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【エッセイ】博識(1000)

一年前の話である。

義理の妹・潤ちゃんに前職の飲み会の送迎をお願いして車に乗せてもらった。職場から会場がかなり遠く、前職は義実家の近くだったからである(過去の私のエッセイ参照(笑))

潤ちゃんのことは嫌いじゃないし(むしろ好き)別に何も確執はないのだが、喋ることないしふたりきりになるのは気まずかった。気まずいというより純情ウブな私は照れる。

それを察知してくれたのか、たまたま義実家にいた長女がついてきてくれたので助かった。

ドライブ中、私は娘に何かウンチクを披露していた。内容は忘れた。私はうんちく魔*なのである。

娘は気もそぞろに聞いていた。私は潤ちゃんに「ちょっとなんか言ってやってくださいよー」と助けを求めた。

すると・・・

「私もお父さんの話は鬱陶しいな、また言ってるわって思ってたし、聞いてもいないのにいろいろ言ってきてたけれど、大人になって自分が当たり前だと思っていたことを意外とみんな知らないなって思ったよ。お父さんから長年聞いてきたことが積み重ねになっていたんだよ。」

さすが同女出身の才女である。私は救われた。

潤ちゃんのお父さんつまり義父もうんちく魔である。そして私の父もうんちく魔である。

しかし、うんちく魔の子が全て博識になるわけではない。その父親なり母親なりから聞いたことを私や潤ちゃんのように頭に留めるかどうかで決まる。

現に一番長年連れ添っているはずの義母も私の母も結構頓珍漢である(マザーたち、ごめん(笑))。

また、私と上の弟は父の話をよく聞いていたが、妹と下の弟は父の話を聞いていなかった。そして、物知りは私と上の弟だけである(自分のことを物知りと言うのは憚られるので(何も知らないので)、妹と下の弟よりは物を知っている自信があると言う意味である)。

病気の中にはホルモンが分泌されていてもその受容体の遺伝子が異常で正常な生体反応が起こらないものがあるらしいクマ。

ラジオの電波があっても受信機がないと何も聞こえないのとも同様だクマ。

必要な周波数にあなたの受信機を合わせていこうクマ。必要な知識はいくらでも溢れているクマ。

それを適切に選び取れるのはあなた自身しかいないのだからって、わ・け。


(*)うんちく魔とは?

うんちく魔

憑りついた相手にうんちくを言わせるレジェンド妖怪。学士帽をかぶったクマの姿をしていて、手にはうんちくの実がついた棒を持っている。
語尾は「クマ」。憑りつかれた相手は、うんちくを語った最後に「~て、わ・け」を決め台詞のようにつけて喋る。

妖怪ウォッチ図鑑より

妖怪ウォッチが大流行していた10年前、「お父さん、うんちく魔やな(笑)」って何度も言われた。良き思い出。

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