静寂の図書室で2人は話す

休憩時間:文化祭開催

先輩と中庭で話したあの準備期間の日から何だかんだ流れ高校生になって
初めての文化祭開催
開催3日前には出来ると予定してた暗闇の迷路お宝探しゲームは材料不足と急遽欠員が生まれ開催2日前とギリギリなり、プレイテストは同学年の何人かに声掛けてやってもらった。大体は3分〜5分でクリアし待ち時間も「あまり待たなかった」意見で5分にしたり、プレイ後「小さい子には難しいかもね」という意見がちらほらあり年齢制限を小6からにして少しずつ修正ながら本完成。大変だったけど2週間の準備期間は夜の学校も体験して楽しかったし出来た迷路見て皆で喜び合ったの凄い嬉しかった。
当日に向け体力回復すべく制作にあたってた人は次の日お休みし手続きや事務作業は他の人に任せた。無論私は家で爆睡してご飯沢山食べてしっかり休んで今文化祭開催決起集会in体育館にて校長先生の素晴らしい話を聞きながら寝そうになってる。
「じゃあそろそろ楽しい文化祭に入って貰おうかな。皆大いに羽目外さない程度で青春しなさい。以上です。」
「校長先生ありがとうございました。それでは最後に生徒会長から開催宣言です。会長よろしくお願いします。」
そう司会者の生徒会書記さんが話すと走って壇上したのが我が生徒会長「小山 大助(おやまだいすけ)」先輩だ。
「紹介がありました小山です。皆さん2週間の準備お疲れ様でした。皆さんのお陰で今年も素晴らしい装飾や各クラスの出し物が出来て私も嬉しいです。生徒会の仕事に隙間が出来たら回ってみようと思いますので…それでは!!」
キーン
いきなりデカい声出すから音割れしたじゃん眠気覚めたわ
「失礼しました笑笑 気を取り直して…せせらぎ祭開催です!!」
会長の雄叫びに合わせ拍手が鳴り響く
第96回せせらぎ祭ここに開幕
        ◎
12時00分
私はクラスの前で迷路の受付してる
初日だしそんなに混まないだろうと思っていたらプレイテストしてくれた人が評判流していたらしく聞いた生徒が更に広め先輩方・先生にも伝わり現在12人待ち
予め10人で受付ストップする事にしていたが11人目に来た3年の女子2人が「面白いって聞いてきたのに帰すの?」と圧かけてきて怖くなり坂本君に相談したら
「10人でストップは俺らが勝手に決めてる事だし先輩だから受付して良いよ。そこでストップしようか?相談ありがとう〜」と言ってくれて先輩達に並んでもらった。先輩怖い…
とはいえ年齢制限もしたからかトラブルも無く5分以内にクリアしてくれるので円滑に回せてる。3年の女子2人組まであと6人

「ありがとうございました〜。只今お宝の準備してます暫くお待ちくださいませ」
そう言って合図待ちしてた所に
「やあ〜門崎さんやってますね」
気抜けるような高い声で話しかけて来たのは
いつもお世話になってる図書館司書の
森寺 瑠衣(もりてらるい)さん
性別 女性
年齢 35歳 学校近くのアパートで旦那さんと2人暮らし…あっ違う違う。猫ちゃんも居るから3人?暮らし
千葉の学校で司書経験中旦那さんと出会い司書さんの事情で群馬に戻らなくてはいけなくなったが「森さんと一緒に僕も行くよ。」と嫌な顔せず引っ越しして2年後結婚したらしい。
旦那さん誰に似てますか?って聞くと
「織田裕二」
即答した後写真見せてもらったら織田裕二さんに確かに似ていた。てかイケメンだった。3歳年上なのも良い。
「司書さん!こんにちは!休憩ですか?」
「うん。お昼には一旦図書室閉めようと思っていたからね〜ご飯買いに行くついでにふらふら回ってるの。門崎さんのクラス賑わってるね」
文化祭期間中の図書室は一般の方も入れる仕様になってて1日に3回絵本の読み聞かせをしてる。読み聞かせは地域のお母さんに人気で毎回盛況らしく、今の司書さんは学生時放送部だったようで読むのが上手と高評価。
「何故か評判が流れて笑笑 今受け付けてる方々で一旦止めてるんです。司書さんも時間あったら来てくださいね!!」
そう言った後「おい次良いぞ」と幕から顔出してきた坂本君が合図出して次の方案内した。
「ふふっ、忙しそうで何よりだわ。じゃあその時は門崎さんも一緒にお願いね」そう言って司書さんは手を振りご飯買いに行った。
そういえば私朝から何も食べてないや
お腹空いたし当番終わったらご飯買いに行こ~と
空腹を我慢しながら案内していると先程の3年の女子2人の順番が来て
やっとひと段落出来る~と合図待ちしていたら、その内の1人が「ねえあんたもしかしてこの間2年の大山君と中庭で話してた?」と聞いてきた。
準備期間の時の見られていたのか~めんどくさいな~と思いつつ「そうですが・・」と返したら
「やっぱり。大山君が女子に対してあんな笑顔で話していたの初めて見たからさビックリして~ふーんそうかそうか」
ニヤニヤしつつ納得した顔で私を見つめる3年の女子A
早く合図来ないかな・・とうんざりした顔していたのかA先輩が
「ごめんごめん。あいつさ近所で顔見知りなのよ。女子と話してるなんて珍しかったからついね?悪い奴じゃないし仲良くしてやって?」
はあ・・と返事したが別にいつの間にか話すようになっただけだし仲良くなんてと思っていたら「おい次いいぞ」
ようやく合図が来て案内出来た長かった~と安心していたら2人が入る直前
A先輩が「そうだあいつこの前多分1年の女子に告られていたよ。断っていたけどね?モテるから気をつけな。女は男が入るとめんどいから」
横目で見られながら言われた忠告みたいなセリフ
先輩がモテる?良いじゃないか私関係ないし今んとこ問題起きてないし
いちいちそんなん伝えなくて良いよ!!と心の中でツッコんでいると
坂本君が「お疲れ様でした~落ち着いたし休憩入っていいよ?そういえば2年の先輩の劇何時からだっけ?」
「お疲れ様です~えっと確か16時」
「今13時だから14時30分まで休憩して次15時30分に休憩入れば演劇に間に合うかな?忙しくなっても誰かと交代出来るようにしておくから安心して」
「ありがとう~助かります。」
何で坂本君がチケットの事知っているか
それは私が準備期間の休憩中先輩から貰った演劇チケット眺めていたら
「それ2年C組の演劇チケットですか?」と坂本君が話しかけてきて
「そう!!どうして知ってるの?」って聞くとモジモジしながら小さい声で
僕も彼女からチケット貰ったんです

時が止まった

カ、カノジョ?カノジョってあのカノジョだよね?(あのカノジョ?)
えっ2年のカノジョ?
脳内グルグル動かして私は坂本君の顔見る
めっちゃまっかっか
叫びそうになった口を手で塞ぎ感情も頑張って抑えた
なんたって場所は教室の片隅
同級生が何人も居る状況で叫んだら皆こっち見るだろうし小さい声で言ったという事は内緒にしているはず。ならば秘密にしなくてはならない
幸い誰もこっち見ていないから私は坂本君に
「場所変える?」と聞くと坂本君は小さく頷き
近くに居たごっちゃんに坂本君と図書室で資料取ってくるねと伝え
私達は教室を出て図書室へ
一番奥の席で資料読むふりしながら事情聴取開始
「で、2年C組のどなた?」
「フジタキョウコ先輩」
「フジタ キョウコ・・・えっ確か生徒会書記の方では?」
「うん。そうそう。」
2年C組 藤田響子先輩
第35代生徒会の書記担当
身長 170㎝
髪型は背中まで長い前髪無しの黒髪ロング
趣味がランニングらしく休みは走っているのでいい感じに日焼けしている。
出身は兵庫県
お父さんの仕事の事情で中学時群馬へ
関西弁を直そうと努力したが不意に出てしまうし当時の友達から
「関西弁可愛いし似合ってるから無理に消さなくてよくない?」
と言ってもらい関西弁で生きるのを決意
そのお陰で親しみやすさも出て打ち解けたらしい。
計画性も良く行事の際テキパキした仕事ぶりに感激した中学の先生が
生徒会に推薦し以降生徒会業務を務めている。
高校の生徒会書記もその評判で推薦に上がった
「先輩との出会いは?」
「俺と響子さん中学一緒なんだけどさ」
「そうなんだ」
響子さん呼びにはスルー
「響子さんと生徒会やってたんだよね。俺も書記だったから教わってて」
坂本君が言うには
書記で生徒会に入った中学1年の坂本少年
同じく書記で2年の響子先輩に仕事教えてもらっていた
最初はそんな距離だったが縮まったのは
坂本少年の学校カバンに付いていた遊園地のキャラクターキーホルダー
家族旅行で行った時可愛かったので買ったのだが、それを見つけた先輩が
「ねえ!!それトコトコランドのトコッコでしょ!!」
興奮して聞いてきたらしい
トコトコランドは兵庫にある小さな遊園地
小さいながらもクオリティー高く一番の目玉は夜のイルミネーションで
日本イルミネーションランキングに毎回トップ10に入るくらい人気
その遊園地のキャラクターがトコッコ
ニワトリモチーフでいつも寝そうな目をしている少しおっちょこちょいな男の子だそうだ。先輩も小さい頃から行ってて夏休み・冬休みに帰れば行くくらい好きな場所
響子先輩から
どうしてトコトコランド知ってるの!?
トコッコ君可愛いよね!!私もほら持ってるの!!
質問攻めされたがあまりにも楽しそうに話す先輩見て坂本少年は思わず笑う
それを見た先輩が「坂本君て素敵な笑顔するんだ」とキュン
一気に縮まった距離は離れることなく響子先輩が3年生になり生徒会引退時
坂本少年に告白
勿論坂本少年はOKし今に至る
「こんな感じのまとめで合ってる?」
「合ってる。凄いねそんなすぐ理解できるんだ」
「坂田君話すの上手だから分かりやすかったよありがとう。」
「そんなこと無いよ・・この話誰にも」
「言わないさ!!内緒にするね」
「ありがとう。門崎さんはいつの回の演劇行くの?」
「初日の16時だよ。坂田君は?」
「最終日の10時です。終わったら一緒に文化祭回る予定なんで」
「えっバレない?」
「バレないよう作戦考えてるから大丈夫」
坂田君のニコッと笑う顔は嬉しそうに感じた
大好きなんだな~
そう思っていたらごっちゃんから「いつまで資料探してんの~帰ってこーい」とLINE
やべっ1時間も居たわ
「坂田君そろそろ戻ろうごっちゃんから催促来た」
「せめて一冊借りようか何か材料になるやつ」
慌てて本借りて私達は図書室を出た。
教室に向かう途中私は「どうして話してくれたの?」と聞くと
「同じチケット持ってて嬉しくてつい話しかけちゃったし秘密にしてくれそうだから」
真剣な眼差しに嘘感じなかったので少し嬉しかった。
「ありがとう話しかけてくれて」
「どういたしまして。劇楽しみだね。」
             ◎
15時20分
夕方に近いからか午前とは変わりお客様も少なく感じる
迷路の待機列も今は生徒のみで2.3組だ
するとカーテンから坂田君が
「暇だしもう休憩入っていいよ。先輩の劇行ってきな」
「えっ良いの?このくらいやるよ?」
「もしかしたらふざけて事件起きるかもしれないし余裕持って行った方が楽だよ」
確かに平和に終わらないかもしれないな
「じゃお言葉に甘えて」
「行ってらっしゃい。感想聞かせてね」
ニコッと笑う坂田君
この笑顔に響子先輩は惚れたんだなと思うとニヤニヤしちゃうな
「何ニヤニヤしてるの・・早う行きな」
「えへへ。行ってきます。」
坂田君に手を振り私は2年C組へ
行く途中まだやっていたチュロス屋さんに寄り先輩の分も買って
ドキドキしながら向かった。
そういえば2年の階来るの初めてかも
文化祭とはいえ緊張するな
ビビりながら階を覗くと雰囲気が全然違う
先輩オーラあるのか皆大人っぽく見えて、学年変わると世界変わるなと思っていたら「あれ?1年生じゃん」
後ろから聞きなれない声
恐る恐る振り返るとこれまたデカい男性
ひえ・・誰・・
「遊びに来たん?どのクラスに用あんの?」
「ええっとC組の劇見に来ました・・」
助けて
「ああ!!C組ね案内するよおいで」
するとこの人は私の手を掴み引っ張り始めた
驚きながらも振りほどいたら何言われるか分からないし、後々噂にされたらめんどくさいのでそのままにした。
歩く度「シンヤ~何してんの~」「1年と手繋いじゃってシンヤ君!!」と言われる。これ違う意味で目立ってない?あとこの人の名前シンヤっていうのか。
それに対し「C組に案内してんの!!黙ってな」と言ってくれるシンヤ先輩
有難いですが恥ずかしいです。短いはずの廊下が長く感じる。
「ほら着いたよ俺のクラス」
「あ、ありがとうございま、俺のクラス?」
「えへ。俺C組だったんだ~戻る所に君が居たし丁度良かったよ~。皆お客さん連れてきた!」
シンヤ先輩のシャキッと通る声が教室に響き皆さんこっちに振り向く
ビビりの私は会釈だけし入ろうとしたら
「いらっしゃー----い!チケット拝見します!」
凄い勢いで案内してきたのは眼鏡で三つ編みがとてもお似合いの女性
勢いに押されながらチケット渡すと
「劇まで時間あるから座って待ってて~!こちらどうぞ。」
席がまだ完成していなかったので教室の隅っこに案内され飲み物も貰った
そういえば先輩はどこに居るんだろう
温かいココア飲みながら準備風景眺めていると
「ただいまー-」
聞きなれた声
「あ!!後輩じゃん!!いつの間に来たんかよー--」
ニコニコしながら近づく先輩に安心してしまった私は
緊張が解れ泣きそうになった。
「大山もしかしてこの子がいつも話してる図書室の?」
「そう!俺の仲良い後輩!慎也どうした?」
「さっき階段前に居てビビっていたから話しかけてさ、C組に用あるって言うから連れてきた。ね?」
「あっはい。案内してくれました」
「そゆことならLINEしてくれよ~後輩の教室まで迎えいったんに」
「それはやめてください」
「良いねそのツッコミ」
「照れんなよ~来てくれてありがとな。楽しみにしてくれよ」
「照れてないですが楽しみです」
先輩はニカっと太陽のように笑い準備に入った
ナレーター役って言っていたけどどうやるんだろ
ワクワクしながら待つと先程の三つ編みさんが廊下に出て
「2年C組初日最終公演 五月雨の中で 間も無く開演です!」
さっきも思ったんだけどあの細い体のどこから出てるんだって思うくらい
大きくて通る声で呼びかける
すると続々とお客さんが入ってきていつのまにか教室がお客さんでいっぱいになり、出遅れた私が慌てて立つと
「待ってくれてありがとう!貴方はここに座って?」
そう案内されたのは最前ど真ん中
皆の注目浴びへこへこしながら着席し他の人も好きな席に座った。
次に演者から公演パンフレットが配られる
先輩は私に渡してきて耳元で小さく一言
「俺頑張るからな」
私はガッツポーズで返しパンフレット眺めながら開演5分前
携帯の電源切る
教室内暗くなるので注意
おしゃべり禁止
などアナウンス流れ開始1分前
時刻は16時
学校のチャイムと共に教室が暗くなる
初日公演「五月雨の中で」開演
          ◎
「ありがとうございました!」
演者さんが大きな声で私達にご挨拶
私達は大きな拍手で答えた
割れんばかりの拍手が教室内に鳴り響く
30分の中にここまで内容の濃い作品作り上げて
ちゃんと起承転結も出来てて
笑ったり泣きそうになったり感情揺さぶられて
演劇って面白い 演劇って凄い
新しい発見に出会った気がする
お客さんが演者さんに凄い凄いと感想伝えていて
私も先輩に言いに行きたかったけど
沢山の人に囲まれて近づけられない
先輩のナレーターが凄かった
主人公2人のお互いの胸の内語るシーンがあって
きちんと声や心情で声色使い分けたり感情爆発する時は大声でぶつけたり
皆先輩の場面になると夢中になって見てた。勿論私も見てた
宮野先輩からしごかれたって言ってたけど違う
これは先輩の努力もある
だからあの時声枯れていたんだ。
全部伝えたいけどまた図書室で話せばいっか
先輩を後にして教室出ようとしたら
三つ編みさんに「貴方の先輩凄いでしょ?大山君想像以上の活躍だわ」
私にそう言ってきたから「はい。とてもかっこよかったです。」照れながら返すと
「それは本人に伝えるべき言葉よ?あと今日中にね?」ウインクしながら言われた。ウインク…2年生はウインクするのが主流なのか?
まあ図書室で会えるだろうと思い三つ編みさんに会釈してようやく教室を出た。
16時40分
あと20分でせせらぎ祭初日終了
ご飯系の出し物してるクラスは閉店準備している
買えないの?とお客さんに言われてて「テイクアウトであれば」と交渉しているクラスも居る。
西陽が入った2年生の階
周りを見ると沢山装飾されてていつもと違う風景が面白い
そうか、これが文化祭か。
少しルンルンで自分のクラスに戻ろうとしたら

リンリンリン

LINEの着信が鳴る
誰だろと画面見たら「先輩」の文字
「はい門崎です」
「大山だ!お前今どこに居る!」
「電話でそんな大声出さないでください。自分のクラスに戻ろうと階段降りてます。」
「そっか。片付けあるもんな。その後は!?」
「え、まあ暇ですが…」
「なら図書室に来い!司書さんには許可取っておくから!感想聞きたいんだ!」
この人は相変わらずストレートにぶつかってくる
それがたまにうるさいと感じるが今回は納得出来る
「良いですよ。じゃあ18時に集合しましょうか」
そう言って返事待っていたら
「ああ!待ってるぞ!!」
「ああ!待ってるぞ!」
声が二重に聞こえる 何で?
後ろ向いたらスマホ持った先輩が仁王立ちしていた
しかも汗だく
ビックリして何も声が出ない私に対し
「すげー顔!!じゃあまた!!」
大きく手を振って先輩はクラスに戻った
何だこれ…そう思いつつ笑ってしまった。
片付け頑張りますか。
                        ◎
「でさ俺はここのシーンこの思いでやったんだよ」
18時過ぎ 図書室にて
私は先輩と先輩の演劇の感想語っていた
生徒は基本17時30分に帰るんだけど司書さんから「じゃあ18時半までなら良いわよ〜」
と許可貰い集合時間より早く図書室に来た私達
「私は主人公2人が言い合うシーンでお互いの心境読む先輩大好きでした。何かインタビューとかしたんですか?」
「おう。正反対の性格だしそこの感情は全く違うだろうからどういう気持ちで演じるつもりか聞いたよ。それに寄り添いつつ俺の感情ぶつけた」
先輩って本当真面目
いつもは声デカい元気な人の印象しか無いんだけど、随所で現れる真面目さに尊敬する。
キラキラした顔で語る先輩見てニコニコで聞いていたら
「後輩文化祭楽しかったか?」
いきなり話が変わってびっくりした
「はい。まだ初日ですが沢山の方に迷路来てもらって嬉しかったです。一生懸命作った物が実になってると思いました。出口から出てくるお客さんにお礼や楽しかったとか感想貰えたし」
「文化祭の良いところはそこだよな。俺も稽古超辛くて総監督に何回も怒られて喧嘩しそうになったけど、蓋開けてみりゃ目の前のお客さん皆夢中で俺達を見ていた。それ見ちゃえばこっちも熱入っちゃったよ」
「先輩の出番今日で終了ですか?」
「ああ。明日から受付とか裏方だよ。解放されたしようやく文化祭回れるわ。後輩は?」
「私は明日も明後日も受付当番あります。休憩で回れるから明日も楽しめます。」
そう言って先輩の顔見たら怪訝そうな顔していた
「どうしました?」
「いや、忙しそうだなって」
「元々当番制ですから笑笑 明日は体育館ステージとか見に行きたいです。あっそうだ」
私はポケットから紙を出す
「チケットのお返しです。私達の迷路チケットなので明日か明後日来てくださいね?2枚だからお友達誘って…」
そう言いながら渡すと
「なら後輩と迷路やりてえな」
「え?」
怪訝そうな顔からいつものハッキリ笑顔に戻り先輩は続ける
「後輩休憩は1日に何回だ?」
「えっと明日は3回あります」
「よし、ならその3回を俺と文化祭で遊ぶぞ。迷路と体育館ステージと食べ歩き」
「お友達と回らないんですか!?」
「そんなん明後日でも平気だよ。でも後輩とは明日が良い。」
「何でですか?明後日でも良くないですか?てか私とで良いんですか?」
ウダウダ言う私に先輩は
「良いか後輩」
真面目な顔して言ってきた
「俺は後輩と遊びたいんだ。それに1日挟むより続けて会う方が楽しいじゃねえか?1年先輩がご案内するぜ?」
納得出来る説明かどうか分からない
つまり
「つまり私とが良いんですね?」
「まあそういう事だ良いだろ?」
ふふふと笑いながら
「最初からハッキリ言ってください笑 一緒に回りましょう」
「しゃ!!じゃ明日迎えに行くから休憩時間連絡して」
「迎えは大丈夫です。」
「何でだよ!」
正直先輩からのお誘い嬉しくて顔出そうになったがバレたら調子乗りそうで
めんどくさいから内緒にしとこっと。
「よし18時20分だしそろそろ帰るか」
「そうですね行きましょう」
窓見ると真っ暗だった
気のせいか空気も寒く感じる
11月だし田舎だから余計寒いんだよな
帰る準備とカウンターの片づけしてたら
「なあ後輩?演劇の俺どうだった?」
急に何だろう
散々感想話したがまだ言い足りない事あったっけ?
「どうだった・・」
少し考えていたら
「いや特に何もなきゃ良いんだ。帰ろうぜ」
気のせいか少し寂しそうな顔していて不思議だったけど
時間も時間だしそそくさ私達は図書室を出た。
誰も居ない廊下
玄関までの道がいつも以上に静かで沈黙がより一層目立つ
鍵を返し外に出ていつもの分岐点まで歩く私達
何が言いたかったんだろう
ずっと考えていた
でも何か伝えなきゃいけない気がした
そうこうしている内に分岐点に着き「後輩気をつけろよ」
分岐点の間にある街灯が先輩と私を照らす
「ありがとうございます。今日の先輩」
あっ
「ん?どした?」
分かった。伝えなきゃいけないことがあったんだ
「先輩」
「お、おう」
「演劇の先輩とてもかっこよかったです。」

それは本人に伝えるべき言葉よ?あと今日中にね?

三つ編みさんの先輩の言葉が一気に蘇ってきた
先輩は私にストレートでぶつかってくる
感情も言葉も全部
演劇もそうだった
たまにウザいって思うこの人のストレートはこんなにも他人の心を動かせる力があるんだと知った。それがとってもとってもかっこよかった。
それを伝えてなかった
だから私もストレートにぶつける
「ほーん」
「何ですかその反応」
「あと少し言い方変えてみようか」
「言い方・・?」
寒い中考える私を静かに待っている先輩
何を言えばこの人が照れるか私は何となく分かっていた
だから
「演劇の先輩''も’’かっこよかったです。」
またストレートに言ってみると
先輩は硬直しそっぽ向いて
「100点満点です」
照れ隠ししてんな?
「先輩顔真っ赤っか」
「うるせえ。でもありがとよ聞けて良かったわ」
「私も伝えられて良かったです。三つ編みさんのお陰です」
「三つ編みさん?・・ああ宮野か」
「あの人が宮野先輩ですか!?似合ってたな三つ編み」
「つーか宮野と何話してたんだよ?お陰ってなんだよ」
「内緒でーす。じゃあまた明日楽しみにしてますね」
「明日根掘り葉掘り聞くからな!覚悟しとけよ!」
先輩とようやくお別れして1人の時間
でも寂しくなかった
明日は図書室で会う先輩ではない私の知らないいつもの先輩と行動
多分変わらないだろうけど
1日一緒に居るのは変な感じだな
何食べようかな~ステージ何見ようかな~
スマホで音楽聞こうとしたら ピロン LINE通知

明日の体育館ステージどれが良いか決めといて

文化祭URLと共に送られてきたメッセージ
またふふふと笑ってしまった

寒いけど寒くない。

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