だけで進んでいける。ところが20年もすると、それでは前に進めなくなる。ベテランになっている代わりに、新しいことができなくなってくる。結果、若い人に追い越されてしまう。その段階で、本から学ぼうとするのは間違っているんです。今の教育は、おしゃべりになんか価値がないとするでしょう。書籍や書類から学ぶものだ、と。そうではなく、40歳を超えたら、自分で考えないと。活字から離れて、違ったタイプの人間から学ぶのが肝要です。それによって自分を新しくし、若々しい知性を作り上げることができます。
              (了)

下記note記事より

外山先生。40過ぎてますが先生の本は面白いので読ませていただきますね。

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